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オンライン授業の導入について

今日は私がコロナ禍で経験したオンライン授業の導入についてお伝えしていきます。もう2年半くらい前の話なのであやふやな所もありますが、オンライン授業の裏側ではこんな苦労があった、ということを知ってもらえればと思います。
※あくまで私のいた小規模大学でのオンライン授業です。これが全ての大学のオンライン授業導入に当てはまるわけではないことはご了承ください。

それではまず新型コロナウイルスの流行が始まった所から見ていきましょう。


①2020年1~2月 新型コロナウイルス襲来

皆さんも当時の様子は記憶に新しいかと思います。最初は中国の武漢で2019年12月下旬ごろから始まり、日本では2020年1月~2月ごろにダイヤモンドプリンセス号で大騒ぎしましたね。この頃はまさか現在のような世の中になるとは誰も想像していなかったと思います。大学業界でもこの頃はまだ例年通り授業が実施される予定でした。

②2020年3月 続々と卒業式・入学式中止

正直当時はどこまでどう判断して良いか分からず、小規模大学なんかは他の大学の動向を見ながら随時それに倣うような感じでした。自分で判断できないところは悪いところですが、決定までは早いのが小規模大学の良さですね。
度々危機管理委員会が開かれましたが、よく考えたらこの頃はまだオンラインツールを使える教職員がおらず常に対面でやっていました。本学では卒業式は中止にしたものの、この情勢は収まるのかどうなのかも分からず、結局入学式は前日までやる方向でいました。
結局入学式前日に中止が決定し、職員全員で手分けして新入生のご家庭に電話電話電話・・・。その指揮に関しては私が取っていました。なにせ新入生の情報を持っていたのが私だったもので。
今思えばめちゃくちゃ面倒くさかったなー、この作業。一番年下で下っ端が上の人たちに指示出すってなんだこりゃ、他に頭使ってスタートからゴールまで理解して、そこまでのプロセスを作れる人いなかったのかよ、って思ってましたね。

③2020年4月その1 オンライン授業へと動き出す

入学式が中止となり、本学でも本格的にオンライン授業へと動き出しました。もちろん当初予定していた4月上旬のオリエンテーションなども中止となり、授業開始も延期となりました。
さて、もちろん私もオンライン授業対策チームに入れられました。まずはオンライン授業で使用するアプリケーションについて。本学ではOffice365を導入していたので、それで使用できそうな「Microsoft Teams」というアプリケーションを使用することにしました。もちろん誰も使い方は分かりません(笑) 他に代表的なツールとしてはZoom、Google Meet、Webex、YouTubeなど大学ごとに色々なアプリケーションを使っていました。
次に授業の形式について。これも大学ごとに色々なやり方がありました。リアルタイムでオンライン配信する形式やビデオ動画を置いておき学生が時間になったら視聴するオンデマンド、または課題だけ出して提出する方法など様々です。これは授業の性質だけでなく、学生負担や教員負担といった部分も考慮して決めなくてはいけません。結局本学では最大60分程度の動画+課題という形になりました。オンデマンド形式と課題のハイブリットですね。これで90分の授業を担保したわけです。
出欠に関しては、Microsoft Formsというアンケート機能を使用して出欠管理をしていました。授業動画に任意の数字を入れて、それをFormsで回答させる方法です。

さて、肝心の授業開始ですが・・・なんと本学では4月20日ごろから開始ました! 他大学は緊急事態宣言が明けた6月ごろから始める大学がほとんどだったので、このスピード感は異常でした。オンライン授業をこの時期から始めるということは、つまりそれまでに準備をしなくてはいけない、ということです。今考えたら異常です(笑)
当時の教務委員長はこれで出来る、と分かればあとは動くだけ、という考えで何か不具合があれば動きながら修正していこう、という方針でした。その割を食うのは職員側なんですけどね。
結局授業開始まで2週間くらいで準備しました。それまでに私がやったことと言えば・・・

  • Microsoft Teamsの動作確認

  • 学科ごとのチーム、チャネルのルール決め

  • チームの作成、授業ごとのチャネルの作成

  • 学生側の授業マニュアル作成

  • Microsoft Teamsの使用方法動画撮影(学生用、教員用共に)などなど

だいたいこんな感じでしょうか。おそらくもう少しあったと思いますが、大きく分けると基本的に学生側に関することは私が行っていました。教員側のマニュアルや動作確認は教員が行っていました。
Microsoft Teamsを使用している人なら分かると思いますが、チームやチャネルといった階層があり、それをどう学部・学科・授業ごとに割り当てるかを決めなくてはいけません。そして学科をまたぐような授業の場合やクラスごとの授業の場合などの学生ごとの割り当てなども色々ありました。
また、マニュアルづくりはとにかくスクリーンショットを撮りまくって段階ごとに説明をする形で作成。実際の動画作成では学生目線に立ってパソコンver.だけでなく、スマホver.も撮影しました。

こんなことを2週間程度で行いました。おそらく大学職員至上1,2位を争うくらいで忙しかった時期だと思います(個人的にはオンライン授業の導入か教務システム導入のどちらかが一位です)。ある意味デッドラインの近さとゴールの不明瞭感で言えば一位ですね。
ここまで色々導入について書いていますが、はっきり言っておきます。私はオンライン授業の「オ」の字も知らないような人間でした。本当にゼロベースで導入までこぎつけました。PCスキルと言えば業務で使用するExcelのVlookup関数が使える程度のレベルです。組織にこんな人材しかいなかったのによくオンライン授業を導入し運用できたもんだ、と今振り返ると思いますね。オンライン授業のベースを作った人間としてはちょっと満足気です。

④2020年4月その2 オンライン授業開始!

