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薬物療法を味方につけるために

薬物療法は、たいてい嫌われ者ですが、
適切に使うことは、回復のために非常に有効な方法だと、
僕は思っています。

今日の診察室から。

なんとか、楽になりたい一心で、
どうしたら! どうしたら!! と気持ちばかり焦ってしまって、
必死で対策をすればする程、もう、身動き取れないほどこじらせてしまった方。。。

ようやく内服も受け入れて、徐々に安定してきて、
今日はホッとしました!

そんな時の言葉は、こうです。

「自分の力ではどうにもならないと思いました」
「もう、家族にも甘えようと思います」

おめでとう!
ようやくスタートライン \(^o^)/

「回復の12ステップ」で言わせたら、ステップ1なのです。
頑張って、頑張って、自力でなんとかしなきゃ、
という時には、まだホントの意味で、治療が始まっていないのだと思います。

たいていの人は、病院に来られた時点が、年貢の納め時!
(頑張りすぎて、自分を大事にするという年貢を払わなかったツケね)
という感じになるのですが、
診断がついたら、今度は、早く回復できるよう、また頑張る!
みたいな感じになってしまう、筋金入りの頑張り魔も多いのです(笑)

回復、というのは全て自然の働きです。

野生種ヒトの、生体がもともと持っている、自己調整の機能が動き出した時、
脳神経系、自律神経系、免疫系、内分泌系の回復プロセスが始まります。
賢い頭であれこれ思いあぐねても、どうにもなることでは有りません。

薬物療法は、病気に対して、自力(意識できる脳)で戦うのをやめて、
身体の自然な働きに身をゆだねて、
薬理作用と生理機能のベクトルがよく調和した時、
初めて自分の味方になって、回復を助けてくれるのだと、
僕は思っています。

お薬を、憎き敵や異物と思っていると、
回復力とぶつかって、効果が出ないばかりか、
副作用として不快感ばかりが実感されてしまう感じになります。

今日のことば

患者が薬の作用に「賛成」すると、少量でよく効くようになる。
薬の力で患者をねじ伏せようとすると、大量の処方が必要となる。
どのように賛成してもらうかが、サポート。
ー 中井久夫(精神科医)

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