やまぐちりりこ

詩・童謡・作詞・絵本 / https://ririkoyamaguchi.wixsi…

やまぐちりりこ

マガジン

記事一覧

とおくのわたし

わたしという存在をとおくからながめたら  どんなふうにみえるだろう  手鏡でみるじぶんは ちかすぎる 宇宙からみるのでは とおすぎる 未来の、死を目の前にして…

8

まんげつ

ねつきのわるいかえるが  かれはのふとんから かおをだした  なかまはみんな ねむってしまった  みあげると まんげつがでている  かえるは しみじみとながめた …

6

イタイノイタイノ

イタイノイタイノトンデイケ  とばされたイタイノイタイノが  でんちゅうにぶつかって ないている  いくとこなくて ないている  さびしくて こころぼそくて ないて…

4

だいじょうぶ

どこかで つぼみがひらいた  つぼみは ひみつのじゅもんをつぶやいた  そのじゅもんを かぜがはこび  どこかで さびしくたちどまっているひとの  みみたぶをそっ…

3

朗読「ひとつの火」新美南吉

カフェオレいろ

かれていく やさしいいろになっていく にがいおもいでも カフェオレいろになって とけていく ぼやけていく  うすれていく

3

こんにちは さようなら

風のない しずかな午後  足元にいちまいの枯れ葉がおちてきた  ひとつぶの涙のようにおちてきた こんにちは さようなら この世のすべては こんにちは さよう…

1

こぎつね

おもちゃのぶどうのような ちいさな実を  くちいっぱいにほおばって  かおやらてやら むらさきにそめた こぎつねが  そこいらへんにいたらいいのに  とおもいなが…

散る散る満ちる

散る散る満ちる 満ちていく きょうという日のどこかにも しあわせがきっとかくれている

1

やさしい灯台

じぶんには もう 光はいらないのです ねむりながら やさしい灯台になって あたりをてらしています

1

北風と枯れ葉

枝からはなれた枯れ葉が 北風の子とあそびました おいかけっこして おしくらまんじゅうして あそんであそんで あそびつかれてねむっています

ほおき

ふゆがれの木が ほおきになって 空を掃いています 浮遊していた  だれかのためいきも 青空に溶けていきます

1

柿の実

おひさまのひかりをうけて うまれたての おひさまのこどものように ひかっている わらっている きのうとも  あしたともちがう きょうのひかりをあびて

マトリョーシカ

冬芽のおなかを ぱかっとわれば ちいさな春がかくれている その春のなかには  さらにちいさな夏が そして夏には秋が 秋には冬が… マトリョーシカのように 季節…

吹雪の音

てのひらを貝殻にして  耳にあてたら  吹雪のような音がした  ガラス窓をへだてた吹雪の音だ  目をとじる  ここはちいさな山小屋  アラジンストーブの青い火がゆれ…

1

朗読「手袋を買いに」新美南吉

1

とおくのわたし

わたしという存在をとおくからながめたら  どんなふうにみえるだろう  手鏡でみるじぶんは ちかすぎる 宇宙からみるのでは とおすぎる 未来の、死を目の前にしている わたしからみたらどうだろう 明日がくることに ほんのすこしうんざりしながら カフェオレを飲んでいる今のわたしを どこかとおいところから わたしが みつめている なにかを かたりかけている

まんげつ

ねつきのわるいかえるが  かれはのふとんから かおをだした  なかまはみんな ねむってしまった  みあげると まんげつがでている  かえるは しみじみとながめた  ひとりもいいもんだな  かえるは うまれてはじめて せかいとむきあった  そして かえるであるじぶんをおもった  はるはまだ とおい

イタイノイタイノ

イタイノイタイノトンデイケ  とばされたイタイノイタイノが  でんちゅうにぶつかって ないている  いくとこなくて ないている  さびしくて こころぼそくて ないている  どこかにないだろうか  イタイノイタイノの いけるばしょ  あっちこっちのイタイノが  みんなでいっしょに かえれるところ

だいじょうぶ

どこかで つぼみがひらいた  つぼみは ひみつのじゅもんをつぶやいた  そのじゅもんを かぜがはこび  どこかで さびしくたちどまっているひとの  みみたぶをそっとなでた  それはあまりにささやかで  そのだれかはきづかないけれど  だいじょうぶ だいじょうぶ  なぜだか そんな気がしてきて  どこかのだれかは あるきだす  あしもとを 月がてらしている

再生

朗読「ひとつの火」新美南吉

カフェオレいろ

かれていく やさしいいろになっていく にがいおもいでも カフェオレいろになって とけていく ぼやけていく  うすれていく

こんにちは さようなら

風のない しずかな午後  足元にいちまいの枯れ葉がおちてきた  ひとつぶの涙のようにおちてきた こんにちは さようなら この世のすべては こんにちは さようなら

こぎつね

おもちゃのぶどうのような ちいさな実を  くちいっぱいにほおばって  かおやらてやら むらさきにそめた こぎつねが  そこいらへんにいたらいいのに  とおもいながら  むらさきしきぶのわきとおりすぎたら  おとといきいたふうりんくらいに  かすかなかすかな  こんっというこえが きこえたきがした

散る散る満ちる

散る散る満ちる 満ちていく きょうという日のどこかにも しあわせがきっとかくれている

やさしい灯台

じぶんには もう 光はいらないのです ねむりながら やさしい灯台になって あたりをてらしています

北風と枯れ葉

枝からはなれた枯れ葉が 北風の子とあそびました おいかけっこして おしくらまんじゅうして あそんであそんで あそびつかれてねむっています

ほおき

ふゆがれの木が ほおきになって 空を掃いています 浮遊していた  だれかのためいきも 青空に溶けていきます

柿の実

おひさまのひかりをうけて うまれたての おひさまのこどものように ひかっている わらっている きのうとも  あしたともちがう きょうのひかりをあびて

マトリョーシカ

冬芽のおなかを ぱかっとわれば ちいさな春がかくれている その春のなかには  さらにちいさな夏が そして夏には秋が 秋には冬が… マトリョーシカのように 季節は次の季節を内包している どこまでも どこまでも この星のつづくかぎり

吹雪の音

てのひらを貝殻にして  耳にあてたら  吹雪のような音がした  ガラス窓をへだてた吹雪の音だ  目をとじる  ここはちいさな山小屋  アラジンストーブの青い火がゆれている  とおいくにの ものがたりがきこえてくる  吹雪はますますつよくなる  ねむれねむれ  りすのように  いやなことは わすれて

再生

朗読「手袋を買いに」新美南吉