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全裸の呼び声 -48- #ppslgr

 アノートは神妙な顔でうなずいた。ことここに至っても自分の置かれた立場にいまいち実感がわかなかったのだ。

「露出会の目的も合わせて状況と、こちらの目的を再設定しよう」
「ほう、ワシからの説明はいらんようじゃな?」
「ああ、おおよそ検討はついた。間違いがあったら指摘してくれ」

 レイヴンはノートをテーブルの上に広げるとそれぞれの勢力を書き込む。

「俺たちが現状解決すべき問題は二つ。露出会による強制露出化精神汚染と、得体のしれない日本のドブヶ丘化だ。事象としては別だが、おそらくこの二つには相乗効果がある」
「ドブヶ丘化にともなう世界改変の余波に、精神汚染をのせていると?」
「ああ。だからドブヶ丘化を解消すれば強制露出も連動して緩和される可能性が高い。そうだろう?」
「その通りじゃ。われら露出者はこれまで、世界の露出均衡を対象に争ってきたが……闇の露出者達がいま一歩はたせぬ理由があった。チカラじゃよ」
「そもそもこれが初めてじゃないのかよ、はた迷惑だな」

 知りたくなかった世界の裏歴史に嘆息しつつ、レイヴンは続ける。

「だから最優先でやりたいことは明確だ。この異変の首謀者に遭わなけりゃどうにもならん。話し合いに出来るか結局殴り合いのどちらになるかは出たとこ勝負だが、遭遇するまでにマシな方への糸口をつかめればいいんだが」
「今こうして、ワシらが会話しているのは通じておらんというのか?さっきカバンは返してくれたじゃろう」
「それについてはぼんやりとしたイメージと感情が読み取られただけだと思います。現に言語はわからなかったし……」
「街看板の大部分は不明瞭な言語だったしな……って」

 アノートから飛び出した話に、つい残りの二人は食い気味で聞き返す。

『もうあったのか!?』
「あ、そうだった、まだ話してなかったね。といってもついさっき、夢の中での話で」
「さっきのホテルでのことか」
「夢、夢か。古来より神話存在は夢中を通して神託を告げたともいう。かくいう裸道流においてもかつて露出の神による神託についての伝承が残っておってだな」
「ほら話と笑えないタイミングで露出神託真実を話さないでくれ。一旦その話は横においておいて、コンタクトの方に話を戻すぞ」

 歴戦の司会進行ばりのチカラ技で、レイヴンは話の筋を元に戻す。

「彼女、とりあえず女性にみえたから彼女ということにしておくけど、向こうから話しかけられたはいいものの……正直まったく意味の汲み取れない情報を流し込まれたっていうか」
「良く発狂せずに済んだもんだ、まあ招かれた以上はその程度の適正はあるか」
「害意そのものはなかったように思う。なにしろ、相手がその気なら、私達は秒でコレでしょう」

 首が飛ぶジェスチャーをしたアノートに、二人も同意した。

「俺たちは猫の上のノミみたいなもんだ。ほうっておかれる分には死なずに済むが、飼い主が本気で始末しようとしたら手も足も出ない」
「しかし、実状としては露出会よりワシらに分があると」
「薄氷の差、だけどな」

【全裸の呼び声 -48-:終わり|-49-へと続く第一話リンクマガジンリンク

注意

このものがたりは『パルプスリンガーズ』シリーズですが、作中全裸者については特定のモデルはいない完全架空のキャラクターです。ご了承ください。

前作1話はこちらからどうぞ!

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