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【ベト日記5】日本語学習者がタメ語を話せるようになるまで半年かかる

■日本語は時制に異様にこだわる(ます、ました、ています……)

■日本語学習者はタメ語を理解できるようになるまで半年かかる



ベトナム人学生が、

私「もう病院に行った?」
ベ「昨日行きます」

とか

私「昨日行ったレストラン、おいしかった?」
ベ「おいしいです」

という間違いを繰り返すので薄々勘づいていたのだが……

ベトナム語には、過去形が、ない……!

というか、活用が、ない……!

過去のことだと言いたいときは「đã」という時制詞を、動詞の前に入れればいいらしい、が、「昨日」など、時を表す語句がある場合は、わざわざ「đã」を入れなくていいらしい。

なんて合理的なんだ! 確かに「昨日」って言えば、過去の話だって分かるもんな!!


「いました」と、テンスにひっかけた冗談が言えるセンスは、日本語的なんだろうな。こういう冗談が言えるようになると、学生、日本語上達したなと思う。

日本語を学ぶ学生は、こんな順番で動詞の活用を学んでいく。

「行きます」(とそのバリエーション)
・原型(行きます)&否定形(行きません)
・過去形(行きました)&過去否定形(行きませんでした)
・行きませんか?
「行き……」
・行きたいです
・行きましょう
・行きましょうか
「テ形」(行って)
・行って、食べて……
・行ってください
・行ってもいいですか
・行ってはいけません
「ナイ形」(行かない)
・行かないでください
・行かなくてもいいです
・行かなければなりません
「行く」(辞書形)
・行くことができます
・趣味は、映画館へ行くことです
「行った」
・行ったことがあります
・行ったり、食べたり……


というわけで、辞書に載っている「辞書形(行く)」を学ぶのは、かなり遅くである。

そして、辞書形を学ぶことにより、やっと「タメ語」が話せるようになるのだ!!

ここにいきつくまでに約半年かかる。つまり、学生は、せっかく日本語を勉強しても半年間はタメ語さえ分からないんだなー……

最近、学生がこの分水嶺を超えたので、やっとタメ語で話せるようになった。(それまでは、学生がタメ語を理解できないため、丁寧形でしか話せなかった)

学生にもタメ語の発話練習をしてほしいが、私とすることはできない。

というのも、日本の言語習慣において、「先生」とか「年上の人」にタメ語で話すことはイレギュラーだからだ。
(日本語教育の場においては、なるべく、教室以外で通用しない言語習慣や日本語は、登場させるべきではない、というのが、セオリーだ)

でも、私は、学生とタメ語の発話練習がしたい。
だから結構な無理な策をとった。

「今日は先生の妹がホーチミンに遊びに来てるよ! 呼んでくるからちょっと待ってね!」

と言って教室をいったん引っ込み、

「ハロ~~! レイ先生の妹だよ~! はたちだよ~! みんなとともだちになりたいから、ふつう体ではなしてね!」

と、無理やり人格交代し、二十歳のギャルになって、学生とタメ語で話したのだ……。


そしたらなんか、ローラみたいになってしまった。


いきなり初対面の人とタメ語で話すというのもそれはそれで不自然なんだな。学んだ。

今日のベトわん。

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渋澤怜(@RayShibusawa


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