見出し画像

野沢菜

初めて野沢菜を漬けたのは十数年前。祖母が元気なうちに、わたしが漬けた野沢菜食べて欲しいなって、知人にお願いして教わりながら一緒に漬けた。野沢菜って大きい。当時はマンションに住んでいたので、大きな樽に漬けた野沢菜を運ぶのも保存しておくのも一苦労。祖母に送った後は北側のベランダに放置しっぱなしで腐らせてしまい家族のひんしゅくを買ったので、これが最初で最後だなって思っていた。

なのに、数年前に近所のおじいちゃんが、「お菜食べたい」って言うから、またまた漬けたい欲がでた。ひょんなことから友達が教えてくれることになり、親切に実家の畑の野沢菜を持ってきてくれた。採りたての立派な野沢菜、美味しく漬かって、早速おじいちゃんに持っていくと、娘さんに「おじいちゃんは血圧高いから塩気のあるものはダメ」って叱られたのだけど、「娘さんに内緒ね」って、こっそり食べてもらっていた。

娘さんが多忙な時や、家を空ける日に、おじいちゃんの食事の配膳や薬の管理、寝る前のパトロールを頼まれていたので、おじいちゃんと仲が良かった。認知症だったのだけど、わたしは身内じゃないので呆けているのか否か判断がつかない。

ある日おじいちゃんの様子を見に行くと「痔の薬がなくなったから、薬局に行きたい」と言う。娘さんは留守だったので、一緒にでかけたのだけど、おじいちゃんの言う「いつもの薬局」が見つからない。「おじいちゃん、ここ?」って聞いても「違う」って言う。というか、痔の薬ってどこでも売っていると気がついて、4軒目の薬局で無事購入。
娘さんに事情を話すと「痔の薬は売るほど家にあるのよ」

おじいちゃんとはひと冬過ごしただけだった。おじいちゃん、そして娘さんも亡くなってしまったけれど、野沢菜を友達と漬けるのは毎年恒例になった。

今年は初めて友達の実家の畑へ収穫のお手伝い。3人だとあっという間で早いし楽しい。いつもたえこさん一人で収穫してくれてたんだねって。

明日は洗って一緒に漬ける。沢山の人に食べてもらえたら嬉しいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?