真田音夢李

初めまして。小説をちまちまと書いています。初小説なのでへたくそですが、読んで頂けたら嬉…

真田音夢李

初めまして。小説をちまちまと書いています。初小説なのでへたくそですが、読んで頂けたら嬉しいです。 更新はゆっくりペースです。よろしくお願いいたします。

最近の記事

ハッピーエンドを待っている 〜転生したけど前世の記憶を思い出したい〜

8.権力とは  意図せず寄り添う両親を目の当たりにして、思い出した記憶のかけら。  あれは7歳だった暁の記憶。  その約束をした女の子の顔は見えなかった。それどころか、姿形もぼやけていた。  眩い光に隠されたようだった。  でもようやく、1つ‥思い出す事ができた。  死んだ時、俺の人生の中には、あんな場面はなかった。  アレクシスが言っていた事はやはり事実だった。  俺は残されていた。  俺の中には無かったものだった。  映画を見るような‥涙は出るのに、その

    • ハッピーエンドを待っている 〜転生したけど前世の記憶を思い出したい〜

      7.一欠片でも、涙は溢れる  城に入った俺達はそれはそれは豪華な部屋へ通された。  メイド達が、母様を別室に連れて行った。  そして残された俺も、メイド達が風呂に入れてくれて、丁寧に磨き上げられた。  母と同じ銀髪の髪は、今までよりも一層輝いている。  そんなにブラッシングしなきゃダメなの?  犬になった気分なんだけど‥  小さなバスローブから、  真新しいシャツと複雑な刺繍入りのベスト。上着に合わせた子供らしいハーフパンツ。蝶ネクタイ。  あぁ、入学式か‥?

      • ハッピーエンドを待っている 〜転生したけど前世の記憶を思い出したい〜

        6.フラグは立てるな 『帰してやれ、待っているぞ。』 アレクシスがそっと俺に呟いた。 この光が戻ったら、俺は思い出すのか? 切り取られた、その魂の番(つがい)を‥‥ すっと深呼吸して、光を胸に当てた。 その桃色の光の塊は、静かにそっと俺の中へ戻った。 「‥‥‥‥‥‥」 『‥‥‥‥‥‥』 「俺さ、こーゆうの昔見た漫画とか、アニメとかよくあんじゃん?戻った瞬間に、こう‥頭の中にバァーって駆け巡るみたいな‥」 俺をきょとんと見つめるアレクシス。 『さぁ?そうなのか?

        • ハッピーエンドを待っている 〜転生したけど前世の記憶を思い出したい〜

          5.幼い子には幼い贈り物 あーもう、ケーキなんかどうでも良い。 俺は、ニッコリ笑ったホストを睨み見た。 『その小さな可愛いテオドールに睨まれてもちっとも痛くない。そして、私はホストではない。』 「‥‥とりあえずケーキ戻して。素手で持てねぇし」 『そうしよう。あぁ、このままケーキに顔突っ込んでくれても」 「やらねぇよ!」 なんだよ。戯れてる場合じゃねぇんだよ。 こいつは俺のために降臨したと言った。 という事は、俺が忘れた記憶の手掛かりを土産にしたはず‥ すっかり

        ハッピーエンドを待っている 〜転生したけど前世の記憶を思い出したい〜

          ハッピーエンドを待っている ~転生したけど前世の記憶を思い出したい~

          4.7歳の誕生日  夢を見ていた。  真っ暗な部屋だった。  ごちゃごちゃな部屋の中、あれは‥  昔の、俺の‥‥部屋?  ハッ‥と目を覚ました。ドキドキしていた。  この世界に産まれ落ちて、初めてみた。俺の前世の景色。  《あんな暗い部屋‥寝てたのか?いや、ベッドを‥背もたれにして、座ってた‥?》  姿を見た訳じゃない。けれど、そんな気がした。  どうしてかは、わからない。  今日は、この世界に産まれた俺の、誕生日。  この世界にも時計はある。産まれて7年も生

          ハッピーエンドを待っている ~転生したけど前世の記憶を思い出したい~

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          3.産まれ落ちた世界線  次に目の開いた時、見知らぬ揺籠の中だった。  俺は、産まれたばかりで、決して裕福そうな籠と衣服ではなかった。  《ここは、一体どこだ?》 「あぅ‥」  小さな手、生地の悪いベビー服。古い木の柱が傍目に見える。  《俺は‥生まれ変わったのか?》  奴は、次の人生へ導く者だと言った。  まだだ、覚えてる。あの金髪の胡散臭いギリシャ神話の様な奴を‥  《俺は暁(あきら)だった。そして、俺を残して逝った者》  名前は‥‥  あ‥れ‥‥‥

          ハッピーエンドを待っている ~転生したけど前世の記憶を思い出したい~

          ハッピーエンドを待っている ~転生したけど前世の記憶を思い出したい~

          2.残した者、残された者 『お前に一つ、教えてやろう。‥あぁ、一つでは終わらないかな?』  額に当てられた奴の手は、その言葉と共に俺の頭を強く掴んだ。 「いっっっ‥‥‥」 『痛いか?お前の人生は本来痛かろう。知らぬが仏とは、お前のような者の為かもしれんなぁ?』  ギリギリと強くなる手の力に、俺は咄嗟に両手で奴の手首を掴んだ。 『如月 暁、お前の名だ。理解しているな?  お前はある魂によって生かされていた。何度も何度も、死にたがりのお前を‥‥あの魂は天使か?  

          ハッピーエンドを待っている ~転生したけど前世の記憶を思い出したい~

          ハッピーエンドを待っている ~転生したけど前世の記憶を思い出したい~

          1.人生はどうだった?   『やぁ‥君の人生はどうだった?』 「‥ここ、どこだよ」  俺が目覚めた場所はこの世のものではありえない程、先も見えないのに、上から天使の梯子が降り注ぎ、幻想的に光り輝いていた。  放り出された様に座った俺の下は、まるでオーロラが流れるように揺らめいている。  そして、目の前には人間離れしたイケメンが偉そうに腰に手を当てて立っていた。 『いやだから‥君の人生はどうだった?』  ふと‥自分の手のひらを見た。  俺は確か、86歳で召され‥

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