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【簡単あらすじ】アルセーヌ・ルパン対明智小五郎 黄金仮面の真実(微ネタバレ)【松岡圭祐/角川文庫】


親愛なる友人、明智小五郎へ。
 さようなら
  アルセーヌ・ルパン


明智は、銀の煙草入れに残った遺留品を見て苦笑するしかなかった。

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『はじめに』
酷かった花粉の飛散もようやく収まり、窓を開けると爽やかな風を感じるポカポカ陽気という、絶好の読書シチュエーションを得られる時期が到来しました。
ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。


アルセーヌ・ルパンと言えば、某アニメ作品で知名度のあるキャラクターで、数年前に実写化されたり、人気アニメ作品(体は小学生・頭脳は名探偵)とのコラボ映画が作成されたりしています。

明智小五郎と言えば、名探偵として、様々な文学作品・アニメ作品・ドラマや映画で実写化されるなど、日本を代表する名探偵と見なして良いでしょう。

二人とも、私を含め、多くの方が知っている・読んでいる・見ているキャラクターですが、どう考えても接点はありません。

しかし、ルパンが壮年期にさしかかった頃、ある人物・ある事件を通じて出会い(出会ってしまい)、そこから物語を紡ぎます。

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昭和時代。

ルパンは、南フランスで開かれていた上流貴族のパーティーで盗みを行った。

様々な障害があり盗みに失敗したルパンは、その後部下の一人に、

日本国民が「明智小五郎はアルセーヌ・ルパンの息子だ」と噂している


ということを聞き、真実を確かめるため日本へ旅立つことを決意する。

そして舞台は、明智小五郎のいる日本へと転換します。

その頃の明智は、ある家族問題を探偵業とはかけ離れた大岡裁きで解決するなど、日銭を稼ぐために面白くない日常を過ごしていました。

その一方、「黄金仮面」なる謎の存在が東京に出現したという事件が、世を騒がせていました。

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変装の達人でもあるルパンと明智は、貴族からサーカス芸人・宗教家など身分も姿も変え、ある時は、重要資料を得るため宮城に忍び込み総理や天皇陛下にも関わり、最終盤では空と陸で大迫力の戦闘シーンがあり、ルパンと言えばのロマンスもきっちり入れ込むなど、内容盛りだくさんで大変読み応えのある作品です。

登場人物には、大企業の令嬢大鳥不二子や、ルパンに立ちふさがる巨悪・カリオストロ伯爵夫人のジョゼフィーヌ小林少年怪人二十面相など、他の作品で聞いたことのある人物も登場するところも、読者に新鮮な刺激を与えてくれます。

私は、今作の原典となった「黄金仮面」について未読ですが、解説の方によると

「江戸川乱歩やモーリス・ルブランの原典に見られる大小の矛盾・疑問点に、ことごとく明快な回答を用意しているのに舌を巻いた」

解説P478

と話していますので、私のように「黄金仮面」を未読な方も、既に読んでいる方も、様々なアニメを見ている方などにもおすすめの作品です。

ルパンにも明智にも見どころがあり、どちらのファンだったとしても楽しめると思います。



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