さて、オンライン授業の準備ができて4月下旬から開始しました。開始したはいいものの、まあうまく見れない、うまく配信できない、ログインできない等々質問の嵐。学生教員含めて開始1週間くらいは1日およそ80通くらい質問のメールが来ていました。これを一人で裁いていたのですが、80のトラブルに対して1つ10分程度で動作検証含めて対応するとします。そうすると80×10=800分、これを時間に直すと13,3時間
ん?半日終わってね?1週間くらいこんな生活していました(笑) もちろん私の業務はこれだけではないので、なんかもうよくわかんない感じでGWまで駆け抜けましたね。

⑤2020年6月 対面+オンライン配信

オンデマンドでのオンライン授業はだいたいこんな感じで、6月から緊急事態宣言が明けたので本学では対面授業を開始しました。全面対面というよりかは学科ごとに対面とオンライン授業の週を交互に行う分散登校を実施しました。
対面と言っても体調に不安のある学生や満員電車など通学に不安のある学生は自宅からの視聴が可能なハイブリット型の授業です。この辺は自己申告制で学校に来たい人は来る、自宅で受けたい人は受ける、このような形でした。この形式だと学生は徐々にみんな自宅で受けるようになります(笑)
しかし、そうなると今度は学校からの配信が大変。パワポの共有ができない、教室に配置したWebカメラが上手く映らない、音声が入らない・・・
色んな不具合が生じながらこれらに全て対応したのが私でした。同時限に4コマも5コマもある授業の全てに対応し、教室中を駆け回りました。当然10分の休み時間では回り切れず、対応が後回しになった授業は開始が遅れます。
こんな状況で誰も私のフォローをしてくれず、教室を駆け回ったりハイブリット授業の不具合がないか監視していたりしながら1週間が経ちました。対面授業が始まった翌週、私は過労で起き上がれませんでした。結局オーバーワークで2日間休みました。その間の授業配信はまあ酷かったですよ。
休み明け出勤したら、机の上に栄養ドリンクが大量に置いてありました

おいおい、過労で倒れてたのにまだ働かす気かよ。倒れた原因考えろよ。業務量分担しろよ。

結局オンライン授業に関しては私がずっと担当していました。ただ他の業務を手伝ってくれた派遣さんもいたのですが、どうやら業務が難しかったらしく若干パンクして、私は事務長に怒られました。言われっぱなしも嫌なので私は事務長に「(働かないおじさんの方の机を指しながら)他に言うべき人がいるでしょ?」と言ったら逆切れされました。もう完全に意味わからん
話し合いも通じない相手だったので、結局私は派遣さんに謝って業務を引き取りました。
もちろん残業手当も賞与に反映されることもありません。他の人がコロナ関連の対応何もしていないのに、自分一人で業務を抱えていました。同じ部署の働かないおじさんはこの期間マジで何もしていなかったのに、賞与は満額です、だいたい私の倍額です。こんな感じで転職を決意しました。

おまけ:テキストについて

先ほど派遣さんに業務を頼んだ、とありましたが、これはテキストに関する業務を渡していました。
4月20日から授業開始に際してテキストが必要になりました。本来であれば対面で販売していましたが、来校できないため注文書を送付してもらってそれに対してテキストを書店と協力して学校から郵送する、そして代金は期日までに振り込んでもらう、こんな形を取っていました。
かなり見切り発車で行ったので、テキストの買い間違いや学校側の説明違いで不要なテキストを買ったり、また代金の回収にかなり苦労しました。
そんな中、学生数百人分のテキストの注文状況と支払い状況を派遣さんにExcelでまとめてもらおうとしたらパンクしました。
これについて私は事務長に怒られましたが、今でも不服に思っています。


まとめ・おわりに

いかがでしょうか?
今回は前半はオンライン授業の導入について、後半は私の愚痴を書いてきました(笑)
オンライン授業の導入については小規模だから私の力で何とかなった部分はあります。ただ、これが本当に転職の際のアピールに繋がりました。面接官は皆さんこの苦労を理解してくれました。こうした困難を前にした時に立ち向かう人間か逃げ惑う人間か、はたまた口だけは一丁前で行動が伴わない人間か、人の本性はこういう時に出ると実感しました
今回の記事が大学職員を目指す人のためになれば幸いです。

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