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学校と塾、それぞれの役割

 現在の日本では中高生の多くが塾に通っています。全国で61.4%の中学生が塾など学校以外の教育サービスを利用しています。 
今回は、教育における学校と塾の役割の違いを、それぞれの長所や短所を明確にしながら考えていきたいと思います。

1.学校の役割 

 まず、学校の役割です。学校の役割は、第一に生徒が知らない知識や概念を教えるというものが挙げられます。基本的に生徒は学校で新しいことを学習し、問題演習や実験を行って理解し、身に着けていきます。これはほとんどの方にとって共通する学校の役割ではないと思います。

 さらに考えてみると、入学試験のない公立の小、中学校であれば、様々な学力の生徒が通うことになります。このため、いろいろな生徒と関わりを持つことができます。私学は学力によってある程度選抜されますが、塾や予備校と比較すると、学校では様々な学力の生徒と関わることができます。学力や志望校で細かく分けられる塾では、自分と同程度の学力の生徒が大半という環境になります。もちろんこれには良い点もありますが、様々な考え方の生徒と接する機会は、学校ほどは期待できないといえます。一方、学校では様々なレベルの生徒が在籍します。このため、発表やディスカッションなどの活動を取り入れることで、自分とは異なる考え方、視点と触れ合うことができます。また、そのような活動によって、自分の考えをより高度に、深めることができます

 また、学校では授業以外に部活、行事といった活動が行われています。このような活動によって授業では得られない社会性を身につけたり、非認知能力を得たりすることができます。

 学校には、新しい単元を学習し、理解するという役割と、様々な人の意見に触れ、自分の考えを深めることができるという特徴があります。また、授業以外の活動によって学習以外の能力を伸ばすこともできます。

2.塾の役割

 学校に対して、塾にはどのような役割があるでしょうか。塾の必要性は、学校だけではフォローしきれないような状況で生まれると考えられます。学校では3、40人程度の生徒が同じクラスで授業を受けています。生徒によって学力レベルや、得意、不得意が異なります。また、生徒全員が同じ目標に向かって学習しているわけではありません。中学を卒業したら就職を考えている生徒いれば、有名私立高校を受験したいと考えている人もいます。そのような様々な状況の生徒に一斉に授業を行うため、理解不足や、さらに上を目指す生徒のフラストレーションが生じることは自然といえます

 そのような状況で、塾は必要とされます。塾は目的によって大きく2つに分けられます。1つは、学校の学習だけでは十分に理解できない場合、それを補うための「補習塾」です。もう1つは、進学するために学校よりもさらに高いレベルの授業を受けるための「進学塾」です。

 補習塾は学校だけでは理解が追い付かない生徒に対して、学校の授業をもう一度おさらいしたり、前の単元に戻ってやり直したりという方法を取ることが多いです。補習塾として塾を利用する場合、形態は個別指導塾であることが多いと感じます。個別指導塾は、1~3人の生徒に対して1人の先生が対応してくれるので、生徒に合ったペースや教え方で授業を進めることができます。これは一斉授業を基本的なスタイルとしている学校ではできない方法です。補習塾は、学校の授業についていくことが難しい生徒に対して、非常に大きな役割を果たしているといえます。

 また、進学塾は、学校の授業を先取りし、かつさらに発展的な学習を行うことができます。また、進学塾はさまざな学校から同じ志望や、学力レベルの生徒が集まり切磋琢磨できる環境があるため、これも学校では得られないメリットの1つです。しかしこれは進学指導においてはメリットですが、前述したように、様々な人の意見を取り入れるという点では十分ではない環境といえます。

3.まとめ

 学校と塾にはそれぞれの役割があります。塾は、学校だけでは不十分な現状があるため、これだけ多くの生徒が利用し、業界として成立しています。学校の先生の中には、塾は受験や進学に向けた詰込み教育が中心で、本質的な学習ができないという意見を持つ方も少なからずいます。しかし、補習塾などのように、学校の授業だけでは理解しきれない層の生徒を塾が支えているというのも事実です。また、進学塾で様々なライバルと切磋琢磨し、能力を高めていく生徒も確実にいます。
 学校と塾は敵対するのではなく、それぞれの役割を理解し、お互いの特徴を生かしながら教育を行っていくことが、現代の日本の教育においては重要ではないかと考えます

お読みいただきありがとうございました。


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