帰ってきたネコゼ

青い鳥のところ以外で長々とした言葉を時に吐露したいと思い、拙くダラダラをここで綴ってお…

帰ってきたネコゼ

青い鳥のところ以外で長々とした言葉を時に吐露したいと思い、拙くダラダラをここで綴っておりましたが思うところあり離れました。が、結局帰ってきてしまいました。 50に近い男のネガティヴな日常やらなんやらです。 よろしくお願いします。

マガジン

  • 小説 『波間を凝らす』 白石ケン至 まとめ号

    不定期に連載中の小説『波間を凝らす』をまとめました。 続けてお読みいただければ、何卒。

  • 僕と息子と過去と今 訳あり親子 別冊号

    自分と息子に纏わる記事をまとめました。離婚し離れた息子との再会、支え合い、勝手親の勝手な思いを綴りました。

  • 小説 『夢で見た』 白石ケン至 まとめ号

    連載小説『夢で見た』をまとめたマガジンです。 背負った生きづらさは宿命のために、男はこの迎え送る奇跡に惹かれゆく それは残酷か救済か、答えは夢の中に  インド、日本、過去、現在、彼女は呼んでいる

最近の記事

【読書感想文】『古くてあたらしい仕事』島田潤一郎(新潮社)

 読書感想文とするには相変わらず個人的なことばかりを綴ってしまい、申し訳ないのだが、なんだか自由に言葉を綴るとこうして自分の過去のあれこれが想起されてしまう癖があり、結局こうして今この文を読んでいる方にとってどうでもいいことを晒してしまうのだが、反省はしていない。(しないんかい! )  ツイッター(現X)の読書にまつわる情報には常に著者のことが綴られていて気になってはいたのだが、著書を読む機会が無いままに此処まで来てしまったかのような今月、新潮社から文庫化というやはりX上で

    • 【連載小説】波間を凝らす #09

      白石ケン至  艶のない黒に近いネイビー。適度リクライニングしたいかにも柔らかく座り心地良さそうな椅子。それに似つかわしくないとも言えよう左右前後の履帯、転輪が多く室内向けもあってゴム製であろうその履帯。これが金属製であったならば相当な悪路でも乗り越えていけるであろうとルタイの妄想は広がったが、そのクローラーの背後から静かな声が耳に届き我に帰る 「ご自分で乗り移れそうですか。」 質問に無言で答えながら、タバコを吸いたいがためにこれを用意してくれたことに罪悪感が湧き上がって来、

      • 【連載小説】波間を凝らす #08

        白石ケン至  目の前の軍人とマシンガンをぶら下げた二人、窓のない部屋に不安に似た圧迫を感じながらも、恐怖や緊張をあまり感じないのはこの軍人の発する柔らかい口調のせいなのだろうか。拘束を解かれたルタイは片手を支えに上半身を起こそうと動き始めたが、一体身体のどこが痛むのか脳が理解できないほどに全身のあらゆる箇所が痛み思わず「グワっ! 」と言う苦悶の声を上げた。目の前の軍人が無理をするなと声を掛けてくれたが、その声が上手く聞き取れないのはエラから耳元までを応急処置の包帯だろうか、

        • 【連載小説】波間を凝らす #07

          白石ケン至 「あぁ、リクビダートルだ。」  暗く窓のない病室と聞かされてはいる部屋のベッドの上でルタイはつぶやいた。先ほどまで見ていた夢の輪郭ははっきりとはしないが、首のイメージがこびりついているのだから、午前に目の合ったティンヌを始めとした氷水に浮かぶ実習生たちの断頭された頭に関連する夢だったのだろう。    リクビダートルを記憶したのはいつだったろうか、あれは学生時代上京していた洋都のミニシアターで鑑賞した架空の社会主義国家を舞台にした原子力発電所事故をドキュメント調に

        【読書感想文】『古くてあたらしい仕事』島田潤一郎(新潮社)

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        • 小説 『波間を凝らす』 白石ケン至 まとめ号
          9本
        • 僕と息子と過去と今 訳あり親子 別冊号
          4本
        • 小説 『夢で見た』 白石ケン至 まとめ号
          37本

