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2020年12月の記事一覧

彼女が見つめる彼女の瞳ー「あなたの目は…」恋する心と愛する欲望ー映画『燃ゆる女の肖像』を見て、わたしは、北島マヤのことを思ったー

彼女は、いきなり海に飛び込んだ。絵を描くためのキャンバスが、小舟から海に落ち流れていく。船には男が数人乗っていたが、誰も拾ってこようとはしてくれない。きゃーっと喚いたり嘆いたりもせず。彼女は黙って上着を脱ぎ、海に飛び込み、キャンバスの箱にしがみついた。

映画の冒頭から、見ているわたしは(何故だ?)と訝っていた。なんで船の男たちは、荷物を拾う態度すら見せないのか。女が海に飛び込んでも助けようともし

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スージー鈴木『恋するラジオ』(ブックマン社)を読んでー今度は音楽と青春の旅をしたー

スージー鈴木『恋するラジオ』(ブックマン社)を読んでー今度は音楽と青春の旅をしたー

「スージー鈴木」の名を知ったのは、いつだったのか。ツイッターを始めた頃、プロ野球ロッテマリーンズのコラムを読んだのがきっかけだったのか。でもその前から知っているような気もするし、スージー甘金(マンガ家)と間違えていたような気がしないでもない。

何もかも定かではない「スージー鈴木」に、でも何かこう80年代の香りを感じていた。80年代サブカルの匂い…。橋本治よりは若い。いとうせいこうやえのきどいちろ

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昭和、平成、令和を生きるー稀代の野球マンガ家水島新司引退ー本当にいろいろなことを思い出すー水島マンガにありがとうー

昭和、平成、令和を生きるー稀代の野球マンガ家水島新司引退ー本当にいろいろなことを思い出すー水島マンガにありがとうー

『釣りキチ三平』で一世風靡した矢口高雄さんが81歳で亡くなり、数日後に同年代の水島新司さんが引退を表明した。プロ野球の殿堂入り候補も辞退したとのことで何があったのかはわからないが「心境の変化があった」そうだ。(以下敬称略)

1972年、わたしは10歳。週刊少年チャンピオンで『ドカベン』は始まる。以降、2018 年『ドカベンスーパードリーム編』完結。わたしは56歳。山田太郎の野球生活は、46年間も

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