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フィリピン留学 セブ行ってきた話 つづきのつづき

翌朝、喫煙所に行くと40歳くらいの男性がいた。スタッフじゃなくて俺と同じ留学生。入り口からみて右奥に座っていた。で、俺は左奥に座った。机2つ挟んで距離は5mくらいかな。とりあえずタバコを吸い始める。朝のタバコってのは目が覚める。あと俺はタバコ吸うと便意を催す体質なので便秘防止になった。

で、俺はこの人に話しかけようか悩んだ。「この学校来て長いんですか?週末にどこか観光とか行きましたか?」的なこと言えば何かしら会話が始まるだろうか、とか考えた。「いや、まずは自己紹介か?つかめっちゃ愛想ない人とかでリアクション薄かったらしんどいなぁ〜無視安定なんかな、、」的な事も考えた。

で、結局何も言えずにタバコを吸ってたら向こうから「今日、何時から授業はじまるの?」と話しかけてくれた。英語で。ここで気づく。この人、韓国人だと。

正直痺れた。人生初のプライベートで英語を使う体験。伝えたいことがあるけど何つったらいいんだろう、と本気で思った。これは面白い。で、相手は発音がめちゃ下手。でもそれが逆に聞き取りやすい。

というのも、俺の感覚だけど間違え方が韓国人と日本人は似ているんだと思った。例えばI thinkを「アイシンク」と発音してた。thinkじゃなくてsinkに聞こえるっていうアレ。が、thinkをsinkって発音しちゃうのって日本人もじゃん。だから俺と彼にとってthinkは「シンク」と発音し「考える」という意味になった。言語ってのはコミュニケーションを取るための道具であって正しい正しくねぇなんつぅのは別次元の話。間違った発音でも相手が同じ様に間違ってれば寧ろそっちの方がやり取りはスムーズに進むっつぅ。発見だった。

で、俺はテンション上がっちまって下手な英語で話しまくった。文法なぞ二の次。三単現のsなんてつけねぇ。一般動詞の疑問文の先頭にdoなんてつけねぇ。肯定文で語尾の発音上げときゃ十分だった。分詞構文なぞ使わん。よくわからん前置詞とかも使わん。中学の文法をフル活用。てか、マジで生の外国人やん。そりゃ日本にも外国人いるけど、日本っつぅホームグラウンドで彼らとやりとりするんとは違うスリル。意思疎通できるっつぅのが嬉しかった。

男性は「ムン」って名前だった。ムンは朗らかでのんびりした人だった。そっから俺は空き時間はいつも喫煙所に行ってムンと話した。韓国の文化を沢山教えてもらった。韓国語で「ヒョン」は「兄貴」って意味ってのを教わった。だから俺はずっとムンの事を「ムンヒョン」って呼んでた。面白かったんは一緒に鍋食いに行った時だった。ムンとムンが仲良くなったっていう韓国の女の子と3人で。おれは一番年下だから、鍋を皿に取り分けようとしたら2人はすごく楽しそうにしてた。で、「めっちゃ日本の文化だね」って言われた。韓国は小皿に取り分けないでそのままつつくってのが常識だとか。俺はここでも面白ぇと思った。これか!これがあの有名なカルチャーショックといつやつか!

で、とりあえず俺が取り分けたやつを食った後は2人は鍋をつついてた。俺も面白くなっちゃって同じ様につついた。あと、女の子はタバコを吸ってたんだけどこれも面白かった。タバコって吸うと透明の痰みたいなん出るじゃんか。アレを机の上の灰皿に吐くん。吐くっつぅかぺトーって垂らすというか。これ違う韓国の女の子もやってて割とデフォルトなんかな、とか思った。見る人が見たら汚ねぇとか思うんかもしれんけど。俺は全然。てか寧ろ文化の違いおもしれぇ!例のやつ!カルチャーショック!

