本をつつむ 装幀をつくる人 #つつんで、ひらいて
「あ、この本!」
そう思うのは、印象に残る本の外側の部分、表紙や裏表紙、背表紙などを目にしたときだ。
棚の中で、その本の背表紙がキラリと光って、目が留まる。平積みにされた表紙が、特徴のある顔のように見える。目があってしまい、そらすことがむつかしい顔だ。
「どんな本だろう?」と手に取る。
帯のコピーを読んで、「読んでみようかな」と思う。
装幀の手のひらの上で、購買意欲を良いように転がされる。
読み手の気持ちを動かすような、本の装幀をつくる人は、その1冊の本の装幀をつくるために、自分自身の心を動かしている人かもしれない。
装幀者・菊地信義さんを追ったドキュメンタリー「つつんで、ひらいて」を観た。
紹介される本の装幀、ああ、あの本も、この本も、菊地さんの装幀だったことを知らずに、本を知っていた。
装幀をつくる過程が、段階を踏んで紹介されるので、
出版業界の方は、「そう、そう」と思うし、
そうではない方は「そうやって、本ってできるのね」と感心するだろう。
丁寧な装幀は、やはり、手がかかっている。
材料にもこだわっていたりする。
一つ一つの工程に工夫がある。
つくっている人は、いろいろな課題があっても、結局、それを楽しんでいるようににみえる。
映画「つつんで、ひらいて」は、
本をつくる「職人」さんの仕事を紹介した映画といえるだろう。
こだわりのある職人さんなので、プライベートはどんな人だろうと興味がわいた。
ドキュメンタリーなので、そういう部分も出てくるかなと思っていたのだが、骨董の趣味が少し紹介されただけで、家族とか、日常の暮らしについては出てこずに終わってしまったので、ますます気になった。
菊地さんはエッセイを書かれているそうなので、読んでみようかな。
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