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あなたの好きな海は何色ですか?

――相手に寄り添うときに大切にすべきなのは、常識とか正しさではなく、相手のなかにある答え


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「相手に寄り添うとはどういうこと?」というテーマで話していこうと思います。

📚相手に寄り添うって?

これまでにも何度か触れてきましたが、僕は相談されることが多い人でして、時に抱えきれないくらい重い荷物の中身を見せてくれる機会があります。箱の中身を軽くすることはできないけれど、話すことで心が軽くなればと思い、いつも真摯に傾聴しています。

複雑な家庭環境、恋人の浮気、低い自己肯定感に因る自傷行為、理由の無い不安……生半可な気持ちで向き合ってはいけない中身を見せてくれることもあるので、僕も背筋が伸びます。どうにかひとつの結論までたどり着けるように、いつも時間をかけて答えを探っていくんです。

そんなことを繰り返していると、心理学やカウンセリング術を学んできたわけではないのに、相手に寄り添うためにはどうすればいいのか、何となく分かってきました。今回はそんな話をしようと思います。


次の節にいく前に、ひとつ質問をさせてください。

「あなたの好きな海は何色ですか?」

📚あなたの好きな海の色

前のクールで放送されていたドラマの中に「リエゾン」がありました。発達障害のある医師が、発達障害のある子どもと向き合う医療ドラマです。全部の話を見ることはできなかったんですが、とても心打たれる瞬間が多くありました。

医療が発達したこと、そして多様性がうたわれるようになったことで、いろんな症状、心の状態、考え方、価値観に名前がつくようになりました。

人それぞれ感度の違う心を持っているんだから、何かの基準にあわせてしまうのではなく、ひとつの個性として受け止めて、その人の生きる道を尊重する。そんな姿勢を持つことが大切だと唱えられる時代になったのです。

ドラマ「リエゾン」の中には、じっとしていられない子がいたり、繊細な心を持っているがゆえに親に反発してしまう子がいたりしました。その人がその人らしく生きるためにはどうすればいいのか、考えさせられるドラマでした。


物語を彩る主題歌はコブクロの「エンベロープ」という楽曲。

実は僕、中学時代から敬愛しているアーティストでありまして、かれこれ10年近いコブクロファンです。ちなみに「リエゾン」を観るきっかけになったのも、コブクロが主題歌を担当するからです(笑)

主題歌の「エンベロープ」の歌詞がすっごく秀逸で、今回の記事のテーマ「相手に寄り添うとはどういうこと?」の問いに答えてくれるので、紹介しますね。

青色の欠けた 色鉛筆を抱えて
海を描くあの子は 夕暮れが来るのを一人
笑顔で待っている

もし あの子に一つ渡すなら
青色のそれじゃなく
好きな色に 空が染まるまで
寒くはないようにマフラーを
時間だけが包み込む色
影の向きで 光を感じる

コブクロ「エンベロープ」

📚相談者のなかに答えはある

「あなたの好きな海は何色ですか?」と訊かれたとき、多くの人は青い海を想像するのではないでしょうか。もちろんそれはひとつの答えだけれども、たったひとつの正解というわけではありません。

「エンベロープ」の歌詞に登場する「あの子」のように、夕暮れ色の海が好きな人もいるはずです。僕自身、青い海よりも赤みがかった色の海の方が好きです。特に、夜明けの海が一番好き。

青い色鉛筆がないから、青い海を描けない子。「海は青いものだから」を理由に、青い色鉛筆を手渡すのは違います。その子は、夕暮れ色の海が好きだから、青い海を描かないでいる。描けないんじゃなくて、描かないんです。



相手に寄り添うためにするべきことは、その人のなかにある答えを見つけること。そして、それを尊重すること。「エンベロープ」の歌詞でいえば、「好きな色に空が染まるまで寒くはないようにマフラーを」渡すことです。

相手のためを思って青色鉛筆を渡す人がいるけれど、それは時に間違いだったりします。相手に寄り添うときに大切にすべきなのは、常識とか正しさではなく、相手のなかにある答え

厄介なことに心の数だけ正解があるので、相手の話を聴かずして、自分の価値観や常識を頼りにして寄り添おうとすると事故が起きるのです。対話して、相手の心が動きたい方を察知する。そして、動きたい方へ踏み出しやすいように、心の背中をそっと押してあげる。それが相手に寄り添うことだと、僕は思います。

この考え方は、日常のコミュニケーション、教育、仕事、あらゆる場面で使えるものだと思うので、何かの参考になったら嬉しいです。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20230614 横山黎



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