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Visual Thinking Strategies 015

観察力を鍛えるあたらしいアート鑑賞法VTS(Visual Thinking Strategies)。ミルキクさんのお題の絵でやってみます。

お題の絵はこちら。

絵を10秒だけみて感じたこと、気づいたことは何か

なんか人死んでるっぽい。生きてる?
やぶられた細切れの紙、床に転がった小さな瓶。
事件の匂い。

①絵に描かれていることを突き止めよう。

    -1:描かれている事実は?(客観的事実:Objective fact)
窓:左側が開いている
カーテン:開いている
人:目を閉じている。左手はシャツをつかむように、右手はベッド下で拳はにぎっている。白いシャツ。右手の袖は青く汚れている。髪は赤茶色。青いパンツに、白の靴下みたいなの。靴は黒色で履いたまま。右下に赤のコーディロイぽい素材の服がかけてある。
箱:左下に箱。箱の中身は紙。床に細かく破られたものが散らかっている。
小瓶:床に転がっている。
場所:部屋の一室。窓からは建物の屋根がいくつか見える。

 -2:上記から絵の中で何が起こっているか物語を作成せよ。
彼(絵の中の人)には愛する人がいた。愛してはいけない人だ。決して知られてはいけない事実だった。しかしそれは知られてしまうことになる。もう死ぬしかない。毒の入った小瓶を口につける。彼の不貞行為がニュースになった記事を破り捨てる。悔しい。自分をせめる。苦しくて苦しくてのたうちまわった。シャツの青い色はそのときについたものだ。怒りと苦しさと後悔に苛まれながら、段々と身体の力が抜けてくる。

 -3:上記からこの後に何が起こると予測できるか?
上流階級の社交界に激震が走る。

②どのような感情、感覚が浮かんだか?

静けさ。でもこの前には静けさとは真逆の大きな感情の動きがあったのだろうなと。感情の台風一過。

③振り返り(最初の印象からの変化は?)

最初、生きているかなと思ったけど、小瓶と白い顔を見て毒と自殺を連想した。最終的にはやっぱり死んでいるのではと。ではなぜ死んだのか。予想した物語はちょっと飛躍しすぎたかもしれない。でも、もし自殺であるとしたら、お金か、名誉か、色恋か、そんなものではないかと推測。なんとなく彼の雰囲気から、特に苦労はしてきてなくて、そんなに地位や名誉や財産にも固執するような感じではない印象を受けた。ギラギラした欲もないけど、勝手にモテてしまう人。村上春樹の小説に出てくる「僕」みたいな感じ。流れに身を任せてしまうようなタイプのため、世間的にダメと言われていることが起きてしまった。「誠実な顔」で世間に通っている彼はその批判を予想すると耐えられなくなり、自ら死を選んだ。自分の想像力に殺されてしまった。

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