【速報】備後地域(広島6区・7区)で宮口治子候補が圧勝した参議院広島選挙区再選挙

 今日は速報で4月25日(日)に投開票が行われた参議院広島選挙区の再選挙について、2年前の参議院の比例区での得票率と比較しながら、再選挙の結果を分析していきたいと思います。今回の再選挙では、果たしてどういった地域で参議院選挙と大きく変化が見られたのでしょうか。
 まず、全体的な結果を振り返ってみると、野党統一候補の宮口治子候補が370,860票、得票率にして48.4%を獲得し、見事当選を果たしました。対する破れた与党の自民党公認で公明党推薦の西田英範候補は336,924票、得票率は43.9%でした。両候補者の差は33,936票で、得票率差は4.5%でした。まずまずの接戦ではありましたが、政治とカネの問題で逆風の自民党は勝てず、野党統一の宮口候補が勝利を収めることとなりました。
 しかし、2年前の参議院選挙においては、与党の比例得票率は自民党が40.66%、公明党は14.50%もあり、両党を足し合わせると55.17%もあったのが広島県でした。それが今回は43.9%ですから、実に11.27%も与党は得票率を落としたことになります。
 それでは、各自治体の得票率を2年前の参議院選挙の比例票の得票率と比較しながら見て行きましょう。

1.亀井静香パワーが健在だった参議院広島再選挙

参議院広島再選挙

 左から西田候補の票数、宮口候補の票数、西田候補の得票率、宮口候補の得票率、参議院選挙での与党の比例得票率、参議院選挙での野党の比例得票率、今回の西田候補と参議院選挙の与党の得票率の差、宮口候補と野党の得票率の差となっています。
 こうやって見ると、中には西田候補が勝利した自治体もいくつかあります。それは岸田文雄元外務大臣のお膝元である広島1区の広島市中区、自衛隊の基地がある5区の呉市や江田島市、4区内の広島市のベットタウン的な町である海田町、熊野町、坂町、3区域の安芸太田町、5区の大崎上島町で勝利を収めています。
 対する宮口候補はその他の地域で勝利を収めたわけですが、特に得票率が高く圧勝した地域としては神石高原町が60.3%、庄原市が56.3%、三次市が53.9%、三原市が53.7%といずれも広島6区域の備後地域が高得票率の地域となっています。広島6区と言えば、ご存じ亀井静香元国民新党代表の長年の地盤であり、現在は立憲民主党の佐藤公治議員に引き継がれた地域となります。広島6区は前回の衆議院選挙において、野党が唯一中国ブロックで勝利を収めた小選挙区でもありました。そうした「亀井静香パワー」が健在であることを示した今回の参議院広島選挙区の再選挙ではなかったかとデータからも肯けます。
 なお、宮口治子候補の地元である広島7区の福山市でも得票率51.4%と高く、西田候補を10%近く引き離して勝利しています。このように、広島6区、7区の備後地域で圧勝し、広島県全体でもそのリードを保って勝利したのが今回の参議院広島再選挙だと言えます。
 次にこの票を並び替えて、もう少し分析を加えてみましょう。

2.岸田文雄元外務大臣の広島1区では踏み留まった西田英範候補

参議院広島再選挙(与党差)

