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キャリコン的映画レビュー『メッセージ』

お疲れ様です、キャリアコンサルタントのタケシマです

今回はSF映画『メッセージ』についてレビューします。個人的にオールタイムSF映画のベスト10には入る傑作です。この映画からは相手を共感することの大切さなどが見事な映像を通して伝わってきます。
*このレビューはネタバレを含みますのでご注意ください。まずは簡単なあらすじですが

巨大な宇宙船が地球に飛来、異星人の目的はわからない。物理学者、言語学者などのチームは彼らとのコミュニケーションを試みると驚くべき言語の構造がわかってきた。一方で宇宙船を敵認定する国は攻撃の準備をするが、、

【観点①】信頼と共感
沈黙を続ける異星人、向こうの文化も目的もわからないもちろん言葉も全くわからない。果たして敵なのか味方なのか???異先人はヘプタポッドと命名された。
地球を攻撃しに来たのかもしれない、、、政府は軍人と科学者チームに言語解読を指示するんですがこれがなかなかうまくいかない。こんな状態でなんとかコミュニケーションをしなければならない。さあどうするか、、、
最初にコミュニケーションのとっかかりを作ったのは言語学者のルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)が船内で勇気を持って宇宙服のヘルメットを脱いだ時でした。地球上とはいえヘプタポッドの船の中です、船内空気の計測上は問題はないけども何があるかわからないので調査チームの科学者も軍人も誰もヘルメットを脱がない。しかしルイーズは相手を信用して向こうに飛び込もうとする、それがヘルメットを脱いで素顔を見せることでした。ここからわかることは、まずコミュニケーションの第一歩は相手との信頼関係の構築です。これがなければ相手も話をしてくれません。

【観点②】非ゼロ和ゲーム
次第に彼らと言語的コミュニケーションが取れるようになってきます。次に起きた問題は地球上の国々の利害の対立でした。異星人の発するメッセージを各国は情報連携をせずに隠します。その結果暴走した国は宇宙船を攻撃しようとします。しかしここで科学者グループはこのメッセージが<非ゼロ和>であることに気が付きます。これはゼロサム(誰かが得をしたら誰かが損をする)ではないこと、つまり全プレイヤーが協調すれば全体が得をすること、全体的もっと大きな利得を得られるということでした。
ここからわかることは、相手との協調の大切さです。人間はともすれば相手が得をするとその分俺が損するかも、、などと考えがちですが<非ゼロ和>という考え方ではそうはなりません、自分の得は相手にとっても得になることがあるのです。

【観点③】未来を回想する
ルイーズは異星人ヘプタポッドの言語を習得する中で彼らの非線形的な時間概念を理解します。ヘプタポッドの時間概念は過去-現在-未来と線型的に流れるものではなく時制は存在しないのです。”今”ルイーズは独身であり娘はいないのですが、なぜか自分の娘を病気で失うというフラッシュバックがなん度も起きます。ある時ルイーズは気が付きます、自分はヘプタポッドの時間概念を理解した結果”未来を回想”できるようになったのだ、もしそうであればあのフラッシュバックは自分が未来に生む娘のことか、、、、 
ジャン・コクトーの言葉に「詩人は未来を回想する」という名言があります。さすが詩人ともなると一般人が持つ時間概念とは違い、未来を過去のように思い出したり、過去を未来のように予期することができるのかもしれません。
ヘプタポッドの時間概念はコクトーに通じるものがあるでしょう
ルイーズはそんな悲しい未来を”回想”し知ってしまっていたのですが、それでも愛する人と結婚し娘を産もうと決心します。もし時制がないのであればルイーズと娘が生きた証は永劫回帰し続けるという決意があったのかもしれません。

映画『メッセージ』は以上のようにコミュニケーションについての多くの示唆を得ることができます。原作はテッド・チャン『あなたの人生の物語』というSF小説でこちらも大変素晴らしい作品ですのでおすすめです。

ではでは








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