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爆発したって別によくないですか? 呉勝浩「爆弾」

爆発したってよくないですか?
そー言われると、たしかに…?

タゴサクに飲み込まれそうでした。

本屋大賞2023ノミネート作品!


★★★祝・W1位!!★★★
日本最大級のミステリランキング、『このミステリーがすごい! 2023年版』(宝島社)、『ミステリが読みたい! 2023年版』(ハヤカワミステリマガジン2023年1月号)国内篇で驚異の2冠!!
これを読まねば、“旬”のミステリーは語れない!

◎第167回直木賞候補作◎
◎各書評で大絶賛!!◎

東京、炎上。正義は、守れるのか。


些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。
内容紹介

物語のほとんどは、取り調べ室。
刑事とスズキタゴサクの会話です。

軽快かつ、哲学的でおもしろかった。

警察ってこんな感じの雰囲気なのねー。
えらい縦ですね。
あと「成果」にこだわる!まあそらそうか。
階級や情報の差もすごいし。
みんな葛藤や板挟みを抱えてますね。
僕らの平和はそんな彼等によって保たれてるのか。
いつもありがとうございます。

個人的には等々力さんに割と共感でした。


被疑者?のスズキタゴサク。
信用も財産も職も、社会的に失うものがなにもなく、犯罪を犯す事に躊躇がない、いわゆる「無敵の人」として描かれます。

無敵の人。
無敵の人による犯罪はこれから頻発するでしょうか。

無敵の人。
悪い事するにも良い事するにも、そのメンタルは大事ですよね。

大胆な選択、決断できるハート。
こと、組織においてはめっちゃ大事だと思う。

失うものはない。惜しくない。保身しない。

僕も犯罪を犯すつもりはないですが、社会を良くする為に、「無敵の人」のメンタルが欲しい。



1番好きだったのは、最後に懲戒ものの規律違反を繰り返した警察官に、上司が警察を辞めるか続けるか、問いかけたシーン。

だが、希望だけは聞かにゃあならん。それで、こっちも対応が変わるんだ。

厳格な組織でありながら、隠蔽もたくさんある。
責められるものばかりではなく、こんな人間味のあるあたたかい隠蔽もあるんだろうな。


作中、とある短歌がでてきます。

人といふ 人のこころに
一人づつ 囚人がいて
うめくかなしさ
石川啄木「一握の砂」

囚人とは。
誰の心にもある悪心というか、エゴ、弱い部分でしょうか。

みんな心の中で自分自身と戦ってるんじゃないでしょうか。

味わい深い短歌でした。


普段あんまりミステリー読まないんですけど、本屋大賞ノミネートということで読んでみました!
たまにはいいですね。
ドキドキハラハラ。長編ずっと楽しめました。
そして長らく楽しんだ、最後の最後の一文!
色んなもののメタファーみたいで、深くてよかったです。

以上

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