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初雪とホットケーキの日曜日


わたしに足らないのは柔らかさだ、と目覚めてすぐに唐突に思った。
それで、来年はそれを目標にしたいと。
(相も変わらず、くるりの「ばらの花」とサカナクションばかりを聴いている。聴きながら家事をこなす。)


先日次女を学校まで車で送って行った時のこと。赤信号で待っている目の前を、とてもとてもきちんとした女の人が犬を連れて横切って行った。
早朝で雨が降っているのにもかかわらず、傘をさし、レインブーツを履いて歩いているその人は、スカートで髪の毛もウェーブがきれいに整っている。
市役所の真横の横断歩道だったから通勤とおぼしき人たちもちらほらいたけれど、その中でもいちばんきちんとしていた。ドラマの一場面かのよう。
このご婦人の朝はどんな時間が流れているのだろうと思いを巡らす。


そして、今朝。
柔らかさが足りない自分と、きちんとした犬の散歩のご婦人を思い出し、ホットケーキを焼こうと思い立つ。
そうしたら、ホットケーキミックスを切らしていた。


仕方ないので、小麦粉、重曹、砂糖、塩、牛乳、卵のレシピで作ろうと決めた。
が、卵がない。
たまに意を決して、普段やらないことをやろうとすると、こうゆうことになる。
しかし、ここであきらめてなるものか。
夫を起こし、近くのコンビニまで卵を買いに行ってもらう。


「しろくまちゃんのほっとけーき」を頭の中に思い浮かべながら、プツプツと穴があいていくのを眺めつつ、裏返すタイミングをはかる。
しかし、ホットケーキミックスで焼くホットケーキのようには上手くはいかない。
ホットケーキミックスって偉大。

試行錯誤(火加減の調整や、蓋をしてすこし蒸したり)何枚もやくうちに、自分の中でホットケーキを食べたい気持ちがどんどん遠ざかっていくのに気づく。
そういえば、誰かも言っていた。
料理しているだけで、食べる前にもうお腹がいっぱいになってしまう。


どらやきの皮のようなホットケーキが何枚もできあがる。
まぁ、いいか。子どもたちも夫も、これはこれで別に嫌いじゃないそうだ。


ところで、「柔らかさ」と「きちんと」ってなんだか正反対みたいな気も。
「柔らかさ」というものを、もっと深く考えてみる必要がある。



さっき、この辺りにも雪が舞った。
記憶にある限り、初雪だ。
なんだかうれしい日曜日です。





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