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Chapter3 10番がいない


「遊び」特集、Chapter3は天才について!

 何をもって天才かと言うと、それはやはり僕たちには想像にも及ばない。そう、その想定外のところにいる、その存在こそなのである。

 僕たちは、意味のわからないもの、道理の通らないものを遠ざけてしまう。理解できないのは、つまり今までの僕たちの思考回路を通らないからであって、それは正攻法ではないということである。理にかなっていないとも言われる。

 しかし、例えば「感情のほうが理性よりも賢い」ということが実験で示されている例もある。天才のひらめきは、わかりやすく言えばこれに近い。

 そして、それは常に想定外のところにあるというわけである。


 フットボールの夢、はじまります。

ーー

 うまくいくときはうまくいき、うまくいかないときはうまくいかない。それだけのことだ。

 一番になってやろうと努力してみても、新しいことを始めようと思っても、自分が天才的だと思えるようなひらめきにあやかれるときもあるし、まるで凡人、何の才能もないじゃないかという事実に打ちのめされるときもある。

 今、キーボードをカタカタと打ちながらも、何1つ独創性に富んだ面白い文章が浮かんではこないじゃないかと肩を落としているのは、僕の話だ。

 しかし、今日は天才の話をする。それから当然、遊びの話もする。だから、クソ真面目なことは置いておいて、僕も天才の技を1つ授かろうと思う。スマイル。それも、思いっきり得意げのしたり顔。

 僕はサッカーをやっているので、天才と言われると、ファンタジスタと呼ばれる人々の系譜を思い出す。ロベルト・バッジョ、ジダン、ロナウジーニョ、今だったらネイマールとかエジルとかもそう言われるのかな。

 彼らは一言も言わずに、プレーで僕たちにサッカーがいかに素晴らしいものであるかを見せてくれる。それも一瞬のひらめき、輝きで。

 このように形容されるプレーの特徴は、アイデアを実現させる高いテクニックもさることながら、その想定外さにある。

 例えば、アーセナルの10番を背負うメスト・エジルは、ゴールキーパーとの1vs1でインサイドでボールを浮かせてキーパーの頭上を行くようなボールを蹴ってみせる。当然、インサイドで左か右に流し込むだろうと予測していたキーパーは低い姿勢を取り、思いがけない軌道を描くボールを捕まえることができずにゴールを許してしまう。


 この想定外さには、遊び心が核にある。

 なぜなら、インサイドを使ってボールを浮かせるなんてことは普通しないからだ。

 そこには強い意志が存在する。他にも選択肢があったものを、あえて選択せずにこのプレーを遂行するのだ。ノールックパス、エラシコ、ヒールリフト、まるで相手を挑発して遊んでいるとしか思えないようなこれらのプレーには、当然、他の選択肢があったわけだ。しかも、その多くは一般的に見て最適解と考えられるものだ。

 しかし、エジルは、特に近年彼のスタイルは辛酸を嘗めてきた。アーセナルも、そしてそのボスであったベンゲルも。彼らは一様にして美しさをサッカーに求めていた。それは勝負の世界ではしばしば議論されることでもあるように、両立が難しいともされている。

 今やサッカーの世界で先程例に挙げたようなファンタジスタ、典型的に10番を背負うようなスタイルの選手は消えてしまった。あるいはエジルのように居場所に苦しんでいる。合理的で、機能的で、常にピッチでは正解を叩き出し、あなたはマルチタスクをこなせなければいけない。遊んでいる暇はないんだ、ボーイ。

 消えた10番が何を意味するか?そもそも意味なんてほっとけよ、今日は真面目なことは置いとくんだろ。僕はそんなサッカーに興奮は覚えない。夢は見ない。

 機能から外れた、ある種のバグを起こせるような、そんなトリッキーで僕たちには予想もできないプレーを見せてくれる10番が必要だ。僕たちは天才を待っている。

 なぜなら僕たちは先生から(時にそれは先輩や親、友人でもある)100点満点をもらうために、吸って吐いて、生きてるわけじゃない。

 それとも、もしかしたらあなたが目の前に見えているそういった由無し事は全て、ただの亡霊にすぎないかもしれない。現実を計り知るのには、見かけに惑わされてはいけない。お金、時間、お仕事、その他もろもろ。

 とにかく、頭で理性的に導き出した答えだからと、その正解に飛びつくのはむしろ安易だと言いたい。それよりも、今日の天気に気をかけ、季節の変わり目に動く心を見逃さないでほしい。

 遊び心を忘れずに。それがミソだ。

 そうすれば、思いもしなかったもの、あなたの人生の想定外のところに連れて行ってもらえるかもしれない。

 いつも人生に驚かされていたい。

 スマイル


ーー

  

 遊び特集は今日でおしまい。

 遊びから生まれるクリエイティビティは、何よりそこに伴う感情にこそ価値があるということ。だって、吸って吐いて、僕たちは人間として生きてるわけだからね。

 次回から新しいテーマに入るわけですが、02は「嘘」特集。

 嘘つきフットボーラー、夢とともに。お楽しみに。


 前回の記事はこちらから見れます。



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