人の力を引き出す「諸刃の剣」 制約と誓約、そして呪い
人は力を散らしてしまう生き物です
いろいろなこと…たとえば
手では仕事をしながら
頭はテレビのことを考えたり
時間が空けばスマホをして
ネットやゲームに夢中に…
心の力の向きは分散し放題…
これだと、大きな力は出ません。
最も力を発揮するのは、
この逆の状態
それは、その人のもつ力を
集中させている状態です。
…
自発的に、自由に
集中を使いこなせる人は
一流の人でしょう。
生まれつきなのか、訓練なのか
いずれにしても、高い成果を
出せる人が多いかと思います。
ただ、冒頭でも話した通り
普通の人は力を一つの方向に
向け続ける事が難しいです。
すぐに様々なものに
目移りしていってしまうためです。
そんなとき有効なのが
「縛り」をいれることです。
「やらないこと」
「諦めること」を決めて
切り捨てることで
「集中」を一定の方向に
向けやすくすることができます
その「縛り」が制約であり誓約です。
…
「制約と誓約」
このフレーズは
「HUNTER×HUNTER」で出てきます。
この作品には「念能力」という
各人に固有の能力が出てきます。
この「念能力」の強さは
基本的には才能・鍛錬によって
高まっていくのですが
「念能力」には「制約と誓約」をかける
ことで、その性能を飛躍的に高められる
という性質があります。
HUNTER×HUNTERの
登場人物の一人クラピカは
彼の持つの念能力に
「使う相手を復讐相手に限定する」
「もし違う相手に使えば死ぬ」
という強烈な「制約と誓約」をかけたことで
わずかな修行期間で、
最強の念能力集団「幻影旅団」の
ボスを圧倒する力を得るに至りました。
初心者を卒業したばかりで
ラスボスを圧倒する力を得た
というイメージです。
復讐さえ果たせればそれでいい と
それ以外を諦めたことで
強力な力を手に入れました。
…
制約と誓約が強烈なほど
人の力は高まっていくものだ
というのは、作品の世界だけでなく
現実でも同じだと思います。
…ただ、もちろん、自分自身が
その「制約と誓約」に耐えられれば、
という条件付きですが。
…
ところで、
最近、一種の「呪い」に
ついて学んでいました。
これもまた「制約と誓約」の力に
似ているものだと感じています。
…
私が学んでいたのは
レヴィ=ストロースの著書
『野生の思考』で、この本は
西洋全体にかかった
『我々の文明が最も進んでいる!』
『真理への先陣を拓かねばならない!』
という思い込み=「呪い」を
解いた本でした。
今日のポイントは、
その『呪い』にかかっていた人たちは
どうなっていたのか?
という点です。
実は、この「呪い」にかかり
行動力が上昇した人たちは
共産主義革命や、学生運動にのめり込み
火炎瓶を投げつけたり、機動隊と
もみ合ったりするなどの
「反社会的活動」に身を投じていました。
これは『呪い』によって
一定の方向に
人間たちの力が集中した結果です
彼らは呪いなしでは、
ここまでの行動力を
示さなかったでしょう。
…
「制約と誓約」、「呪い」には
似たような効果があります。
人に「縛り」をかけて
人の力をある方向に集中させ
ブースト状態にする効果がある
ということです。
一方で、縛りを解いてしまえば
当然、力は無くなりますし
「縛り」自体が身を蝕むこともある
ので、一概に良いものとも
言い切れないものです。
先程、例に挙げたクラピカの力は
復讐相手の幻影旅団が居なくなれば
途端に意味の無いものになるし
下手をすれば自分を殺す諸刃の剣です。
「呪い」の解けた西洋人は
強烈な行動力を失ってしまいました。
一方で、無駄に補導されたり
負傷したりする人が減るという面では
「呪い」という縛りが消えて
いい面もあったのです。
一長一短、ということです。
…
意識的に、
自分の向きたい方向に力を集中できるよう
「縛り」を加えること
これが、
人の力を効率的に引き出す方法だと
私は思います。
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