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良い質問、悪い質問

仕事始めてから、良い質問、悪い質問って何だろうと、ぼんやりと考え続けて、早10余年。これまで考えてきた、良い質問、悪い質問について、分類・定義をしていきたいと思っています。適宜、更新予定です。

更新履歴
初版: 2022年10月11日


良い質問


穴埋め質問

本来議論すべき論点が、論じられていないことを指摘し、会議の目的を達成せしめる質問。多くの場合、声の大きい人物ではなく、物静かで、地位は低いものの、有能な社員により繰り出される。

部長、そういえば、先日お願いした点、ご確認いただけましたでしょうか?

などと、控えめなトーンで発せられる場合が多く、その質問により会議の目的が達成されたことすら認知されないケースが多い。


問前質問

問題と前提を置き換える質問。硬直状態に陥った重苦しい雰囲気の中で、これまで問題とされていたことが、実は問題ではなく、前提であったと指摘する質問。多くの場合、同時に、これまで前提とされていたことが、実は問題であったことが、明らかとなり、事態の打開につながるケースがある。

「これって、実は、設備が問題なんじゃなくて、製品が問題なのでは?」

といった形で、その問題の解決に、最も情熱を注いでいた人物が、ひらめく場合が多い。


あらかじめ質問

何か決まったときに、次に起こる課題を想起させる質問。仕事のプロセス全体を理解している人物が、あらかじめ次に起こる課題を想起させることで、スムーズな仕事の進捗を促すことができる。

「この計画で行くとなると、○○部に連絡しといたほうが良いでしょうか?」
「この計画で行くとすれば、誰に連絡しといたほうがいいかな?」

といった形で、有能な部下が上司に質問したり、良心的な上司が部下に対して示唆を与えたりする場合に用いられる。

職場環境の良好さを図ることのできる、指標的質問。


トリアージ質問

会議中、上役より、明らかに優先度の低い、重箱の隅をつつくような指摘があった際、

「それは、○○よりも優先させた方がいいでしょうか?」

と切り返す質問。

「あ、いえ、○○を優先させてください」という一言を引き出すことで、参加者全員に、その指摘は重要ではないことを認知せしめ、優先度を下げることができる。

テキパキ系プロマネタイプから繰り出されることが多い。やや、切れ味が良すぎる場合があるものの、チーム全体の生産性を高める良い質問。


不勉強質問

立場の高い人間が、コンサル資料などのカッコいいデータを見て、内容もよくわからずに、「これカッコいいから、こんな感じのデータ出して!」と言われたときに、

「不勉強ですみません、どこ内容がカッコいいと思われるのか、ご教示ください」

などと、データの詳細を問う質問。

「え~っと、その辺は、○○さんに聞いといて!」

みたいに、即時対応を回避することで、不必要なデータ解析を回避することができる。

大抵は、仕事のできる、データ解析に精通したリーダークラスから繰り出される質問。対照的に、リーダーが上役の顔色をうかがうタイプであれば、明らかに無駄な解析も引き受けるため、リーダークラスの性質を見極めるための良い指標にもなる。


悪い質問


おとり質問

本来、重点的に議論すべきでない論点について、積極的に質問を行い、いたずらに時間を消耗させる質問。例えば、冒頭、部長がゴルフの話をしだしたとき、積極的にその話を展開して、会議時間を消耗させることが可能。本来の議題に注意を向けたくない場合に発せられる場合が多いことから、「おとり質問」と命名。

自分の発表議題について、準備不足の時に繰り出される場合が多い。成功すると、「あ、時間なくなったんで、次のアジェンダ優先させてください」、みたいに自分の発表を回避できる場合がある。


そもそも質問

これまで、所与とされてきた前提に対して疑問を投げかけ、すべての議論の転覆をもくろむ質問。その会話の中で、最も地位の高い人物が繰り出す場合に、最大限のダメージを与えることができる。

「そもそも、これなんでやってるんだっけ?」の一言で、これまでのすべての活動に疑問を投げかけ、場合によっては、停止させることも可能。外部から来た新しい上司が、自らの存在を誇示するために使いがち。

ただし、まれに、本当に意味のない仕事を撲滅することで、「良い質問」となる場合もある。


出会い頭質問

定例会などで、主だった議題がない場合に、主催者が参加者に対していきなり「○○さん、今日何かありますか?」と発せられる質問。主催者や司会のアジェンダ設定能力が低い場合に繰り出される場合が多い。

質問された側が「とくにありません」と答えることで、あたかも準備していなかったのが参加者の方であるかのような印象を与え、自らの準備不足をカモフラージュすることが可能。

また、質問された側が「あ、私からは~」と話し出した場合でも、会議を円滑に進めているような印象を与えることができ、あたかも司会者が有能であるかのように見せることができる。


犯人捜し質問

「これって、誰がやりたいって言ってるの?」「これはあなたがやりたいの?チームがやりたいの?」といった形で、責任を個人に帰することを意図した質問。決裁者が、快く思わない提案を受けたものの、明確に否定できる理由がない場合に、繰り出される。

提案側は、致し方なく提案している場合が多いものの、「誰もやりたいと思っていません」とも言えず、沈黙をもって否決されることが多い。

最終的には、誰もやりたいと思っていないので、否決されて結果オーケーの場合があるが、決裁者・提案者ともに心象を著しく害する。


秘伝のたれ質問

「これは、こういうことじゃなかったんだよね~。追加でこれやっといてくれる?」といった具合に、何かしら作業報告をしている人物に対して、作業の不備を指摘し、追加作業を繰り返し指示する質問。

必須ではない、かつ、工数のかかる作業指示を、繰り返し行うことで、より強力に相手にダメージを与えることができる。大抵は、立場が同等以下の、気に入らない相手に対して、繰り出される質問。戦意を喪失させ、排除することができる。


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