中小企業における新規事業のつくり方
次月に行う予定のセミナーの原稿を公開します。
興味・関心のある方はご一読いただき、ご意見をいただければ幸いです。
本日のセミナーの目的
人口動態で未来が読める
日本では、2010年以降人口減少局面に入っています。
そして、少子高齢化が騒がれています。
しかし、こうなることは随分前からわかっていたことです。
人口動態で未来が読めるのです。
賃金は上がらず、物価は低いまま
このグラフは世界競争力ランキングの推移です。
1989年は1位だった日本も2022年は34位と大きく下がっています。
”失われた30年”と言われた時代に何も策を講じてこなかった結果なのです。
人間は今の状態がこのまま続くと思い込む
私たち人間は今の状態がこのまま続くと思い込んでいて、得することより損しないことを無意識に選んだり、損するくらいなら何も変えたくないと考えてしまうようです。これは思考のクセなので意識しない限り変わらないのです。
消費の二極化が加速している
銀行も自動車も住宅も食品も、すべてにおいて二極化が進んでいます。お金持ちはよりお金を増やし、私たち庶民はますます貧しくなっていくのです。
これらに対応していくためには、大企業だけでなく中小企業においても新規事業を起こすしかないのです。
既存事業を軸とした新規事業を起こすことが次の成長への近道なのです。
結論:仮説と検証を繰り返す
新規事業を立ち上げるには、仮説と検証を繰り返す
一言で言うと、これを徹底的に早く回すことに尽きます。
それもお金をかけないで、小さく始めることが成功のカギです。
何事も新しくやることは、はじめから上手くはいかないものです。
10回やって1回モノになるかどうかなのです。
イチローのように、野球でも打率3割が好打者なのです。
新規事業が会社の成長に与える影響
それは3つあります。
収益の増加
市場の拡大
ブランド価値の向上
1.収益の増加
新しい市場や新しい顧客と接点を持つことで、売上や利益を増やす機会ができます。
2.市場の拡大
既存の市場に加えて新たな市場に進出すること、会社の市場シェアが拡大し、競争力が高まります。
3.ブランド価値の向上
会社のイメージ、つまり、ブランド価値を向上させ、顧客からの信頼を築きます。
成功事例の紹介
ここで、わたなべの経験から2つ、業界にいた経験から2つ紹介します。
わたなべの経験からは、富士機械製造と朝日インテックの既存事業から派生した新規事業の紹介です。
富士機械製造は、工作機械メーカーで中でも単能機のメーカーでした。
その他に自動車部品をつくる工作機械をつくっていました。
その強みをを振り返って見てみると、
鋳物の土台だったために、振動が少なかったようです。
それに画像処理をプラスしたことにより、電子部品自動装着機を開発したのです。当時、ウォークマンの基板に電子部品を装着するために開発したそうです。
朝日インテックは、極細ステンレスワイヤーロープのメーカーでした。
それは、自動車やコピー機など様々な用途に使われていました。
その強みを振り返って見てみると、
ステンレスのロープを伸ばして細くする技術(伸線)やそれを何本も撚って強度を出していく技術(撚線)に、テルモから技術者をヘッドハンティングしてできたのがPTCAガイドワイヤーなのです。
もともと胃カメラなどの内視鏡操作ワイヤーを作っていたこともあり、新たに自社製品として開発したことに大きな意義があったのです。当時のPTCAガイドワイヤーのシェアは、3割を超えていた記憶があります。その後、上場を果たし、大企業になったのです。
続きまして、業界にいた経験からは、ユニクロと丸亀製麺です。
もともとユニクロは、商品を仕入れて売るという小売業の典型的なモデルでした。しかし、それではロスが残ってしまい思うように利益は出なかったのです。
では、ロスが残らないようにするにはどうしたらいいのかを考えた結果、あらかじめ売れる数を予測して生産する方法に切り替えたのです。
それが、製造小売業(SPA)なのです。今思えばトヨタのカンバン方式に似ているかもしれませんね。
次に丸亀製麺は、チェーン展開しているお店は普通、セントラルキッチン方式で食材を作り各店舗に配送する形態ですが、逆説の構造になっていて、店舗で麺を打つことで出来立てを訴求したのです。
それが上手くいって、次から次へと新しいメニューの開発に余念がないのです。余談ですが、創業は焼き鳥屋で、トリドールという会社名でした。
理由:コンセプトで人を動かす
実は、新規事業はお金をかけないで紙に書いて始められるのです。
コンセプトを紙に書いて見せるだけでつくらないのです。
欲しいというお客さんが現れるまでつくらないのです。
創造的なアイデアの発掘方法
私が紹介しているのは3つの方法です。
アイデアのつくり方
逆説の構造
小さく始める
アイデアのつくり方
アイデアは「新しい組み合わせ」なのです。
