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その時代のエネルギーを読み取る"TOKYO MODERNISM 2022"

子どもの春休みに付き合いながら、私に許された数時間の余暇を過ごすのに始めに行った「ATELIER MUJI」。


「TOKYO MODERNISM 2022」として他にIDEEやMUJI HOTELの客室も会場となり、日本各地のギャラリーやショップから集められた1950〜1960年代を中心としたモダンデザインの家具や食器が展示されている。一部商品は販売やオークションも行われており、高額な家具も多くSOLD OUTになっていた。


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グラスファイバーやFRPなど素材が発達し形状の自由度が高まり、挑戦的なデザインが多く見られるミッドセンチュリーの時代。国やデザイナーがバラバラな家具が並んでも何となく統一感がある。

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マークニューソンの椅子の隣に岡本太郎の作品が並ぶのが何とも面白い。岡本太郎氏の「座ることを拒否する椅子」は、座り心地のいいモダンデザインの椅子に落ち着くような生き方の否定から発想された。クスッと笑えるコンセプトと座面の表情、変わらぬアーティスティックさに脱帽。

また当時の各国における時代背景も家具から多く読み取れた。

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1.ブラジルの宇宙的な建築に通ずる家具たち

青い空に白い曲線の宇宙的なフォルムが印象的で、オスカーニーマイヤーを始めとして情熱を持って独自の建築文化を遂げてきたブラジル。正直家具デザインに着目することがこれまでなかったが、その文脈が家具にも見られる。これは機能的なんだろうか、という疑念を吹き飛ばすほどの圧倒的な曲線美。一方イタリア出身のリナ・ボ・バルディの作品は建築も含めて機能的で大変興味深いので別の時に触れたい。

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2.洗練されていて上質な日本のモダンデザイン

日本人のデザインは、私が日本人だからか、色んな美しい、といえる解釈の中でもやはりスッと納得感のある美しさである。倉俣史郎氏は現在の日本のデザイン界に多大な影響を与えながら、私が大好きなエットレソットサス氏とも交流があり、互いに共鳴し合う存在である。軽やかで繊細で実直、日本人の良い部分が凝縮されたデザインだ。

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3.日常の食卓を彩るフィンランドのガラス食器

フィンランドのガラス食器はミッドセンチュリーの時代に大きな発展を遂げ、現在では世界中の食卓で最も多く使われているのではないかと思う。シンプルで機能的で、料理の邪魔をしない程度に色づけされたガラス食器はシーンを選ばず使われている。その多くを手がけたカイ・フランク氏によってデザインされたカラフェは、遊び心もあり丸みを帯びたフォルムは触り心地を試してみたくなる。


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ちなみにフロア内にはライブラリーもあり、柚木沙弥郎氏を始めとして長居をしたくなる書籍のラインナップだ。

ミッドセンチュリーの家具は、どの国でも自由で開放的なデザインが多く、新しい素材や形状へのチャレンジが見られる。家具のひとつひとつからそのエネルギーが読み取れる。

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