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本物の豊かさと貧しさと心強さと〜東京都のお米クーポン事業に思う

9月27日の朝にツイートしたつぶやきがかなりリツイートといいね!されている。そこまで爆発的な拡散ではなく、バズったとまでは言えないかもしれないが、現在10月1日朝で1724リツイート、。2848いいね!というのは私個人のTwitterの歴史の中では最高の拡散だ。そのツイートとは以下だ。

「東京都が非課税世帯に送った米が、食べきれないと、フードバンクに送られたり、フリマ転売されて、都は趣旨と違うので転売しないでと言っているというニュース。でも今、困窮世帯に必要なのは現金なのです。米は電気代にならないが転売すれば電気代も払える。都は貧しい人の実情がわかってない。」

東京都のお米クーポン事業に苦情が殺到というニュースにたいしてのツイートである。

お米をもらって食べて、そこで浮いたお金を現金が必要なところに回せばいいという意見もあったし、米はいらないと言える人はまだ選ぶ余裕のある人、ギリギリの食費で賄ってる人間にとってはこの米もありがたいという意見もあった。特に、後者についてはそうかもしれない。しかし、東京都がこの事業に使った予算を見ると、そうとも言えなくなる。

FRASHのWEB版の記事によれば、今回の事業はJA全農が随意契約で請け負っており、契約金額は268億円。当初はお米のみを配る事業だったようだが、その後、非課税世帯の生活状況などを勘案し、お米とペットボトル飲料や都内産野菜、乾麺などを組み合わせたコースも付け加えられた。しかし、FRASHの記事によれば、お米以外のものとの組み合わせコースを頼んだところ、今、在庫がないのでお米のコースを選んで欲しいとゴリ押し。申込書には第3希望まで書くようになっていて、別の女性も第3希望のお米のみ25kgが送られてきたそうだ。結局は余った米を税金で処分するために非課税世帯が利用されたように見えてしまう。

契約金額給付対象となった非課税世帯は174万世帯。それに対して、268億円ということは、現金給付なら、事務手数料を考えなければ、一世帯に約1万5千円が配布できる。25kgの米を1万5千円で購入するとしたら、1kg600円、これなら新米の美味しいコシヒカリが買える。でも、都の施策で送られてくるお米は、そんなにいいお米のわけがない。食べていないからわからないけれど、、、。また、1万5千円もらって安いお米を探せば、新米でも40kgは買える。

非課税世帯への給付は今年度、ほかにも行われているので、そのデータを使えば、事務手数料はそうはかからないはずだ。そう考えると、例えば、一世帯1万円の給付にすれば、都の予算も軽減でき、もらった側はお米だって買えるし、パスタだって買えるし(パスタは安くて腐らないので、米同様の保存食として、食卓に変化をもたらしてくれる)、電気水道ガス料金や、今や必須の携帯電話料金に回すこともできる。

現物給付、物々交換によって回るお金のいらない暮らしというのはある意味、現代の理想だ。田舎暮らしを考える人の夢。そこには人と人の絆も生まれる。
しかし、そういうことは今や暮らしに余裕のある人の夢になっていて、住民税非課税世帯の人々はそんなこと考える余裕もなく、お金での支払いしか受け付けてくれない光熱費やスマホ代の支払いに日々一喜一憂している。年金暮らしのお年寄りは、この猛暑の夏、テレビの天気予報で「夜でも熱中症の恐れがあるので、就寝時もエアコンを使ってください。」という言葉をどれだけ恨めしく聞いたことだろう。エアコンを使うのはいいが、その電気代を払うのは誰なんだ。使えって言ってるあんたが払ってくれよと思った人がどれほど多かったことかと想像する。

あと、これは、そこまで多くの共感を得られないと思うが、非課税世帯に配布される食品のラインナップにあったペットボトル飲料について。たしか2リットル入りの緑茶と水だったと思うが、私のところに週に2回来てくれているヘルパーさんによれば、彼女がお手伝いに行っている非課税世帯では飲み物を希望する人が多かったという。確かに歳をとると、お茶を淹れるのも億劫なのかもしれない。でも、あの重い2リットルボトルをよく冷蔵庫から出してコップに注ごうと思うよなあとも思う。それに、ペット飲料じゃ、温かいお茶は飲めない。飲みたかったら、お鍋に移して温めるか、コップに入れてレンジでチンするのだろうか。お茶は当然不味くなる。今や、日本の伝統的飲料である緑茶は常温のものをペットから飲むものになってしまった。これでは本来のお茶の香りに癒される、茶の本来の目的は消えてしまったと言っていいだろう。

それに、麦茶とかだと、ボトルに水入れて冷蔵庫に入れとけば、いつでもがぶ飲みできるタダ同然の飲み物だと認識していたが、それを500ml140円ものお金を出して飲んでいる。もちろん、業務スーパーで2リットル入りを箱買いすれば、2リットル1本あたり200円前後なのだろうが、何かお金を出して買うことに違和感がある。緑茶はいいお茶の葉を買えば高いけれど、もともとそんなにがぶ飲みする飲料じゃないし、ペットボトルの方が高くつく。お金がないというならば、ペットボトルのお茶とか飲まずに、麦茶作ればいいのにって思うのだ。それに、ペットボトルの空きボトルって本当に邪魔なゴミだ。すぐ転がるし、見た目も貧乏くさい。もう、この飲み物をペットボトルで販売する文化ってやめて、昔のように瓶で売れるものは瓶にして、返却すれば10円もらえるデポジットを復活させるべき。これは子どもの教育にもなると思うんだけどなあ。そして、お茶くらい、自分で淹れようよ。
体の不自由な人もいるし、そういう人がお茶淹れを面倒に思う気持ちは今の私には痛いほどわかる。でも、そんな身体でペットのお茶飲む方がなにか侘しいのである。