        記事

          【連載小説】波間を凝らす #06

          白石ケン至  渋滞が止まり、ここが毎朝の駐船場であると気づくまでの間、防護戦闘服の海洋軍兵士の作業を放心するように眺めルタイはその光景に既視感を覚えていた。あの全身を守るような服と防毒マスク姿をいつか何処かで見たことがある。一体いつ何処であったのか。かつてテレビニュースで観た大陸で無差別テロを企て殲滅させられたカルト教団本部への軍の手入れの映像を想起し、それでは無かったかと訝る。  記憶を辿り弄るところから我に帰り、徐に足元の帆布トートバッグからビニール袋を取り出す。バッグ

          【連載小説】波間を凝らす #06

          【連載小説】波間を凝らす #05

          白石ケン至  魚卵工場での激務の二年半が過ぎていた。この二年半の年月を思う時の基準は春と秋に与えられる賞与が何回目であったか、のみであることに些かの呆れを感じてはいたものの、その一方ではこの今の労働は生きる糧を得るための手段なのだという自分への言い訳めいた決意のようなことを日々支えに働いていたのだった。では言い訳するほどの何かスキルのような術を手に持っているのかと言えるほどのものなどないのが現実自身なのだが。    そして離婚し離れた息子の為。養育費と学費を、彼を支えたい。

          【連載小説】波間を凝らす #05

          【連載小説】波間を凝らす #04

          白石ケン至  チェックポイントからいつもの職場に向かう海流路に無数の乗用船が連なる渋滞の進む遅さに嫌気が差し始めていた。この渋滞列の全てが魚卵工場の勤務者なのだろう。あの波を越えた者という前提だが。  ただ、ゆっくりと進むことではっきりと周囲の環境あらゆると言っても言い過ぎではない異常を五感全てでもって否応なしに体験する長い時間にあった。  午前の空の蒼を反射させることなく海面は魚卵工場に近づくに連れ濁りが濃くなっている。その本来であれば快晴の空が広がる上空を工場付近から立

          【連載小説】波間を凝らす #04

          【連載小説】波間を凝らす #03

          白石ケン至  先ほどの高波とは打って変わった穏やかな海面を漂いながら、ルタイは周囲の傾き、沈みかけている乗用船に向かって声をかけ続けた。同じ海洋民族であるが故に海に投げ出されることに関しては大きな問題に感じてはいないのだが、台風でもないこの状況でこれだけの船が転覆していることが大きなショックだった。怪我をしている者がいるかもしれない。大丈夫かと安否確認をし続けることに意識が集中していて忘れかけていたが、彼自身も口を切り未だ出血が止まっていないことが口内の鉄混じりのような風味

          【連載小説】波間を凝らす #03

          246見下ろして

          僕と息子と過去と今     5階の北向き、まだカーテンも付いていないサッシ向こう、ベランダの柵の向こう立ち並ぶビルや一軒家の隙間のやや離れた向こうに行き交うクルマが見て取れる。晴れ渡ってはいるが室内まで広がる寒さにコートを脱ぐことも忘れ、僕はその隙間の彼方の国道を凝視する。  僕はあの国道を知っている「ニーヨンロク」と呼ぶのだ。  18歳の息子が上京する。都内の専門学校に通うと昨年告げられたのだが、その息子と僕の関係性は今まで何度かここに綴ってきた。  離婚し離れた子と

          【連載小説】波間を凝らす #02

          白石ケン至  薄明かりに海面が蒼を帯び反射し、通過し左右後方に流れ去る時折の家船から照明の灯りが漏れている。数隻の家船が寄り集まる集落が不規則に点在するが、それらの間には所謂何もない、漂う荒海面が広がっている。一隻一隻の家船は周囲を、建材は様々だが、浮庭に囲まれており、裕福な家庭にはやはりそれなりの広い浮庭が広がっている。時折ペットとして飼育されている首輪のついた海獣類が寝そべっているが、野良の海獣も多く区別はつきにくい。金持ちの庭には何艘もの高級乗用船が並び、暖かい季節の

