AIに奪われる心配がないのはむしろ「体を動かす仕事」のほうかもしれない
AIの進歩で肉体労働の仕事は奪われ、人間には「創造性が必要な仕事」や「コミュニケーション力が必要な仕事」ぐらいしか残されないようなことが言われてきましたが、ChatGPTなどを見ているとそれらの仕事も安泰とは言えなくなってきたようが気がします。
イラストレーターやライターといった絵や文章を「創造」する仕事も生成AIが代替できるようになり、お客様からの苦情メールも対話型AIがうまく返信してくれるようになっているので、「机に座って頭を使うだけの仕事」はいずれ失業するかもしれません。
一方でAIがどれだけ進歩しても当面は奪われそうにない仕事があります。
それは様々な動作を要する肉体労働だと考えています。
理由は「頭で考える能力」は人間を超えることができても、「人間の全ての動きを完全に再現できるロボット」はまだ実現には至っていないからです。
ロボット技術もかなり進歩していますので、二足歩行ができて、走る、飛ぶ、バク転もできるようなロボットは既に実現しています。
また、ペッパーのように上半身だけなら人間に近い動きができるロボットも存在しています。
しかし、人間の仕事を替わりに行うためには一体のロボットの中にそれらの機能を全て組み込む必要があり、かつ人間なみの繊細な動きもできるようになる必要があります。
例えば「清掃」という仕事は様々な動作が求められますが、ロボット掃除機のルンバは「まっ平な床のゴミを掃く」という動作しかできません。
床にこぼれた液体を広がらないように拭き取るにはまた別の動きが必要であり、汚れの種類によって拭き取る力加減も異なるのでかなり高度な動きが必要です。
そんなわけでもし「ホテルの客室清掃」をロボットにやってもらおうと思ったら今のロボットでは到底無理で、それこそ「ドラえもん」レベルのロボットでも作らないとダメかもしれません。
部屋に落ちている物体が「ゴミ」なのか「お客様の忘れ物」なのかも判断する必要があるので、考える部分においても今のAIよりも更に高度なレベルが求められます。
いずれは「ターミネーター」のように人間と全く同じ動作ができる二足歩行型ロボットが実現するかもしれませんが、技術的にはまだまだ時間がかかりそうなので、少なくとも私が生きているうちにホテルの客室清掃をロボットがやっている光景を拝むことは無さそうです。
肉体労働の仕事は今まで不当な扱いを受けてきた面もありますが、このようにAIが進化するほど肉体労働の価値が見直されていくのでしょう。
しかも今は肉体労働の仕事の多くが人手不足に陥っているため今後は賃金の上昇も期待できます。
人間は誰も「頭を使う仕事」に向いているとは限らないので、額に汗して働いても充分な収入が得られ、世の中から認められるのであれば、それはそれで社会全体にとっては良いことだと思っています。
「AIとの競争」ばかりがクローズアップされて、みんながみんな「頭がいい人」にならないと生きていけないような社会はむしろ「ディストピア」かもしれません・・・
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