ムンとの思い出は沢山ある。俺の留学の思い出の殆どはムンとの思い出だろうな。

ある日の昼飯の時、食堂はいつも通り満席だった。俺がバイキングで飯をとった後、どこに座ろうか悩んでいたら遠くの方からムンが手を上げて「こっちこっち!」てんで合図を送ってくれた。こん時嬉しかったなぁ。

で、ムンのとこに食器トレーをもって歩いていくと5人くらいの韓国人グループの中にムンはいた。で、ムンは俺の事を何やら韓国語でメンバーに紹介してくれた。この時何を言ってたかはわからん。が、グループは俺を迎え入れてくれた。みんな40歳くらいだった。

来た時に、実はニックネームを考える。俺は思いつかなかったから普通に日本語の名前にしたが。因みにムンは「moon」と名乗っていた。月だね。

で、韓国人グループの間で自己紹介をした。ナイストゥーミーチューって言っといた。で、他のメンバーの名前も聞いた。ニックネームと本名を聞いて忘れない様に携帯に特徴と名前をメモった。今でも全員の名前を覚えている。

ハジーという奴がいた。身長180以上のスゲェ背の高い人。マッチョでガタイも良い。ハジーとムンで週末になんか有名な教会に観光に行ったの思い出がある。ハジーと肩を組んで写真を撮る時、思いっきり背伸びをした。観光地は物乞いがめっちゃ多くて危ねぇって印象だったけど、ハジーがいたから安心だった。ガタイの良いハジーにたかろうって物乞いはいないだろうから。

マングーという奴がいた。グループの中じゃ割とイケメン。そいつは趣味がガンダムで韓国の自分の部屋に飾ってあるプラモデルの写真を見せてくれた。やっぱシナンジュはカッケェよなって話をした。シナンジュは韓国でもシナンジュと呼ばれていた。ネットのハンドルネームはよくわかんねぇけど「炎のトカゲ」を韓国語でいったやつだとか言ってた。おそらくサラマンダーの事だと思った。オタクは30過ぎても厨二病ってのは向こうも一緒らしい。あと何か、出会い系的なのをやっててちょっと女と会ってくるっつって週末出かけてたのはスゲェと思った。あと寮のサービスで洗濯物を出すと洗ってくれるってのがあった。俺は全く気にしなかったし、女子の生徒もガンガン使ってたけど、マングーは何か気に入らなかったらしくコインランドリーで自分で洗いたいっつって街に出掛けてた。俺も面白いからついてった。マングーと二人で話しながらコインランドリーを探すと何か洗濯物屋?的な事やってるトコがあった。現地のおばさんが受付にいる。で、マングーが受付のおばさんと話してると何やら様子がおかしい。どうしたんだ?と聞いたら表示価格よりめっちゃ高い価格を提示されてた。要はぼったくり。おめぇら金持ってるんだからこれくらい出せ、嫌なら帰れって事なんだろうな。で、俺らは英語で言い返せるだけの語学力はなかったからマングーはその金額をだしてた。なるほどコレが人種差別というやつか。俺は例の如くショックというより、やっぱり面白かった。人生初めての人種差別。店じゃムカつく顔をしたけど、帰り道「やられたな〜」て話してた。

長くなったから続きはまた書こうと思う。思い出とか考えた事はまだまだある。台湾人の女の子のグループとムンで観光に行った時の事とか。俺が海で泳ぎを披露した時とか。向こうに来てる日本人の留学生の事とか。現地の街の様子ってか暮らしとか。先生といい感じになったとか。治安が悪いからあんま近寄るなって言われてた街に行って夜の店に行ってみた話とか。働いてる子供が多いとか。海が予想外綺麗じゃないとか。海賊に会ったとか。ムン達が兵役行ってた時の話とか。韓国でもパワハラがあるとか。スーパーで買い物に行った時とか。現地の人たちがつかう言語の話とか。台湾人のレズビアンな子とか。現地でみんなの母国の飯を出してるレストランに行ってみた事とか。酒飲む時のコールの話とか。それ以外にもほんと色々ある。マジで全然ある。書き出してみるとこんなにあるかとビビる。

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