          【連載小説】波間を凝らす #02

          【連載小説】波間を凝らす #01

          白石ケン至  仕方なくこの時間に起床している。仕方ない、人生は。  その繰り返しなのだろう。人生は。    なんとなくイメージする、も、そんなイメージばかりをしているような気もするがやはりなんとなくそうした想いに耽ることで日々を生き抜いているような気付きも確かにあるのだが陸地と陸地の合間、狭い海峡と呼ばれる箇所。泳ぐ身体に向かって進行方向から海流がこちらに向かって流れ続けている。強烈だ。  バタ足を緩めればあっという間に身体は海流に押し戻されてしまうのだから、必死に流れに抗

          【連載小説】波間を凝らす #01

          不登校息子の親だったし、今もって

          僕と息子と過去と今   何やらやや重めな話であってもここにはこうして言葉として綴ることが許されることが救いなのかもしれない。重めであっても、それその現実を今背負っている多くの方がいることは間違いなく、かつて、いや、今持ってその覚悟は背負ったままこれからもやっていくと思っていると宣言めいたことを綴りつつ。  今年18歳になった息子がいる。僕は今独身だが、30歳の時の息子であり、当時は結婚していたのだから、つまりは離婚をしたのだ。45だったか46だったかなんだかもう何年前とい

          不登校息子の親だったし、今もって

          雨男で親心 溝の口駅周り冬の雨

          僕と息子と過去と今 白石ケン至  息子がいる。18歳で今年高校を卒業する。4年ほど前離婚し彼とも離れてしまったが、取り決めで彼が会いたい場合のみ面会することとなったのだが、勝手家族を捨て(事情が連綿とあったのだが)飛び出した父親であるにも関わらず彼は僕と頻繁にやり取りし、会うことを続けてくれている。まぁ、大概小遣い欲しさであることは百も承知なのだが、それでもあってくれることが嬉しく、そんな関係を続けてきた。昨年の秋には埼玉へライヴ参戦をしたいのでついてきて欲しいとのことで二

          雨男で親心 溝の口駅周り冬の雨

          見ているのに、見ていないような

           どうでもいいことを考えがちだ。考えているときはきっとかなり呆けた顔をしていることだろう。  深刻な人生の仕方のないあれこれを煮詰めるように考え込み、ゆっくりと沈んでいくようなことも多く、そんな闇めいたことはここにも時に綴ってしまうが、同様にそれが一体なんの理由でもって思考の渦の中に飛び込んでいるのか自分でも良く分からないようなテーマも多い    先日、知人と話していて幽霊のようないるかいないかがはっきりとしない存在についてのやり取りとなったのだが、もしかしたら常に見えている

          見ているのに、見ていないような

          アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』最終話から〜ボトル・ネック奏法(歴史)とその隠れた設定を(妄想含)

          まずはいつもの自分語りと、スライドギター、ボトルネック奏法とは  このアニメ作品に対するリスペクトをギター・プレイの視点から綴るにあたり、本編の画像をこうして貼り付けております。その行為は著作権侵害に触れる行いであることを認めております。どうしても個人的視点からの魅力を伝えたいという思いからであるのですが、ご指摘いただいた際には当然直ぐに全文を削除いたします。  尚、こちらの解説、かつてTwitter(現X)に於いてつぶやいた言葉の完全版となります。しっかりとあらためて解

          アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』最終話から〜ボトル・ネック奏法(歴史)とその隠れた設定を(妄想含)

          『夜が明ける』西加奈子(新潮社) 読書感想文

          ありふれているのかもしれないが、溢れ目にすることはなくその闇は個々人に抱かれている   境遇を思わされる。強烈で暗く、苛烈残酷で、それらを容赦無く伝えようとする作者の強い覚悟を真正面で受け止めているような。社会に伝えなければ、その社会を形作っている世間にその世間を感じ生きる誰しもが抱えている個人の闇を、そしてその暗闇の根源となる育ちの環境を。そういう覚悟が容赦無く。    好きな小説家がいる。この物語を描いた西ももちろん好きなのだが、長年その作家の言葉を追ってきた気がする。

          『夜が明ける』西加奈子(新潮社) 読書感想文