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京都の怖い話

 割と昔から京都が好きで5回くらいは通っているのだが、2つほどネタが有ったので書き連ねていく。

1、伏見稲荷

 小学生の頃、冬の雪が降る寒い日に平等院鳳凰堂に行ったことが有った。帰りに宇治のとある喫茶店に入りココアを頼んだ。そこのマスターから聞いた短い話。マスターは子供の頃によくカブトムシを採りに伏見稲荷へ友達と行っていたそうだ。夜の方がクヌギの木などに群がっているため都合が良いそうだ。その日も夜遅くに友達と2人でカブトムシが沢山取れるスポットまで鳥居を抜けて山を登っていたそうだ。狩場に到着し夢中で捕まえていると下の方から誰かが ”タッタッタッ”と登ってくる。暗かったので最初はよく分からなかったが、どうやら1人ではなく2人ほどの人間がこちらに向かって走ってくる。音が段々と近づいてきたので懐中電灯を当てると、白い着物を着た2人組の女性が下の方から自分達に迫ってくるところだった。マスターと友達は悲鳴を上げながら上へ上へ逃げ、暫く夜の山を2人組の着物の女に追いかけ回されたそうだ。

2、花山洞(東山トンネル)

 自分が高校3年で修学旅行に行った時の話。最終日に別行動していた友人のMが興奮冷めやらぬ様子で「昨日、幽霊を見た」と話しかけてきた。私はかねてより怪談好きであったため、その友人には「もし何か怖い体験をしたら真っ先に自分に教えるよう」常日頃から言い聞かせていた。というのも彼は子供の頃にホテルに泊まった際にテレビが勝手に付くのを見たり、幽霊に頭を”スパーン”と叩かれたりしたことがあると言っていたので、少なからず「持ってる」側だと自分は勝手に判断し、そういう子なら怪異と邂逅する確率も高いだろうと、自分はかねてより彼に唾をつけていたのだ。
 「本当に見たの?」と聞くと「正確には見たというより聞いた」と彼が答えるので詳しく聞くと、前日の夜の自由時間にMを含め4人組グループで心霊スポットの花山洞に行ったそうだ。そこは比較的人通りが多い場所からそう離れていないというのに、とても静かで不気味な場所だったそうだ。ただ4人で一緒に入ってもつまらんということで1人ずつ端から端まで歩いたりしていたそうだ(Mはおっかな過ぎて走り抜けようとしたら、前の順番の友人がふざけて中で倒れておりパニックになったそうだ)。だが結局何も起こらず興が冷めた4人は来た道を戻りトンネルを抜けた。その時それは起こった。
 「ダムッ…ダムッ…ダムッ…」とバスケットボールをつくような低い連続音がする。自分達以外周りには誰もいない。音はトンネルを抜けた所にあるフェンスで囲われた森のような立ち入り禁止区域の奥からしていたそうだ。
「公園でもあるのかな…?電気も無いのに…」
4人はしばらくの間、ボーッと音の発信源の方を向いて黙ってバスケットボールの音に耳を澄ませていたそうだ。後日、その場に居合わせたTにその時の話を聞くと「え、公園か何か有ったんじゃない?」と言うので地図を見せて「そんなもの無ぇよ」と教えると「怖いこと言わないでよ」っと真っ青になってしまった。

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