見出し画像

希望的観測が現実に。

良品計画(7453)株主優待導入。

 4/26の大引け後、無印良品を展開する良品計画から、株主優待制度の導入が発表された。

 元々、2022年8月期に、何の前触れもなくシェアホルダーカードと言う名の隠れ優待が配布されたため、優待導入に向けた試験要素を兼ねているのではないかと踏んでいたが、その通りの結果となった。

 東証再編によりプライム市場の上場維持基準のひとつである、必要株主数が減少したことや、グローバルスタンダードを意識して、株主還元の公平性が槍玉に挙げられたため、少額株主に有利な株主優待制度は、廃止の潮流が形成されているが、それに逆行する形での新設となる。

 チャートを調べて頂ければ察しが付くと思うが、コロナ禍となって以降、長期トレンドでは株価が下落基調にあり、これを機に長期保有者が報われることをお祈りするばかりである。

 私はスプレッドシートにて、セクター毎の投下資本利益率を算出しているが、一般の消費者とは異なる消費性向であることから、個人的に良いと思い保有する小売業の銘柄ほど、株価は下落しがちで、セクター別パフォーマンスがワーストな部類となっており、苦手意識が強い。

 そのため、これだけ根強いファンがいる利益率の高い、もはやブランドである無印良品に関しても、株主優待制度が導入されるに違いないと、半ばこうであって欲しいと言う希望的観測から、先回りして保有していたが、ようやく現実化する運びとなった。

 とはいえ、このタイミングでの株主優待制度導入を、市場がどう受け止めるかは、翌営業日の寄り付きになってみないと分からず、私が期待していると言うことは、恐らくそれを裏切る値動きになるのではないかと、半信半疑になりながら、上昇しているPTS株価を眺めている。

的確な先読みと盛大な勘違いは紙一重。

 株式投資では風が吹けば桶屋が儲かる理論で、近い将来の動きを予想して、業績が伸びそうな銘柄を先回りして保有することで、利益を得ていく方法もある。

 センスがある人は、日常の何気ない変化から、連想ゲームで近い将来に起こるであろうことを、結構な解像度で予想できるため、平時よりも有事の方がリターンが取れる傾向にある。

 しかし、リターンが大きいと言うことは、相応なリスクを取っている何よりの証拠であり、時にその先読みが盛大な勘違いで終わることが、なきにしもあらずで、この時に結構な損失を被るのは言うまでもない。

 とはいえ、中長期投資の中では、比較的答え合わせまでのスパンが短く済むため、その気になれば試行回数を増やして、予測の精度が上げられるものと思われる。

 恐らくその極地が、「団塊の世代」の名付け親でもある、堺屋太一さんのように、人口動態から人口ピラミッドのボリュームゾーンである団塊の世代が、日本社会にどのように影響するのを超現実的に分析して、10年〜20年先の日本社会で起こり得るであろう、大きな潮流を予測し、それを見事に的中させる領域なのだろう。

 執筆当時、日本に2〜3軒しかなかったとされている、コンビニエンスストアの普及など、現代人の私が読んでも違和感がない内容を、1976年当時に記しているのだから、恐ろしい解像度の高さである。見果てぬ夢ではあるが憧れる。

未来予測の解像度を上げるためには…

 冒頭の株主優待に関しては表題の通り、個人の希望的観測が現実化した、いわゆるまぐれ当たりの域を出ず、超解像的な未来予測をもとに、こうなるのが妥当だと判断した訳ではなく、一介の投資家としては、内省の余地が多分に含まれている。

 では、解像度を上げるためには何をすべきか。一般的に知識や経験は、「広く浅く」か、「狭く深く」かで論争されがちだが、どう考えても広く深くが良いに決まっている。

 しかし、それができないと直感してしまうのは、幅広い領域を深堀りするのに必要な、時間や労力が一度きりの人生ではまるで足りない。これが本音だろう。

 手前味噌だが、私は周囲からよく年齢詐称しているのではないかと、あらぬ疑問を持たれる程度に、ビジュアルや実年齢的には青二才でありながらも、知識の幅が広く、ひとつひとつが深いと他者に誤解されている。

 これにはカラクリがあって、みんなが知っていて当たり前な、いわゆる「常識」とされるものに関しては、覚えていても価値を持たないため、それらを覚える気がない。

 多くの人が、常識知らずだと思われるのではないかと言った恐怖心や、他人には恥ずかしくて聞けないと言った見栄やプライドが邪魔をして、常識を脳内にインストールするのに、結構な容量を割いている。

 理屈としては、必要な都度検索できる要点だけを抑えたり、思い切って他人に聞いてしまい、常識部分を省力化する分、知らなくても良いが、知っていると世界の見え方が変わるような、どこで役立つかも分からない雑学を抑えている。

 それが、想定外の事態にならないために、小さな変化に気付き、あらゆる可能性を想定する習慣であったり、持論の独自性につながっている。

 最近であれば、原油価格、小麦、卵などが、コストプッシュ型のインフレで値上がりしており、いち消費者としては懐が痛むが、全体の収益構造を俯瞰すると、値上げによって一時的、もしくは将来的な受益者や勝者は誰になるのか。

 こんな具合で、日常の小さな気付きから連想するだけでも、世の中の見え方が変わり、経済ニュースを知ろうとする。その繰り返しで、防戦一方の消費者ではなく、個人投資家として反転攻勢に乗り出せるかも知れない。そう思えた時には、知識を得ることが苦ではなくなっているはずである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?