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記憶とバイリンガルの可能性、第二言語を使うと記憶力があがる?

みなさんはFalse memoryという言葉は知っていますか?
日本語で虚偽記憶といわれるものです。

虚言癖のある人たちにある特殊な記憶というわけでもなく、
みなさんも経験できるような日常的に起きる現象です。

例えば、今から下に提示する言葉を10秒かけて覚えてください。



枕、カレー、ベット、河川敷、シーツ、ライト、海、夜、走る、
蚊帳、羊、ソファ、線香、布団、机、月あかり、わたあめ、休憩所、蛍、
休息、家、携帯、食べる、蝿、アイスクリーム、音楽、革靴、休む



覚えられましたか?次に上記の言葉を隠してください。

では質問です。

「眠る」という言葉はありましたか?


はい、と答えた方。
おめでとうございます。それが、虚偽記憶です。「眠る」というワードはリストにありませんでしたが、それに関連した言葉がたくさんあったことであるはずのない「眠る」という言葉の記憶が作られたのです。

いいえ、と答えた方。
もしかしてこの問題を知ってたんですか?


そんな冗談はさておき、もし先ほどの言葉のリストが英語だったら記憶力はあがると言われたら信じますか?

北京にあるシカゴ大学の記憶の研究をしているラボで、英語が第一言語でない人たちに英語ver.の上記のワードリストテストを被験者に受けさせたとき、驚くべき結果がでました。

第二言語を持つ人々は、言葉を完全に理解できないからその人たちの発言には不明瞭な可能性があるという偏見があります。

しかし、実際には第二言語だからこそ、言葉の理解をする際、認知機能に負荷をかけることが多くなるので実際には第一言語で話す人たちよりも記憶力が増すという結論がでました

仕組みはこうです。
日本語で記憶力テストを行った場合、「眠るに関連性の高いものを記憶する仕方をしたと思います。しかし、これを英語で記憶力のテストを行おうとすると、違う記憶の仕方をとることになると思います。例えば、似たようなスペルがあったり、言葉の意味を覚えようとするから忘れにくいので母国語と違った方法で記憶をするということから、記憶力があがるというのです。

さらに、もう一つのテストを行なっていました。

内容は、北京語を母国語とする人々が犯罪の無音ビデオを視聴をさせました。その後、彼らは英語と北京語でつけられた音声ナレーションを聞きました。ナレーションには犯罪の詳細を話しており、一部は真実であり、一部は嘘の情報でした。

すると、嘘の情報を外国語で得た場合、母国語で聞いた場合よりも間違いを認知する可能性が高いことがわかりました。

この結果は法的、政治的、日常の意思決定における記憶と言語の役割を私たちがどのように理解するかに大きな影響を与える可能性があります。

日本では頻繁に外国人の誤認逮捕が問題として取り上げられています。しかし、その本質は彼らの言語理解に対する偏見に繋がることもあります。この研究結果を知ってもらうことでそのような偏見が減らせたらな、という希望をもってこの記事を出しました。

では、今日はこれにて締めようと思います。
最後までこの記事を読んでくださり、ありがとうございました。


参考文献:

元論文:
Grant, L. H., Pan, Y., Huang, Y., Gallo, D. A., & Keysar, B. (2023). Foreign language reduces false memories by increasing memory monitoring. Journal of Experimental Psychology: General, 152(7), 1967-1977. https://doi.org/10.1037/xge0001378


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