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5冊読了(8/28〜9/4)

1『カエルの小指』道尾秀介

2『地獄変・偸盗』芥川龍之介

3『一億三千万人のための小説教室』高橋源一郎

4『最高の体調』鈴木祐

5『お伽草子』太宰治


目が痛くなってきました。
パソコンやスマホの画面の見過ぎなのだと思います。
本を読んでいて目が疲れたり痛くなるということはあまり無かったんですが、慢性的な疲れ目では、やはり読書にも支障が出てきてしまいますね。
まあ別に全然大丈夫なんですけどね。

ブルーライトカット眼鏡をかけていますが、これは効果があるんでしょうかね。
なかなか疑わしい感じがします。
かけてなかったらもっとダメージを受けていたんだと言われれば、まあそうなのかもしれませんが、わからないですからねそんなの。

視力は0.4ぐらいです。
常時眼鏡をかけています。
常時眼鏡をかけている人間の中では目は良い方だと思います。
眼鏡なしでは車の運転はできません。
運転しないけど。
免許は持ってます。
車は持っていません。


さて、1は道尾秀介さんの作品です。
道尾さんは今までに何冊読んだでしょうかね。
初期の頃は順番通りに全部読んでいってて、直木賞を取ったあたりから、順番通りは諦めて気になるものを読んでいくようになりました。
15冊ぐらいは読んでいると思います。

こんなに優れたミステリー作家さんは他にいるのかなぁと思います。
作品の質と刊行スピードと、知識の豊富さ、テーマの幅広さ。
なんといってもミステリー小説としての衝撃度、伏線の多さなども、どの作品も天下一品です。
よくこんなこと考えられるなぁと、感心して感動するぐらいのハイレベルなものを、次々と世に送り出しておられます。

『カエルの小指』は『カラスの親指』という作品の続編です。
指シリーズとでも言うんですかね。
続編が創られるほど『カラスの親指』の人気が高かったのでしょう。
もちろん僕も読んでいまして、映画化もされるほど人気が高い作品なのは納得がいきます。

『カエルの小指』は、『カラスの親指』で出てきた個性豊かな登場人物たちが再度活躍するお話です。
正直、忘れていた登場人物なんかもいたんですが、読みながら思い出して懐かしくなりました。
あらすじは紹介するのが難しいので割愛します。
良い詐欺師の集団が、悪い詐欺師の集団と闘うお話です。

一応、『カラスの親指』を読んでなくても楽しめる内容になってますが、順番通りに読む方が絶対良いと思います。
先に『カエルの小指』を読んじゃう理由は特に無いと思うので。
両方めちゃくちゃ面白いです。

『カエルの小指』は、お話の展開をどれだけひっくり返すんだ、ってくらいのどんでん返しの応酬で、よくこんな話が成り立つなぁと、また感心してしまいました。
予想ができるようなトリックは一つもなくて純粋に全ての展開に驚いて、スリリングな描写にもハラハラしながら楽しめました。
なのに読後は良い話だったなぁとしみじみするような余韻にあふれて、道尾さんの描く物語はミステリー的なトリックを魅せることに特化しながらも、ちゃんと奥深い人間ドラマを描いていて素晴らしいと改めて感じました。

僕はこの本は「オーディブル」でダウンロードして読みました。
本の朗読サービスです。
声優やナレーターの方が読んでくれて、耳で聴いて読書できるやつですね。
この作品のナレーターの方がとてもお上手で、違和感なく聴いていられました。
書籍は分厚くてちょっと、という方はオーディブルで聴くのもおすすめです。


2は芥川龍之介さんの本です。
僕は最近近代文学を読み出したばかりなので、芥川作品はまだ2冊目です。
まだまだ芥川龍之介という作家について全然知りません。
それだけに、どの作品も新鮮で楽しいです。
文学を味わっている感覚を直截的に実感させられているような心持ちです。

新潮文庫の『地獄変・偸盗』は芥川作品の「王朝もの」の短編集です。
全部で6編入っています。
王朝ものであることを知らずに読み出したのですが、やはりどれも、最初に読んだ『蜘蛛の糸・杜子春』に比べると読みづらいというか、少し難しく感じました。
でももちろん、芥川さんの武器である(と勝手に思ってる)描写のかっこよさは見て取れて、どの作品にも興奮させられました。
こんな物語があるのか、とか、こんな描写があるのか、とか新鮮に楽しんで読みました。

表題作である『偸盗』が一番面白かったです。
壮大な物語の中で登場人物たちそれぞれの個性が光っていて、話の構成や終盤の展開もスリリングで面白かったです。
でも解説に書いてありましたが、芥川さん自身は『偸盗』を「一番の悪作である」と自嘲していたとのこと。
えー、なんでよー、めっちゃ面白かったよー、自信持ちなよー、と思いました。

次は『羅生門・鼻』を読もうかなと思っております。
芥川作品は色んな出版社から刊行されてますが、新潮文庫で読み始めたから新潮文庫で読み進めるしかないですね。
それぞれ収録されている作品が違うから、別の出版社のを買うと作品が被っちゃったりしますね。
はい。


3は高橋源一郎さんの新書です。
小説の書き方について書かれた本です。
まさか自分が岩波新書なんて読むなんて、20代の頃は考えもしませんでしたわ。
敷居が高いような気がしていましたが、まあ全然、作品によって親しみやすいものもありますね。

