こっそり”マチ”を変えていく企み

先日、たまたま智頭町立図書館で面白そうな本を見つけた「こっそりごっそりまちをかえよう」(三浦丈典著)

設計事務所スターパイロッツ代表で、公共施設や各種「まちづくり」事業に関わってこられた三浦氏ならではの、遊び心たっぷりの本だ。

この本には、例えば「じぶんのいえにあだ名をつけよう」とか、「じぶんのいえでお店を始めるとしたらなに屋さんがいいか考えよう」とか、「自分がねこだったら近所のどこで昼寝するか考えてみよう」といったお題が立てられている。

本書では、そうしたお題ごとに、著者の簡単な考察が書かれているだけで、何か答えが書いてあるわけではない。

だけれど、ここに提示された問いを見ていると何故かとっても心をくすぐられてしまう。

それぞれの問いはとてもシンプルで、何か特別なスキルや経験がなくても誰でも取り組めるようなものだ。子どもと一緒に考えても楽しいかもしれないし、むしろ子供達の方が喜んで考えそうなネタが詰まっている。

自分の住んでいる町や地域には何もない。退屈だ、平凡だ。と言ってしまうのは簡単かもしれないけれど、想像力の拡げ方、使い方次第で、いくらでも面白くしていくことができる。

”マチづくり”というと、最初から何か大きなマスタープランを描いて取り組んでいくという事を考えがちだが、本書に書かれてあるような”小さな企み”を増やしていくことが、遠回りのようで、実は一番近道なのかもしれない。

本書は、公共施設や”まちづくり”に関わる人達にもお薦めだし、そういう視点で読むといろいろとヒントも得られることは多いと思う。

でもそれ以前に、日々の生活に少し潤いと変化を加えていきたいなぁと思った時や、企画やアイディア出しで行き詰った時などに、ふと読んでみると、思わぬヒントが得られるかもしれない。

斉藤弥世氏による挿絵も素敵だし、パラパラとめくって眺めているだけでも楽しい。


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