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コの時代に企業はどうあるべきか。

社内闘争で顧客を蔑ろにしたら終わり。

 YouTubeチャンネルの日経テレ東大学が2023年3月を目処に終了する。
堅過ぎず、それでいて日経の名を冠しているだけあって、ファクトチェックはそれなりにしっかりしており、楽しく正しく学べる経済チャンネルとして重宝していた。

 だからこそ、開設してから2年足らずで登録者数が100万人を超える快挙となっている訳で、それだけに終了の話題が出た時は残念だったが、週刊文春がリークした記事が正しければ、テレビ東京の大株主である、日経新聞の社内闘争、内紛劇による終了であり、アーカイブすら残さない方針であることから、身内優先、顧客軽視な日経新聞への印象が、良くない方向に変わらざるを得ない。

 ざっくりまとめると、日経新聞の組織再編に伴い、関連会社であるテレビ東京にも、日経の本流の意向が反映されやすくなったことで、日経側から見れば好き放題やっているテレ東のYouTubeチャンネルはいかがなものかと、止める圧力が掛かるようになり、2月上旬に最後通告の形でトドメを刺された具合である。

 日経社内で問題視される声が上がるきっかけのひとつに、元日経新聞のエース記者である後藤達也さんが、独立後に日経の名を冠するYouTubeチャンネルでMCを務めていたことが偉い人たちの癪に触った点が挙げられている。

 チャンネルとしては成功しているにも関わらず、特定の人物が登場する回だけをピンポイントで削除すると、視聴者に日経の内情が悟られてしまい、具合が悪いから全て削除してしまう暴挙に出たあたりが、図体のデカい組織あるあるでやるせない気持ちになる。身内優先、顧客軽視、私の苦手な言葉です。

自発的に去った者を村八分にする組織。

 あそこはウチより厳しい。転職が決まった際、一社目の上長が放った言葉である。周辺的正社員でやりがい搾取な薄給ブラック企業から、業界内で少なくとも待遇面はまともな部類の同業に鞍替えするのだから、何を以て厳しいのか、論理が破綻しているが相手にするのが馬鹿馬鹿しかったので、あえて突っ込まなかった。

 要するに偉い人たちの指示に大人しく従う社員を量産させたいがために、いわゆる首を縦に振らない面倒な社員に対して、辞めたら大変なことになるぞと、ハッタリをかけて安く扱き使うための常套句にしているのである。

 裏を返せば、自発的に組織から去っていった裏切り者は不遇であるべきなどの暗黙の了解から、決して出戻りを許さず村八分同然の扱いを旧態依然な組織ほどやりがちである。

 私は鞍替えしたことで年収が100万円近く上昇。待遇全般が大幅改善となったことから、一社目の管理職からは村八分同然の扱いとなったものの、コロナ前には古巣の現場での宴会にも誘われ、私が留まるよりも、明らかに鞍替えして社会的には成功していることが、現業職員の間で知れ渡り離職者が更に加速。人事や総務が頭を抱えていたのはいい気味だと思う。

 身を以て経験したからこそ言い切れる。会社の犬どもが言ってくる、ウチを辞めたら大変なことになるなどハッタリでしかない。私からすれば典型的な、「井の中の蛙大海を知らず」である。

 一社しか知らない井の中の蛙は、組織という名の井戸が崩壊して、大海に放り出されても大海を知らないのだから、知っている者よりも生存率は低い。辞めたら大変なことになると若手に言うものの、実は会社の犬として泥舟にしがみ付いている発言者に対しての、特大ブーメランとなっていることに気付いていないのは皮肉が効いている。

日本社会で生存が脅かされることはない。

 そもそも日本は民主主義の体裁を保っているため、住所を持つ社会的な弱者には公的な支援制度がある。仮に定年前に失職しても公務員でなければ雇用保険に加入しているため、失業給付が3ヶ月〜1年程度受け取れる。

 大病を患い入院や手術で100万円単位で医療費の請求が来ても、高額療養費制度によって平均年収である400万程度であれば、実質的な自己負担額は月に10万円程で済む。

 病気で就業不能となっても条件を満たせば健康保険組合から傷病手当金が受け取れるし、それでも社会復帰が困難であれば障害年金の受給条件を満たしている可能性が高い。

 仮に障害年金が受け取れなくても、資産がないなどの条件を満たしていて生活保護の申請が通れば、医療費や生活費の心配をすることなく生活を営むことができる。

 学歴至上主義社会の勝者に位置する、良い大学を出て、有名企業に就職というよりは就社した、いわゆるレールの上の人生を歩む優等生たちは、レールから外れたら人間として終わる類の幻想を抱いている。

 たとえホームレスであっても、そうそう餓死しない日本において、社会の枠組みから外れてしまっても、なんとでもなる場合が多い。それが許容できないのは見栄やプライド、世間体を気にし過ぎている何よりの証拠だろう。

 最近ではYouTuberやUber Eatsなどの、組織に属さずとも個人で生計を立てられるチャネルが増加しているし、そもそも日本に生まれた以上、日本国憲法25条で「全て国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とある以上、この国の社会で生存が脅かされるようなリスクは存在しない。

 そんな日本で従業員の生活を保証してやっていると思い上がり、ハッタリをかけて若手を酷使する様な、旧態依然な体質の企業が繁盛どころか、永続事業体として持続可能か判断つきかねるが、個人投資家目線では少なくとも、優秀な人材が流出してしまう体質が改善されない企業に投じたいと思うかは想像に難くないだろう。


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