高橋源一郎さんは小説家さんです。
松岡圭祐さんの『小説家になって億を稼ごう』という本を3ヶ月ほど前に読みましたが、プロの作家さんが小説の書き方の指南書を書くのは面白いなと思って、そういう本を探して読んでみました。

『小説家になって億を稼ごう』は松岡さんが、物語の作り方を丁寧に事細かに具体的に教えていってくれる本だったのですが、高橋さんの『小説入門』は、わりと感覚的というか抽象的というか、一度読んだだけではどうしていけばいいのかよくわからない感じでした。

色んな小説を読むことが大事で、小説と遊ぶ感覚を身につけると良いんだそうです。
この本の後半はひたすら、色んな作品の引用を用いて、これを読んで小説と遊びましょう、みたいに訴えかけて来られるんですが、うーん、なかなか伝わりづらかったです。
プロの作家さんが仰ることなので、きっと書いてあることは正しいのかなと思うし、他のプロの作家さんが読めば、そうそうその感覚、と思うのかもしれませんが、これから本気で小説家を目指す人がこれを読んで、プロデビューに近づけるのかというのは疑問でした。
言葉が優しくて丁寧だし、読み物としては面白かったです。


4もオーディオブックで読みました。
鈴木祐さんの本は読んでみたいと思っていました。
なんだか凄い量の論文を読んでいる方だそうです。
そんな方が科学的根拠に基づいた、体調の整え方を色んな観点から教えてくれる本です。

基本的に、現代人の生活と狩猟採集民の生活とを比べることで、現代人がどれだけ体に悪影響なことをして日々を過ごしているのかが述べられます。
その上で、では現代人が心も身体も健康に過ごしていくためには、どんな食事を取ったり、どんな生活習慣を身につけたり、どんな環境作りをしたらいいのか、ということを丁寧に教えてくれます。

色んな分野の知識を兼ね備えた人が書く健康についての本は、読んでいて感嘆の声が出まくりでした。
やっぱり腸は大事だし、ストレスは良くないし、運動はした方が良いみたいです。
そんな基本的なことも含めて、全部がエビデンスに基づいている健康法なので、全部に納得がいって面白かったです。

ただまあ、人間の身体も一つ一つは違っているだろうから、多くの人にとって良いとされているものが自分には当てはまらない、とか全然ありますからね。
この本に書いてある知識はあくまで科学的根拠に基づいているだけ、というかね。
著者はお医者さんではないわけだし、直接読者の身体を診てくれているわけでもありません。
全てこの本に書かれている通りにしても、病気が治ったり健康体になれるわけではないんでしょうね。
ちゃんとそれを前提として読むんだったら、とても面白くて良い本だと思います。


5は太宰治さんです。
近代文学を読んでいってます。

面白かったですねーー。
凄いユーモアセンス。
驚きました。

これ説明しておきたいのが、新潮社文庫のこの一冊の中に、「盲人独笑」「清貧譚」「新釈諸国噺」「竹青」「お伽草子」の5つが収録されてるんですね。
で「新釈諸国噺」は12編の短編で、「お伽草子」が4編の短編なのです。
で、やはり表題作の「お伽草子」の4編がとても面白いのですが、この一冊を順番通りに読んでいくと、なかなかそこに辿り着けなくてまいります。
最初の「盲人独笑」なんて読みづらくて嫌になります。
なんでこんな収録順にしたんだろうと思います。

もちろん「お伽草子」以外の作品もとっても面白いのですが、「お伽草子」の4編を読み始めたら、もうその前のやつは全部どうでもよくなっちゃうというか、印象がかなり薄れて記憶にも残らないぐらいになっちゃいます。
なので純粋にお伽草子の4編だけを読みたいと思ったら、別の出版社のを読む方がいいかもしれないです。
それか前の全部すっとばして終わりの方から読んでいくか。

「お伽草子」は「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」の4編です。
子供の童話を太宰治が太宰治風にアレンジした感じですね。
「浦島さん」では、浜辺で浦島太郎と亀が竜宮城へ行く行かないでダラダラ5、6ページぶんぐらいずっと問答して、浦島がなかなか亀の背中に乗ろうとしないのが最高に面白かったです。
文章で人を笑わせる、しかも直接その言葉でではなく、文字の分量によって笑わせるとは、凄いユーモアセンスです。
もちろんそれが狙いだったかわからないですけどね。
でも僕には面白かったのでそれで良いのだと思います。

カチカチ山ってそもそも元の話をあんまりよく知らなかったです。
だから調べてみたら物凄い残虐なお話だったんですね。
老夫婦に捕まった狸がお爺さんのいないうちにお婆さんを撲殺し、お婆さんに化け、帰ってきたお爺さんに狸汁だと言って婆汁を飲ませた、という。
元の話考えた人もなかなかですね。

あと「新釈諸国噺」の中の「赤い太鼓」という話もかなり面白かったです。
全部面白いんですけどね基本的に。
「赤い太鼓」は最後に待ち受ける衝撃の展開に驚きました。
ミステリー的な手法もお使いになるんだなと感服しました。
リーガルサスペンスですよこれ。

次は何読もうかな、太宰さん。
はい。

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