既存のモノと既存のモノの1つの新しい組み合わせなのです。
新しい組み合わせを作り出す才能は、物事の関連性を見つけ出す才能によって高められるのです。
ここからは「アイデアのつくり方で、天才のひらめきを手に入れよう!」(ミリオンセールスアカデミーさんの記事から引用)から、5つのステップを紹介します。
ステップ1:データ集め
特殊資料:売りたい製品とそれを売りたい人の資料
一般的資料:世の中が常識と思っている一般的な知識
ステップ2:データの咀嚼
あらゆる角度から見たり触ったりして、意味や関連を調べる
煮詰まったら次に段階へ
ステップ3:「ぼーっ」とする時間
問題を一旦放棄して、想像力や感情を揺さぶるものに触れる
音楽を聴いたり、映画を見たりする
ステップ4:ユーレカ(発見した!)の瞬間
ぼーっとしている時や散歩している時にヒラメキが訪れる
ステップ5:アイデアのチェック・具現化
生まれたアイデアを現実的な制約条件や嘆かわしいことにマッチさせる
ポイントは、”時間を置くこと”です。
逆説の構造
逆説の構造とは、起点、定説、逆説の3つの要素からなる構造を言います。(出典:ビジネスモデル2.0図鑑)
例として、俺のフレンチで考えて見ましょう。
フレンチと言えば、一流シェフがつくり(起点)、ゆったり座って長い時間をかけて食べるのが当たり前です(定説)。しかし、これを立って食べる手頃な料理として提供(逆説)すれば面白いと考えました。つまり、回転率を上げてビジネスを成立させようとしたのです。
小さく始める
お金をかけず、小さく始めるのが新規事業の鉄則です。
最初に投資して、お客さんが集まらなくて失敗するケースがほとんどなのです。失敗から学びを得るためにお金をかけないのです。お金をかけなければ何度でも挑戦できるのです。
小さな習慣で脳をだます
私は脳科学や潜在意識について昔から興味と関心があり、関連する書籍を読んだりセミナーなどに数多く参加してきました。
イチローも”小さなことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています”と言っています。
”積み重ねることで大きな成果を上げることができるのです。”
今から9年前に脳出血を発症。実はこれが2回目でした。降圧剤を飲んでいるから大丈夫という間違った思い込みでした。それからリハビリが始まりました。最初は甘く見ていました。しかし、思うように動かないのです。でも、何とか動けるようにしたい気持ちがあり、毎朝のルーティンが始まるのです。
そして、脳出血のリハビリで小さな積み重ねを実感する!のです。
市場調査と顧客ニーズの理解
私は、マーケットを大きくとらえず、ペルソナも架空の人物で意味がないと思っています。
市場調査でできる限り絞り込むです。カテゴリーの中で一番を取る感じです。もしカテゴリーがなかったら作ればいいのです。
数年前にあるセミナーに参加しました。そのセミナーでの話を紹介します。
アメリカのマクドナルドでお客様の意見を聞くため、アンケート調査やインタビューを行いました。
お客様からは、「ヘルシーなものが食べたいです」「サラダをもっと食べたい」「ヘルシーがいいです」「ヘルシーじゃないからマックには行きません」「サラダがあれば・・・」という意見が出されました。
その意見を参考に「サラダマック」を開発したのです。
しかしながら、お客様はみんなスルーしていくのです。
その後、”分厚い食べ応えのあるハンバーガーを見せられるとガブっとかぶりつきたくなる”という隠れた心理(インサイト)を見つけたのです。
このインサイトをもとにしてメガマックやクォータパウンダーなどのヒットが生まれたのです。
このことから言えるのは、お客さんは平気でウソをつくのです。
また、人間は感情や感覚による歪みがあるため、合理的な判断ができないのです。これは”行動経済学”という分野の学問で、リーマンショックの時の映画「マネー・ショート」を見て知りました。
自らお客さんに成り切ることで、お客さんのインサイトがわかると実践しているUSJや丸亀製麺の再建で有名な森岡毅さんやお客さんの「不」にアプローチすることでアイデアが浮かぶリクルート出身者の方々は本当に素晴らしいです。
私が思うに、既存事業も新規事業も、お客さんの課題解決が先で、自分のやりたいことはその次なのです。
具体的:自分の強みに気づく
ビジョンとミッションを明確にする
具体的には、まずビジョンとミッションを明確にすることから始まります。
ビジョンは、ゴールまでの数値化した目標です。富士山に例えると、五合目です。
ミッションは、自分の達成したいゴールです。富士山に例えると、山頂です。
自分の強みを明確にする
両学長リベラルアーツ大学のyoutube大学を見て欲しいです。
その中で、成功者は即答する2つの質問があります。
質問1:あなたの強みは何ですか?
