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西 加奈子 / おまじない

このところ仕事に忙殺されて、全く読書ができていなかった。
下期最大のヤマ、今がまさに佳境。
おじさん限界ですわ。。
そんな時は短編に限る。ということで、我らが西加奈子の短編に手を出してみました。

西 加奈子 / おまじない

「あなたは悪くないんです。」(「燃やす」)「私たちは、この世界で役割を与えられた係なんだ。」(「孫係」)「弱いことってそんなにいけないんですか?」(「マタニティ」)──さまざまな人生の転機に、まじめさゆえに孤独に思い悩んでしまう女性たちの背中をそっと押して、新しい世界に踏み出す魔法のひとこと。珠玉の八編、ついに文庫化!巻末には長濱ねるとの特別対談を収録

巻末あらすじより

生きにくさや息苦しさを救う、人生のふとした瞬間に出会う"おまじない"
この短編集は全て女性が主人公だったけど、多分性別に関係なく、今の時代は生きづらさに溢れている。(悠々と生きているのは政治家先生くらいではないだろうか)
自分も"おまじない"に出会いたくて、こうして時折、西加奈子の小説を読んでいるんだと思う。
『漁港の肉子ちゃん』、『サラバ!』、『夜が明ける』 そのどれもが、自分の中に強烈なインパクトを与えてくれたし、その時々で”読むべき”作品だった。読むのが必然だったかのように。
だから今、『おまじない』を読んだこともきっと必然。
とにかく悩みに悩み続けたこの半年間。育休から復帰してからの半年間の終わりに、ようやく自分にかけられた呪いを打ち消す”おまじない”に出会えたような気がする。

「自分の弱さを認めたら、逆に強くなれたんです。」
『マタニティ』の中にあるこの言葉への強い共感。これが自分が今回出会えた"おまじない"
弱くていい。弱いことっていけないことですか?
子供たちが起きる前にでかけ、子供たちが寝た後に帰宅する日が続き、寝る前に1編だけと読んだこの『マタニティ』で、自分は救われた気がした。
いつもありがとう、西加奈子。

そして巻末。西加奈子×長濱ねるの対談もすごく良かった。本当に、ものすごく良かった。ねるの真面目さと西加奈子の少し荒めな包容力。めちゃくちゃいい。何なら全8編を大きく超える最高さかもしれない。是非読んでみてください。
ねるはね、本当に素晴らしい子なんです。富士急ハイランドの麓、欅共和国のステージで初めて観たねるは本当に眩しくて、少しの間身動きが取れなかった。あの日から僕は…いや、この話は長くなるのでやめておきましょう。大変失礼いたしました。

ともかく、何か迷いや悩みを抱えていたら、一度手に取ってほしい作品です。必ずどこかに、あなたにとっての”おまじない”が書かれているはず。
ねる~


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