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“最後まで形に“ 複数の事業売却を経験したエンジニアで起業家の『豊吉隆一郎』が選ぶ4冊。

(この記事は2019年に作成したものを再掲載しております。)

業界のトップを走る「プロフェッショナル」が薦める本とは?読書をもっと面白くする実名ソーシャルリーディングアプリReadHubが、独自インタビューをお届けするReadHubTIMES。株式会社Misocaをはじめ、複数の事業売却を経験し現在投資家としてスタートアップ支援を行う豊吉隆一郎氏。豊吉氏が幼少の頃からの「モノづくり」に通じるオススメの本をご紹介する。【Professional Library】

1981年岐阜県生まれ。個人で複数のWebサービスの開発や売却の実績を積んだのち、2011年6月に株式会社Misoca(旧名スタンドファーム株式会社)を設立。
クラウド請求管理サービス「Misoca(ミソカ)」は20万事業者以上が登録するサービスに成長。2016年2月には会社を売却。シード向けファンド「ミッドランドベンチャーズ」設立。2018年11月にMisoca社の代表を退任。

最後まで形にする

幼い頃からずっと、私はモノづくりが好きでした。モノづくりの好きな父や祖父の影響で、店で売っているようなものも、自分で作ることができると感じられたのが今に大きな影響を与えています。

プログラミングに出会い、その基礎を学んだのが高専時代です。高専には優秀な人がたくさんいます。私はWebやマイコンのプログラミングを学び、チームで出場した高専ロボコンでは全国準優勝という結果を残しました。

高専卒業後は、個人事業主として活動しました。当時はECサイトのショッピングカートシステムや在庫管理システム、WEB制作などを請け負って作っていました。それと並行して個人ウェブサービスも作っていたのですが、それが徐々にうまくできるようになり、売却できるなものもでてきたのが、Misocaを立ち上げることにつながりました。

サービスを作るというのは簡単なことではありません。一度サービスを作ったことのある方ならご共感いただけると思うのですが、リリースが近づくにつれて「本当にこのサービスは必要とされているのだろうか」と半信半疑になってしまうのです。もちろん、全ての方がそうということはないと思いますが、私の場合はなってしまいます。

また、サービスをリリースしようと思うと、サービスが提供する「サービスの価値の本質」の部分とは異なる部分にも時間をかける必要ががでてきます。例えば各種法律の遵守やセキュリティに関しては手を抜けません。やりたいこととやらなければいけないことの板挟みにあってしまうので、サービスリリース前は大変です。

それでも私は、そういう苦労を超えて一気にリリースまで押し進めることができました。この点は、幼い頃からモノづくりに取り組んできた私の強みだと思っています。

視野を広く、大きく考えることを忘れない

1つのことばかり考えていると、視野が狭くなってしまうことがあります。

例えば最初は山登りをすることが目的で、道を切り開くために藪を刈る方法を学んでいたとします。でも、だんだん藪を刈るのが楽しくなってきてしまって、藪を刈る方法を学ぶのが目的になってしまって、最終的には山を登るのを忘れてしまう。

では、実際の仕事ではどうでしょうか。タスク管理や作業のマニュアル化が得意だったり、何かを突き詰めることが好きだったりすると、だんだんそれが楽しくなってきてそもそも考えなくても良かったことを考えてしまう。

いわゆる手段の目的化ですね。実は私はその傾向があって、一時期は進捗がなかなか生まれず困ったことがありました。そこで役に立ったのが『大きく考えることの魔術』です。

ミーティングで行き詰まってしまった時にも、そもそもこのミーティングが何のためであったかに立ち返り、最初の目標を見失わないようにすることに心がけるようになりました。

物事を小さく考えることは愚かとも言えます。私と同じように突き詰めすぎてしまっていると自覚がある方は、読んでみると本来自分のするべきことを考えられるようになると思います。

行動することでしか熱意は保たれない

「行動しろ」は、成功した人がよくいう言葉の1つですよね。これは「考えてないでやった方が解決が早い」という意味で使われることがありますが、私はもっと広い意味で行動の大切さというのを考えています。
この「行動しろ」の幅広い意味を教えてくれたのが『愛するということ』です。

「冷たく接されるようになったのは愛がなくなったから。」のように、「愛」は一般に自然と起きる現象として捉えられています。でも、この本ではそうではなく、「愛がなくなるのは行動がなくなっていっているから」ということを主張しています。

私がこれに共感したのは、これもまたサービス作りに通じる部分があるからです。よく情熱が注げることが見つかっていいですねと言われますが、情熱は勝手に湧いてくるものではありません。普段から行動を意識することで、行動が情熱を育てます。自分が取り組んでいることに本気になれないのであれば、行動が足りていないのかもしれません。(笑)


新しい視点を持てるのが読書

小学校の頃はよく星新一さんのショート・ショートを読んで、作品ごとに全く違う世界にワクワクする気持ちでのめり込んでいました。そのせいあってか、自分に新たな世界観を見せてくれる小説が好きです。

最近で言うと『あなたの人生の物語』は面白かったです。この本は映画化もされているのですが、主人公が自分の未来が見えるようになるという現実離れした物語です。

自分を主人公に置き換えて考えると、未来が見えた場合にそれを踏まえてどう生きていくのかという問いにぶつかります。すると、今の状況のありがたさであったり、今やるべきことが何なのかであったりと俯瞰することができます。

このように読書前と読書後で新しい視点を与えてくれるということが読書の醍醐味だと思います。

興味あることを最後まで

私は何を目指しているにせよ、他人と比べることなく、自分のできること、好きなことをやって行くことが最短の道だと思っています。

ハッカーと画家』は優秀なハッカー(本書では優れたプログラマの意味)である著者が、普段は知ることのできないハッカーの考え方を書いた本です。誰もが当たり前だと思っているルールに従順ではなく、良くも悪くも常識外れな結果をもたらすハッカー。

私は20代の頃、自分が内気なオタク(本書でいうnerd)であることに不安を感じていました。「こんな自分の人生はどうなってしまうのだろう?」という感じです。しかし本書で紹介されているハッカーの世界を知ることで、自分のような人たちは世の中にたくさんいてクールなことをたくさんしているし、なんなら最近裕福になった人の多くがプログラマだということを知って勇気をもらいました。

起業家だけでなく、何か自分がこの世界に対してインパクトを与えたいと考えているのであれば、人と比べることなく、できることから行動することで熱意を育て、最後までやり切ることが必要だと私は信じています。

※インタビューをもとに作成
インタビュー:青木郷師、文章:高井涼史


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