それに、都の施策の話に戻すと、ネット通販などでまとめ買いすれば安いだろうが、都の施策で購入するような場合はたいてい定価だ。ネットで、希望小売価格というのをみると、販売価格180円ほどの伊右衛門2リットルが定価だと400円くらいする。そりゃあ、今回の非課税世帯への配布でもお茶は選んで欲しくないだろうと納得。在庫なんてちょっとしか用意してないんだよ、最初から。

便利という言葉に敗北し、ちょっと面倒ないろんな文化が滅びていった。でも、その代わりに得たものは、美味しいものがわからない舌の獲得、本当のゆったりした休憩の時間などなど。多くは「余裕」と呼ばれるものである。そして、日本には余裕なき貧しいマインドが醸成され、現代日本は余裕なき貧しい国になってしまったのではなかろうか。

いい施策だろうと鼻高々に会見する小池都知事の笑顔の向こうに、貧乏人は余った米でもありがたいだろ、無料なんだから文句言うなという傲慢が透けて見える。かつて、子ども食堂のお手伝いをやっていた頃、区から食品の提供があったが、そこに詰まっているものは、粉を溶かすだけで飲める甘いミルクティー粉末とか、大手食品会社の株主優待で余った詰め合わせみたいなものばかりで、食品会社はそういう売れ残りをフードバンクや行政に押し付けることで、善行施してる顔して、廃棄処分を免れてる。そういうものって、普通にお店に並び庶民はみんな買ってるものだが、ある一定以上の所得層や食の安全にうるさい人などは、添加物の多さから手にしない商品だ。本来なら、食育も兼ねたい子ども食堂では出したくない食品である。なるべく手作り、なるべく生鮮食品から作る。

しかし、子ども食堂や小さい子のいる母子家庭などに送られてくるのはそういう余物なのである。テレビのニュースなど見ていると、もらう側も喜んでいるし、実際に助かってるではないかと批判を受けるかもしれないが、貧しい家の子どもにも新鮮な食品を食べて欲しい。
私が子どもの頃、家は貧しかったが、その頃はまだ加工食品も少なく、親は生鮮食品を買ってきて作るしかなかった。しかし、出来合いの加工食品を買うよりも自炊した方が安く上がるわけで、今の加工食品まみれの子どもたちより全然まともな、今だったらある意味贅沢な食事をしていたかもしれない。

だからやるべきは、世の中に便利な加工食品を増やすことではなく、大人がちゃんと生鮮食品からご飯作りをする時間の余裕がとれるくらいの働き方と賃金を保証することだと思う。
自炊すれば新鮮なものが安く食べられる。その時間が取れないから、加工食品ですます生活が世の中に定着してしまっただけだ。企業は儲かっているのに賃金を上げようとしない。その儲けを出すために、人々は長時間働かされ、加工食品に頼るようになる。加工食品をありがたいと思う世の中の風潮は結局、企業が業績を保つために作り出したのだ。

だから、そんな時間にも心にも余裕のある暮らしを奪った日本の企業経営にもっと目を光らせて欲しいと思うのだ。日本は平均寿命は長いが、健康寿命となると世界ランクが下がる。それは、近年の加工食品まみれの食生活にも一因があると思う。

貧しくとも、田舎の家賃の安い場所で自炊して暮らせば、非課税レベルでもかなり健康的な食事ができると思う。都会でも、住居費の支援があれば、自炊の時間は取れるようになるかもしれない。そう考えると、やはり貧しい人に余物の加工食品を渡すことは、あまり良い施しとは思えないのだ。

すごく根本的な話になってしまった。ここまで世の中に定着した意識やシステムを変えることなど無理なのかもしれないが、既存の大手食品会社に言いたい。もう、「便利」で美味しいという方向性を追求するのはやめにしたらどうでしょう。それって、「働きすぎ」社会を後押しするようなもんだし。

長くなった。
東京都の施策の話から飛躍してしまったが、食品の施しという話を聞くたび、私はこういうことを考える。
また、現物が欲しいか、お金が欲しいか、それはその時のその人の状況によって異なる。都の174万世帯を対象にした施策で一人一人に合わせることは無理だが、それなら最大公約数を選ぶべきで、それは今回の場合、現金給付だったのではないかと思うのだ。

本物の豊かさ、本当の貧しさとはどういうことなのか、私たちは今一度考え直す必要があると思う。

今の私に必要なのは圧倒的に現金です。
薬代、食養生のために必要な食品を買うお金、光熱費、通信費、健康保険料、そしてローン。これらはお金でなくては払えない。なんとか、毎月の支払いを済ませるよう、身体が不自由な今はカンパよろしくお願いいたします。そしてそのうちになんとか収入の道を見出せればとおもいます。お金の心配がないのは大きなストレスの軽減になります。
何卒よろしくお願いいたします🙇‍♀️

【火鉢クラブ=中村有里の活動サポート】
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【銀行口座】
三井住友銀行 赤坂支店
普通口座 8048480
口座名義 ナカムラ ユリ


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