質問2:あなたの強みが活きる環境ですか?
それが明確になれば、ブレない軸をつくり、やり抜く力を身につけることができるのです。
また、八木甚平さんの「自己理解プログラム」もおすすめです。
大事なこと。得意なこと、好きなことの3つの円が重なり合うところが、本当にやりたいことなのです。
そして、ストレングスファインダーも3,000円から診断できるので一度やってみるのもおすすめです。それをもとにコーチがさらに深掘りをしてくれます。私も実際やってもらいました。
戦略の策定とアクションプランの作成
戦略の定義
多くの人が戦略の定義を間違えています。
戦略とは、戦いを省くこと。つまり、戦わないで勝つポジションを取ることなのです。
だから、ニッチにならざるを得ないのです。牛丼はA社もB社もC社も、どれも同じなのです。これをコモディティ化(一般化)と言います。
また、どんな市場にもニッチ市場はあります。
そして、差別化とは、相手の目的を達成できるかどうかを語ることであると木暮太一さんの言語化のセミナーで教えてもらいました。
最近は、モノではなくコトに視点を移して、体験することで価値を見出すのです。ドリルを売るのではなく、穴を売るのです。
困らないとアイデアが出ないのは、真剣に考えていないからです。
心のどこかで、何とかなると思っているからです。
お金に余裕がないと焦ってしまい、新規事業どころではなくなってしまうのです。
だから、今すぐやるのです。
アクションプランのつくり方
アクションプランのつくり方は、次の8つです。
目標の設定
課題の洗い出し
対策の立案
重点的なアクションの決定
スケジュールの作成
責任者の指定
実施とモニタリング
結果の評価と改善
ポイントは、評価と改善です。
自分一人ではなく、他者からの評価も素直に受け止めましょう。
失敗からの学びとリカバリーの重要性
とにかく、仮説と検証を繰り返すことです。
人間は失敗からしか学べません。そしてそれを教訓にして次へ進むのです。
新規事業の実践論(麻生要一・著)
顧客は「誰か」、課題は「何か」を徹底的に明確にします。
この本は大企業向けに書かれていますが、中小企業にも当てはまる部分もあります。
とにかく、仮説と検証を繰り返すしか新規事業を立ち上げる方法はないのです。
起業は意志が10割(守屋実・著)
至る所に新規事業のネタはあります。
失敗したらと気になってやらないだけの人があまりにも多いのです。
守屋さんも同じで、仮説と検証を高速で回すことを力説しています。
まとめ:仮説と検証を繰り返す
新規事業を立ち上げるには、仮説と検証を繰り返す
それもお金をかけないで、小さく始めることが成功のカギです。
何事も新しくやることは、はじめから上手くはいかないものです。
10回やって1回モノになるかどうかなのです。
イチローのように、野球でも打率3割が好打者なのです。
実は、新規事業はお金をかけないで紙に書いて始められるのです。
コンセプトを紙に書いて見せるだけでつくらないのです。
欲しいというお客さんが現れるまでつくらないのです。
多くの人が戦略の定義を間違えています。
戦略とは、戦いを省くこと。つまり、戦わないで勝つポジションを取ることなのです。
だから、ニッチにならざるを得ないのです。牛丼はA社もB社もC社も、どれも同じなのです。これをコモディティ化と言います。
また、どんな市場にもニッチ市場はあります。
そして、差別化とは、相手の目的を達成できるかどうかを語ることであると木暮太一さんの言語化のセミナーで教えてもらいました。
最近は、モノではなくコトに視点を移して、体験することで価値を見出すのです。ドリルを売るのではなく、穴を売るのです。
困らないとアイデアが出ないのは、真剣に考えていないからです。
心のどこかで、何とかなると思っているからです。
お金に余裕がないと焦ってしまい、新規事業どころではなくなってしまうのです。
だから、今すぐやるのです。
最近では、先が読めない時代なので、中期経営計画を立てるより、3ヶ月でアクションプランを回すことを実践しています。
最後まで、読んでいただきありがとうございました。
ご意見などがございましたら、
rentalzaimubucho@gmail.comまでご連絡ください。
よろしくお願いします。
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