 次に与党差のマイナスが大きかった、すなわち参議院選挙では比例票が取れていたにも関わらず、今回の再選挙では大きく西田候補の得票率が落ちた自治体を見て行くことにしましょう。やはり、上位には前述の通り、亀井静香元国民新党代表の地盤であった広島6区域、特に県北東部の地域が並んでいます。神石高原町に至っては、実に26.1%もダウンとなりました。ちなみに、この地域は参議院選挙では公明党の得票率が18.04%と全県平均の14.5%に対して、3.5%も高かった地域になります。次いで、世羅町が-17.74%、庄原市が-17.24%、府中市が-16.42%と続いて行きます。新幹線停車駅の三原市も-16.35%とダウン幅が大きかったです。三原市と言えば、前市長が河井陣営から150万円の現金を受け取って辞職した自治体でもありました。6区域に次いでは、その河井克行元衆議院の選挙区だった広島3区内でも下落幅が大きく、北広島町が-15.68%、安芸高田市が-15.44%、安芸太田町が-15.30%と続いています。それでも安芸太田町は西田候補が勝つぐらい、自民党の地盤が厚い地域で、参議院選挙での自民党の比例得票率は54.05%にも上ります。
 逆にダウン率が最も低かった地域は広島市の中心部である広島1区域で中区が-6.60%、南区が-7.69%、東区が-8.60%と、軒並み10%以上ダウンしている全県の中では、比較的踏み留まっている結果とはなりました。この辺りは岸田文雄元外務大臣の影響力も多少なりとは垣間見ることが出来ます。
 また、広島市中区、南区、西区は参議院選挙の野党の比例得票率に対して、今回の宮口候補の得票率が及ばなかった、マイナスとなった地域になっています。その要因としては、全県で得票率2.7%だった佐藤周一候補が、中区で3.4%、南区で3.5%、西区で3.3%と比較的に得票率が高かったことも一つの要因として考えられます。都市部の広島市の中心地になると、こうした第3の候補者の得票率も伸びて来るようです。
 参議院の野党の得票率に対して、宮口候補の得票率が大幅に伸びた地域に関しては、何度も述べているように広島6区域であり、与党の得票率が大幅に減った地域とほぼほぼ重なって取れるので、特に並び替えの表は無く、割愛させて頂きます。

3.参議院広島選挙区を落としても衆議院選挙では与党の5勝2敗か

 最後に、今回の参議院広島再選挙の結果を踏まえて、来たる衆議院選挙に向けた展望も述べて行こうと思います。まず、広島県内で野党が強い地域は県北東部の広島6区であり、ここは立憲民主党の佐藤公治議員の引き続きの勝利がかなり堅そうな結果となりました。次いで、野党にチャンスがあるとすれば、今回問題の発端となった河井克行議員の広島3区になりそうです。ここは公明党幹部の斉藤鉄夫元幹事長に差し替わった選挙区になるので、公明党が全国一、力を入れて取り組む最重点選挙区になりそうですが、再選挙の結果を見ると、公明党幹部であっても苦戦しそうな気配が漂う選挙区になります。
 対して、他の選挙区に関しては、今回の再選挙を経ても、自民党が死守しそうな結果でもありました。広島1区は岸田文雄元外務大臣の鉄板選挙区ですので堅いですし、今回でも西田候補が勝利を収めた、自衛隊票がある呉市などの広島5区も自民党で堅そうです。広島4区域でも町部では西田候補が勝っているので、大票田の東広島市で大幅に負けない限りは自民党候補が勝ちそうです。ただこの選挙区は以前の自民党候補だった中川俊直元衆議院議員が無所属での出馬意欲を持っているようなので、自民党分裂になる可能性もありそうです。
 福山市単独の広島7区は宮口治子候補の地元だったから今回は圧勝できたのであって、ここには過去3回の選挙で圧勝している自民党の若手のホープである小林史明議員の選挙区になりますので、今回当選した宮口治子新参議院議員が鞍替えでもしない限りは、やはり野党には厳しい選挙区ではないかと私は見ています。
 残る県西部の広島2区が、強いて言えば、野党にも若干の可能性が見えた再選挙の結果でした。ただ、それでも自民党現職が強く、野党はこれまでの候補者とは替わって新人となったので、いきなりの小選挙区勝利となると、まだまだハードルは高いかもしれません。
 以上のことから、参議院の再選挙で野党が勝利したとは言え、衆議院選挙においては自民党が引き続き勝ち越しとなりそうなのが、広島の選挙事情かと思います。立憲民主党としては特に2区と3区に力を入れて、小選挙区勝利を目指して行きたいところかと思います(4区での漁夫の利も無くはないとは思いますが)。
 以上が今回の参議院広島選挙区再選挙の分析速報でした。ちなみに、私のnoteでは、参議院選挙の結果に基づく、次期衆議院選挙の比例議席予測の記事も書いていますので、もし宜しければ、そちらもご覧頂ければ幸いです。

新立憲編→https://note.com/researcherm/n/n1c90c50620ae
東日本編→https://note.com/researcherm/n/nae51c0e7668f
西日本編→https://note.com/researcherm/n/nc8e0a8efaa8c

 また総選挙に向けて、今後も気になるトピックがありましたら、noteに記事をアップして行きたいと思いますので、今後ともご支援のほど宜しくお願い致します。


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