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#２
『引っ越し』
いよいよ引っ越しを決行。
芸人人生を賭けた大勝負。
新しい場所でこれから何が待っているのか楽しみだった。

謎に自信はあった。
自信があったと言うより、これ以上悪くならない状況からのスタートだったから思い切り行けた。

コンビ２人でほぼ同時に引っ越した。

先ずは自分から引っ越し。

前の家の物を一気に捨ててやった。冷蔵庫や洗濯機…
心機一転しようと思って。
無料出張買い取りの廃品回収業者にぼったくられそうになったのを動画のネタにしたりしながら引っ越した。
重たいものは相方に手伝ってもらったりして。
なんか青春って感じだった。

そして数ヵ月遅れて相方の引っ越し。
相方はギャンブル好きで借金で差し押さえ中だから普通の引っ越しが出来なかった。審査も通らないし。
そういう意味でも【特別な物件】に引っ越した。
とにかく家賃の安さで選んだらしい。
相方の性格なのでそれ以外のことは何も考えてなかったようだ。

相方の引っ越しもコンビ２人でやった。
車に入りきらないから３往復くらいしたかな。

初めて相方の家に荷物を運んだときの俺の第一印象。
凄くよかった。
中が凄く綺麗にされているなと思った。
ここから挑戦が始まるんだと言う感じ。
夕日の中で荷物を運んだのをとても覚えている。

ただ相方は内見のとき、初見で不気味と思ったらしい。
初めて荷物を運ぶ前に相方に｢気味悪いから覚悟しといてくれ｣と言われたのが印象に残っている。

まぁ言われてみれば気味悪いのかな、と言う感じ。
見たことないようなデカイ虫とか大量にいるし。

引っ越ししながら相方が騒ぎだした。
｢あれ、この部屋蛍光灯ついてへんやん！｣
実は引っ越し前、俺の方が先に引っ越したから相方に教えたことがある。
｢家賃が安い家は引っ越すとき蛍光灯がついてるか確認した方がいいよ。蛍光灯がないこと多いから。蛍光灯自分で買うとかえって初期費用高くなるよ。あと近くにコインランドリーがあるかとか…｣
相方の性格だから絶対この辺見落とすと思って教えたけど、案の定聞いてなかった。
他にも
｢この辺コインランドリーないやん｣
｢こんなとこに変なパイプ出てるやん｣
｢この水道繋がってへんやん｣
引っ越し当日に色々騒ぎだした。
圧倒的なだらしなさだ。
しかしこのだらしなさがこの家に相方が引っ越すきっかけになった。

そして引っ越してから数日後、
だらしなさの極めつけが起きた。
｢ちょっと俺んち来てくれ。俺んちヤバイかも知れん。押し入れに変なのがある。｣

何があるんだろう？
とりあえず駆けつけた。

押し入れにあったのは、御札のような貼り紙。
【封】と書かれているし、若干焦げている。

これは御札か？
見た感じはどう見ても御札だ。
しかし御札だとしても普通は貸し出す前に不動産屋が剥がすんじゃないのか？
何かあるのかこの家は。

そう思い相方に聞いた
｢引っ越す前に事故物件かとか調べなかったの？｣

｢調べてへんよそんなの｣

部屋に蛍光灯がないことも引っ越し当日に気付く奴だ。
そら調べないよなと思った。

しかしこんな物、不動産屋が黙ってるか？
そもそも事故物件なら貸す前に教えるんじゃないのか？
相方がドッキリしてきてるのか？

あとあと知るが、この建物は他の空室の部屋の玄関前にも盛り塩が置いてある。
空室の前に盛り塩。
『もう貸す気ないだろ！』てツッコミたくなる。さすが【特別な物件】だ。
そして
事故物件と言うのは心霊現象が起きる物件のことではなく、あくまでその部屋で事件や事故があった物件のことらしい。

事件事故があったけど心霊現象はない→告知義務がある事故物件
事件事故はないけど心霊現象が起きる→告知義務はない

と言うことだ。

御札を見つけた我々はそんなこと知らないから某有名な事故物件サイトで調べた。
シッカリと記載されていた。
だが｢事件、事故があった｣と言う書かれ方ではなく、抽象的な書かれ方だった。
実は何が書かれていたかは公開したことがないんだけど
｢怖いことが起きる｣と言うくらい抽象的な書かれ方。
※その某有名な事故物件サイトも あくまで心霊現象ではなく事件や事故があった物件を載せるものなので心霊現象などの書き込みは削除対象らしいです。我々の物件も数ヶ月後に消えていました。

そのサイトの書き込みを見ていよいよここは何かあると認識し始めた。

相方はすぐに引っ越したいと言っていた。
しかし２人とも引っ越しでお金は全部使っている。
メチャクチャバイト頑張っても一年以上は掛かるよな…
２人でそんな話をしていた。

そんな悩みを、少しだけ再生数が増え始めていたYouTubeにぶつけてみることにした。

【相方の家から御札のような物が見付かった】
これも動画にしよう。

そしてお金がなくて引っ越せないことも動画にしようと思い目標を立てた
【チャンネル登録者１万人いくまで事故物件から引っ越せません】
１万人と言うのは当時の収益から計算して、それくらい登録してくれる視聴者さんがいれば収益で引っ越せるな、と言う人数。

いくら引っ越したいと言ってもお金がないもんは仕方ない。
２人で頑張る決意をした。

こんなマイナスな気持ちからスタートした企画が後にリッチドッグの運命を変えることになるとは知らず…

とりあえず
当時はまだ事故物件以外の動画をメインで頑張っていたから『なるべく家にいたくない』と言う相方のために、家以外の撮影…
『特に夜中家にいたくない』と言うから
夜中に２人で外に集まって撮影していた。
だから当時の我々の動画はやたら夜中が多い。

そして
遂に事故物件での撮影もスタートした。

相方は『住んでみたけど特に何もない』と言っていたので、２人とも『何も撮れないだろうなぁ』と言う気持ちが半分以上だった。

しかし

初めての深夜の撮影…

その時
映ったものを見て２人とも

この部屋に何かがいると確信することになった。

つづく

今回紹介した動画たち

リッチドッグ 宮本