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赤魚の唐揚げの南蛮漬け ロワール自然派ワインの甘美な果実味と強靭な酸味

下ごしらえをした赤魚を揚げつつ、並行して南蛮漬けのタレを仕込み、揚がったものをしばし漬けて…。という家庭料理の工程をスキップ。つくりおき.jpから出来上がった赤魚の唐揚げの南蛮漬けが届く。

先日に続いての利用で、前回は赤魚の煮付けが入っていたが、もしかして赤魚が得意分野なのかな。赤魚ウェルカム!

つくりおき.jpの特徴としてボリュームが多い。4人前とのことだが、大人二人、子供二人(小学生・幼稚園児)では余るくらいで1日では食べきれないほど。そしてもう一つの特徴が全般的に穏やかな味付け(ヘルシー系)。今回の南蛮漬けもやや穏やかな味付けではあるが、唐揚げになって凝縮された赤魚、そこに南蛮漬けのネギの香味とお酢の酸味でお酒のつまみにも程よい感じ。すみません、そもそもつくりおき.jpもお酒のつまみ需要のために商売をやってるのではないでしょうねw

さて、合わせたのはフランス ロワールの自然派白ワイン(シュナン・ブラン品種)、イタリア アブルッツォ州のオレンジワイン(ピノ・グリージョ品種主体)、スペイン 北東部ソモンターノの赤ワイン(テンプラニーリョ)と3色のワイン。いずれのワインとも好相性を見せてくれた。特筆すべきはロワールの自然派白ワインとの相性。自然派ワインの親分ニコラ・ジョリーのワインで、いかにも自然派といった感でたっぷりのビネガーなどの香りを伴う。これが南蛮漬けのお酢との調和よろしく、また蜜のような繊細でいて芯のある果実味の魅力が、唐揚げになって凝縮された赤魚の甘みのある脂にリーチ。このワインが造られるロワール川付近では地元の川カマスを使った料理に地元のワインが好んで合わせられるが、お魚との相性素晴らしいワイン。

この自然派ワインを開けた直後は、ビネガー系の香りや強靭な酸味の主張が強く、合わせる料理を選ぶ孤高の気難しいワインといった佇まい。なかなか減らずにセラーにしばらく置きっぱなしになっていた。

セラーに鎮座のニコラ・ジョリー(左から2番目)

が、開栓から約1ヶ月、ビネガー系の風味が穏やかになり、果実味の中の甘美な蜜の風味の魅力が増した。さすがの驚異的生命力。

ちなみにこのサヴニエール・レ・ヴュー・クロは5年前にカーヴ・ド・リラックスの特価セールで約3,000円で購入したものがセラーに眠っていたもの。

現在流通している2020ヴィンテージは7,000~8,000円ほどのよう。こちらは入門編ワインで、ニコラ・ジョリーの看板ワイン、クロ・ド・ラ・クレ・ド・セランは同じ2020ヴィンテージで15,000円前後。こちらも数年前に特価で買った2015ヴィンテージのものがセラーに眠っているので、シーフードに合わせるのが楽しみだ。トゲトゲしかったら、また気長に1ヶ月かけてゆっくり飲もうw

さて、赤魚の唐揚げの南蛮漬けとそれぞれのワインの相性について。


ドメーヌ・ニコラ・ジョリー, サヴニエール, レ・ヴュー・クロ2015, 約3,000円(5年前に特価で購入)
Domaine Nicolas Joly, Savennieres les vieux clos

ロワールを代表するワイナリー。ニコラ・ジョリーは、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)を取得、その後ウォールストリートで働く。モルガンスタンレーなどで勤務した後、1976年に仕事を辞めフランスへ帰国。母が運営していたワイナリーを継ぎ、ワイン造りを始めた。農薬や化学肥料を一切排除、「ビオディナミの伝道師」と称される自然派。
香りには花梨、黄色い花、りんご蜜、イースト香、ビネガーやフェノリックなタッチ、トマトリキュール、ニュアンスに富む。
味わいにはパワフルでやや攻撃的な酸味を伴う底力のある果実味。旨味と滋味溢れる中に奥に微かに甘美な蜜のニュアンス。ゆったり続く余韻にもビネガー系の酸味あり。

赤魚の唐揚げの南蛮漬けにワインを合わせる。ワインのやや強めのビネガー香に、南蛮漬けの酢の酸味が調和。唐揚げになって凝縮された赤魚の甘みのある脂を、蜜のような繊細でいて芯のある果実味が抱擁。魚の風味のボリューム、方向性とワインのそれがみごとに調和。相性: ★★★★☆


ファビュラス フォエミネ ピノ・グリージョ, イタリア, アブルッツォ州, 2021, 13%, 2,475円
Fabulas Foeminae Pinot Grigio, Italy

アブルッツォ州マジェラ国立公園内のPretoro自治区内(標高602メートル)に畑を所有。
カモミールと地元の植物から搾取した野生酵母を使用。ピノ・グリージョを主体に大樽で発酵後、さらにアンフォラと木樽で熟成させたオレンジワイン。ピノ・グリージョ85%、その他15%。
黒ブドウのロゼワインのような鮮やかなチェリーレッドの色調。
香りにはフレッシュな巨峰のジュース、チェリーリキュール、切って少し時間が経過したグリップのあるリンゴの香り、ほのかにシソエキス。ゼラニウムやバラのフラワー香。
味わいにはブドウの滋味と旨味の密度が凄まじくとろっとした口当たり。陶器の引き出すブドウの力か。涼やかな酸味、余韻にほのかなタンニン。もはやピノ・グリージョを超越。

赤魚の唐揚げの南蛮漬けに。料理の甘辛の味付けに、オレンジワイン特有の果実味の滋味と旨味が相性良い。特に唐揚げになって凝縮された赤魚の風味、脂の甘みとの繋がりが抜群。相性 ★★★★☆


エナーテ, テンプラニーリョ, スペイン, ソモンターノ, 2020, 1,980円
Enate, Tempranillo, Somontano D.O, Spain, 2020, 14.5%

ピレネー山脈の麓、フランスとの国境に近いスペイン北東部アラゴン州ソモンターノ。原産地呼称認定(D.O)は1984年と比較的新しく、テンプラニーリョなどのスペイン古来の品種に加えて、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネ、ゲヴェルツトラミネールなどの国際品種から洗練されたワインを生み出す。
香りには完熟ブラックチェリーのハリのある果実香にチェリーリキュール。鼻が乾きを覚えるほどアルコール高いが茎のニュアンスありジャムより青果の印象。よく馴染んだ樽香。
風味は非常にパワフルな果実味とアルコールを備えつつ、的確な酸味とフレッシュ感あり、エレガントな抜け。タンニンはやや荒く微かな塩味と共に舌に渇きを与え非常に長い余韻。

赤魚の唐揚げの南蛮漬けに。どうしても風味ボリュームの強い赤ワインが優位になってしまうが、料理とも心地よい調和。赤魚脂の甘みと南蛮漬けの酢の酸味により力を増した料理のボリューム感に、赤ワインのボリューム感が重なり合う。タンニンは力強いが攻撃的ではなく、料理の余韻にも好意的に重なる。相性: ★★★★☆

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