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アダルトチルドレンの子供

ある日母から言われた。

「あなた、アダルトチルドレンなんじゃない?」

「私もその傾向があるのよ。」

アダルトチルドレンとは家庭機能不全の家で育った子供のことを示す。正式な医療用語ではない俗語だ。

驚くべきことに母親からこの単語が出た。
自分が機能不全の家庭で育ったと申告しているのだ。
そして自分の実子もそうかもしれないと。

そんなことを言われた子供はなんと返事をすべきだったんだろうか。
この家は機能してませんなんて言われたのだ。
育ててもらった母に。

母は決して恵まれた環境で育ったとはいえない。
母曰く、少々気の荒い母(私から見て祖母)に手を挙げられたり、冬の外に放置されたり、自分の子ではないと言われて育ったらしい。

機能不全の家庭で育った子供は同じことをその子供にすることがあるという話がある。
虐待は遺伝すると言われるのはそこからきている。
では親がそのような環境であったから子供に同様のことをするのは許されるのだろうか。

もちろん否だ。
どんなことがあっても子供を傷つけることをしてはいけない。

ではもう一つ。
それが無意識下でやってしまっていた事だとしたらそれは誰の責任だろうか。

これが本当に厄介な問題である。

本人に自覚がないため、自分のなにが良くないのかがわからないのだ。
アダルトチルドレンのまま子育てをしている人の多くが陥っている問題ではなかろうか。

母は自分が育った環境を引き合いに出して、目の前の子供とうまく関わらない言い訳をすることがある。
その責任は自分にはないと言っているのだ。
加えて、それを子供に理解してもらい子に対しての愛情不足の問題を丸投げいる。
責任転嫁の上にそれを補う努力も面倒臭がっている。
いくら自分の子供の頃にされたことを自分の子にしないと心に決めていても、結局は過去に自分が受けたことと同じことをするのだ。

私は自分が子供を持った時、同じことをしてしまったらと考えるとゾッとする。

この連鎖を断ち切る方法はないのだろうか。

私は二つの方法しかないと思っている。
一つは自分の状況を把握し、それに対応すること。
もう一つは、子供を持たないこと。

もし自分が、子供である自分が良い環境で育っていないと自覚しているなら、前者の対応ができるかもしれない。
できないこともある。こればかりは子を持たなければわからない。

一番確実なのは子供を持たないこと。
ここで連鎖を断つことだ。

今のところ後者が有効だと思っている。
きっと今の私はそうするしかないのだから。


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