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認知症へ音楽/アートの可能性

認知症進行抑制の薬[レカネマブ]が承認されました。
健康寿命を延ばす医療の発達はありがたいですが、
レカネマブ使用のハードルはまだ高めのようです。

このような薬と比較というわけではないですが、
認知症と、アートや音楽などの「芸術鑑賞」との関係性の研究も進んでいるようです。






認知症とは

認知症には種類がありますが、レカネマブの適応となった「アルツハイマー型認知症」について。
脳内にアミロイドベータというたんぱく質の蓄積によって発症する認知症です。レカネマブはこのアミロイドベータの蓄積を抑制することでアルツハイマー型認知症の進行を抑制します。

認知症が発症してしまうと、このような症状が現れる可能性があります。
・日付などの日々の物忘れ(即時記憶の低下)
・場所がわからない、徘徊、うつ
・失語、日常生活の困難、介護の必要
・嚥下困難、生命維持困難・・・

最終的には介護が必要、寝たきり状態になってしまうため、発症を予防することが大切です。


アート鑑賞、音楽鑑賞の効果!?

アートや音楽鑑賞などの芸術によって「美しさ」「快」を感じると、脳の[内側眼窩前頭皮質]という部位が活性化されることがわかっています。
これは神経美学という分野で、イギリスなど海外や日本でも研究が進められている新しい領域です。

この内側眼窩前頭皮質が活性化することで、認知症の発症を遅らせることができるかもしれないともいわれています。
まだ研究段階のようですが、イギリスでは雑誌に取り上げられたり、日本でも新聞で取り上げられたりと、注目されている分野です。


ホスピタルアートの広まり

海外では、病院や高齢者施設で積極的にアートを飾る活動が増えている国もあります。

ある報告では、アートを飾った施設において、
・痛み止めを使用する回数が減った
・うつ傾向が軽減された
・患者のストレスが軽減された
・働く人のストレスが軽減された
このような効果がみられたそうです。

日本では

日本ではまだあまり注目されていませんが、2023年にオープンした広島の「特別養護老人ホーム IGLナーシングホーム信愛の郷」では、神経美学のアートに注目した内装となっています。
アートの美しさを日々感じることで内側眼窩前頭皮質が活性化され、入居者や働く人のストレス軽減や、さらには認知症進行の抑制にもつながっているかもしれません。

人気のモネの作品がならぶパブリックスペース

この施設ではアートのほかに、階層ごとに壁の色を違う色にすることで、色から今いる階層を把握しやすくするという工夫もされているようです。視力が下がる傾向の高齢者にとって、色によって認識できるのはありがたいかもしれません。
どの階層も穏やかな色彩なので、目に負担がかかるということはないようです。

アートとストレス

アート鑑賞がストレス軽減につながるという調査もされています。海外でも行われていますし、日本でも調査実験が行われはじめており、実際にアート鑑賞後にストレスが軽減されたという結果がでているようです。
これまでに東京ビッグサイトでのブース展示実験や、2024年からはこちらで体験できる環境も作られているようです。

ストレス軽減が期待できるアートの活用は、医療施設や高齢者施設以外の住宅や職場でもおすすめです。


さいごに

高齢化に対応するには、医療の発展を待つのではなく、私たちが日常的にできる積極的な予防も必要とされてきています。
アートや音楽などの芸術鑑賞は、単なる娯楽ととらえる人もいらっしゃるかもしれませんが、身体によい影響を与えている可能性も考えられます。
コンサートで音楽を楽しむ、家で音楽を聴く、美術館に出向く、家にアートを飾るなど、日常生活で気軽に芸術を楽しんでいることで、脳の内側眼窩前頭皮質が活性化し、さらにはそれが認知症の発症を遅らせているかもしれません。
健康寿命を延ばすためにも、健康なうちから芸術を楽しむことがおすすめです。





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