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本日、一年記念日を迎えました。

え?なんの記念日かって?
そりゃあもちろん色恋沙汰に関係するアレだよ。聞かなくても分かってるくせに~!

ちょうど一年前は夏休みの最終日。まだまだうだるような暑さが続いていたが、そんな長期休暇を締めくくるにふさわしい出来事だったと思う。

切り出したのは彼女から。今風というべきなのかどうかは定かではないが、告白はLINEだった。僕はまさかそんなことが起こるとも思わず、大学時代の友人たちとオンライン飲み会に興じていた。
思い出話に花を咲かせ、楽しみながらも「明日から会社か…」というちょっぴり物悲しい思いも抱いていた。
会も中盤に差し掛かり、さて次は何を話題にしようかなと考えていたところ、手元のスマホが小刻みに震えた。通知欄には彼女の名前が浮かび上がっている。
「次のデートの計画かなあ?」
私は会話からそそくさと離脱し、ドキドキしながら画面をタップし、LINEを開いた。息を荒らさないようにしながら覗き込む。そこにはこう記されていた。



「ごめんなさい。やっぱり別れたいです。」



!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



そうでーす!!今日は彼女にフラれて一年記念日なんでえーーす!!!彼女いない歴が一年に達したんだよ~~ん!!!

・・・え?そんなこと初めから分かってたって?あなた、人を見る目があるわねえ。占い師にでもなったらどう?

オンライン飲み会の最中にLINEでフラれ、その前の彼女には友達とスマブラしている最中にLINEでフラれていたので、なんとも滑稽な2連敗を喫した。なぜみんな俺が最高潮に楽しんでいる時に別れのLINEを送ってくるのだ。

さて、オンライン飲み会中に失恋した私はもうヤケクソだった。画面越しの友人たちに悲劇を隠すことも無く、どうぞ笑ってくれと言わんばかりに状況を全てぶちまけた。そのおかげか、悲しさはかなり紛れた。話を聞いてくれた友人、そしてアルコールには感謝しかない。
私は夏休みの旅行で彼女のためにお土産を買っておいた。なんとかショコラだとかいう甘いお菓子だったのだが、渡す機会の無いまま別れてしまい、自暴自棄になった私はこう宣言した。
「今から彼女へ渡す予定だったこのお菓子食いまーーす!!!」
高校球児の選手宣誓をも凌駕する清々しさだったと思う。
そんな言葉の爽やかさとは対照的に、荒々しく外装を引きちぎり、乱暴に中身を取り出して口に放り込んだ。一気に頬張ったせいで味がするまで時間がかかる。じんわりと染み出して口に広がる甘みが虚しさを倍増させた。

オンライン飲み会なので、俯瞰して見れば酒を飲み、パソコンに向かって泣き叫びながらお菓子を貪り食う男という絵面。もはやホラー映画である。こんな姿は親には見せられない。
友人は慰めながらも私の事を煽り、調子に乗った私は結局10個入ぐらいのお菓子を全部食べた。あれほど身体に悪い爆食は後にも先にも記憶に無い。

そんな感じで昨年の夏休みは悲惨であった。翌日ちゃんと時間通りに会社に行った自分を褒めてやりたかった。いや、褒めた。間違いなく全社で一番休み明け出社したくないのは私だったのだから。

あれから一年。ロクに恋愛しないままここまで来てしまった。当時の彼女とはもちろん会っていないし、連絡も取っていない。
「おっす!一年経ったけど、元気してる?飯行かない?」
とかいう激キモLINEを送りつけてやろうかな―

いやいやもちろん冗談ですよ。いやだなあ、本気にしないでくださいよ。

いや、もしかしたら既にブロックされていてそんなLINEは届きすらしないのかもしれない。

それを確かめる勇気は無いのだが…。

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