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映画『レジェンド&バタフライ』のこと。

1月27日に公開となった映画『レジェンド&バタフライ』のことを少し書き留めておこうかと思います。

映画を「観たい」と思うきっかけは人それぞれで、これだけ配信作品が充実していると、どの映画を映画館で観るのか(本当は、観たいと思ったものは映画館で観てほしい!というのが、仕事柄としては本音ではありますが……)、作品選びも迷います。

木村拓哉さん、綾瀬はるかさん、古沢良太さん(脚本)、大友啓史監督──個人的には、この名前が並んだ時点でワクワクしてしまいますが、面白いなぁと思ったのは、信長の物語をこんなふうに描くのか!という、オリジナルの時代ものだということ。コメディの印象が強い古沢さんと、るろ剣の大友監督がタッグを組むとこうなるのか!という──実は意外な組み合わせだなと思っていた二人によって生み出されたエンタメ感。そして「その時代を生きる」ということを考えさせてくれる強いメッセージ。それがとても新しくて、面白くて、信長のことは知っているけれど、これは観たことのない物語だなと、感動してしまったのです。

この作品は、公式ライター(※)として参加しているので、こんなところが凄いんですって!というポイントもいくつか紹介できればと。
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先に挙げた物語の面白さの中には、合戦そのものは描かないという、何とも大胆な手法も取られています。なんだ、合戦シーンはないのか……と思う人もいるかと思いますが(合戦の前後は描かれます)、それもひとつの描き方であって。けれど、描かないことで別のものが見えてくる。好きなシーンに、桶狭間の戦いの前夜のシーンがあります。行き詰まった信長、彼と一緒に策を練ったのはなんと妻の濃姫だったという、あの前夜にそんなことがあったかもしれないという、まさに今まで目にしたことのない場面を目撃する。しかも、二人のやり取りがとても良い。どんなふうに良いのかは、「レジェバタ」撮影現場潜入記↓に詳しく書いているので、読んでもらえたらと思います。

ほかにも、10代から40代までを演じた木村さんと綾瀬さんのお芝居の凄さとか、こんな所で撮影しちゃうんですか!? という重要文化財がロケーションになっていることとか、時代をタイムスリップしたかのような世界が広がる美術セットとか、そのセリフにはそんな意味が想いが込められたいたのかという発見とか……いわゆる裏話がとても多いんです、この映画。ここでは書ききれないですが、劇場用パンフレットに詰め込みましたので、ぜひ(ちゃっかり宣伝です)。

撮影中、現場にも何度か足を運びました。木村さんの演じる信長を通していつも感じていたのは、信長の人間らしさです。というのは、これまで抱いてきた信長像は、比叡山延暦寺の焼き討ちなどから、残虐、無慈悲、魔王というような、怖い人という印象が強かったわけですが、この映画を観ると、一括りに「怖い人」とは言えない。信長という人間の苦悩、孤独、優しさ、愛情が描かれていて、特に、どんどん背負うものが大きくなっていく者に課せられた「孤独」が切ないほど伝わってきました。それを脚本に忍ばせている古沢さんも凄いし、汲み取って演じている木村さんも凄いし、取捨選択をしながら組み立てていく大友監督がほんと凄い。大友監督にはたくさん話を伺いましたが、もう深すぎて。感動しっぱなしでした。

話を信長の孤独に戻します。そんな信長が抱える孤独に寄り添い、共に生きたのが濃姫で──。けれど、二人の出会いは、政略結婚です。ラブストーリーという側面では、好きでもない相手と一緒になる、最悪と言える出会いから始まる。ラブストーリーにおいて、二人の間に立ちはだかるものが大きければ大きいほど物語は盛り上がるので、これ以上ない設定というわけです。さらに、信長と濃姫の間には、もしかしたら本当に、この映画で描かれるような愛があったのかもしれない。そんなふうに想像させてくれる、史実と想像が何とも素晴らしく編み込まれた物語に感動しました。

というわけで、『レジェンド&バタフライ』まだの方、ぜひ劇場で!私ももう一度劇場で、信長と濃姫が生きた時代を体験しに行こうと思います。

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