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利確するまでが資産運用。

含み益の増加スピードに戦々恐々。

 3月にSVBが破綻した際、諭吉さんが100人単位で居なくなる光景から四半期が経過したが、あの時に日本株がこれだけ加熱する未来を、誰が想像しただろうか。

 今年の春闘は物価高を鑑みて、賃上げが活発化したが、物価がそれ以上に上がっていることから、実質賃金はマイナスで推移している。

 為替も円安方向にジリジリ動いているため、これまで30年間、堅実とされてきた預金一辺倒では、実質的な通貨価値、すなわち購買力はマイナスで推移し続けていることは、みんな大好きApple製品が割高に感じることからも想像に難くない。

 しかし、インフレ耐性のある株式で運用してきた人、それも2019年〜2021年頃の米国株式一強だった頃には、情弱扱いまでされていた日本株に投資していた人は、報われる展開となっており、物価上昇や、日本円の価値が下落するスピードと同等か、それ以上のはやさで資産が増殖していることだろう。

 資産運用の経験年数で表現すれば、中学生くらいのまだまだヒヨッコな私のしがない経験上、これだけのスピードで上がり続けたら、どこかのタイミングで急落する可能性が高いと感じるため、過熱感のあるセクターのポジションをちょっとだけ手放してみては、現金比率を高めている。

 なにせこの四半期で、しがない薄給激務な賃金労働者時代の、最高年収を優に超える資産増殖具合で、含み益で確定させるその時までは、単なる幻想に過ぎない。

 とはいえ、労働力を提供して、社会に付加価値のある何かを提供していないにも関わらず、投資の世界に足を踏み入れていなければ、年間2,000時間くらい働かなければ、手に入らないであろう金額が時価として評価されている。

 これは証券口座の数字が表している通りで、嘘偽りはない。とはいえ報われないエッセンシャルワーカーとして勤める期間が長かった身としては、資本主義経済の歪さをまざまざと体感する日々が続いている。

財布の紐を緩めるのは現金化してから。

 そうは言っても、証券口座と紐づけている家計簿アプリを開くたびに、資産総額の数字が増加していると、利益確定するまで幻想に過ぎない含み益が、あたかも自分の資産かのように錯覚するのが、人間の非合理なところである。

 そう頭では分かっていても、本心ではここまでブレずに日本株を運用し続けて来た結果が、今の含み益なのだから、ちょっとくらいお金を使ってもバチは当たらない。と悪魔の囁きが脳内でこだまする。

 こういった衝動や欲求は、抑圧すると何かの拍子に突如として爆発するため、日頃から発散することが重要で、こう言った時に株主優待のQUOカードや金券、ポイントが良い仕事をする。

 配当や優待は一定期間ごとに付与される意味で、確定益なのだから、この範囲内で豪遊するのは身銭をほぼ切らないのだから、個人の勝手である。

 そうして最近買ったものが、原材料費の高騰で殆ど利益にならない100均アイテムなのだから、側から見たら8桁円の純資産を有している人間とは思えないだろう。

未だに家計をやりくりする余地はある。

 一般論でお金持ちは良いものを長く使い、貧乏な人ほど安物買いの銭失いでゴミを増やす構図が、意識高い系自己啓発書などで、都合よく引き合いに出されるが、収入より遥かに低い支出で暮らす、となりの億万長者タイプの人種は、100均アイテムすら長く使うものだから総じてクセが強い。

 実際に都内で一人暮らしを始めた際に、冷蔵庫を持たない代わりに、常温保存品を保管するための、フードコンテナを100均でいくつか買ったが、地方移住するその時まで現役だった。

 本音としては移住先に持って行きたかったが、移送費の方が遥かに高く、買い直す方が安上がりと、大量生産大量消費社会の環境に良くない現代の性質を利用した結果、引越し前に処分する運びとなったが、同時期に買ったS次フックや突っ張り棒などはバリバリ現役である。

 最近、都市部ではスポットワーカーたるものが流行っているらしく、フルタイム比で短時間の単純作業を、マッチングを駆使して外注化する光景は、現代版日雇い労働システムのように映る。

 驚くのは利用者の特性で、1/4くらいが正規雇用の会社員というのだから、いかに中央値の賃金労働者が金欠であるかが窺える。

 統計データを見れば、諸外国と比べて賃金が上がっていないのは事実だし、物価が上昇しているのも事実、国民負担率が上がって可処分所得が少なくなっているのも事実。

 支出を減らすのはもう限界だから、短時間の単純作業でサクッと稼ぐ。心理としてはそんなところだろうが、これでは根本的な解決には至らない。

 20代半ばで身体が壊れた身として、いつまでも健康体でいられる保証はなく、体力は加齢とともに衰えるのが生物としての宿命である。だからこそ、いかに若いうちに自分が働く以外の方法で、お金が得られるシステムを構築するかが重要である。

 時間が有限な以上、収入を増やしたいなら労働時間ではなく、単価を上げる。そのためには自己投資が必要だから、知恵を絞って支出のやりくりを徹底して、投資資金を捻り出す。

 自分に投資するリターンが見込めないなら、金融資産に投資する他ないと思うが、後者の方が支出をやりくりする時間は長くなるだろう。

 いずれにしても、安直に労働時間を増やす前に、知恵を絞って家計のやりくりができる余地は、どの家庭でも残されているのではないかと、東京23区で家賃込み月6万円生活をしていた単身者としては思ってしまう。


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