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読書メモ28「あのころはフリードリヒがいた」

先日「死すべき定め」をブックオフで買ったので取りに行ったところ
ワゴンに載っていたのがこの本。
パラパラ見て、100円だしなーと購入。
「死すべき定め」は読み始めてもいないんだけど
とりあえず児童書だしねと思い、まずこちらから読み始めた。

ヒトラーが政権を取ってからのドイツの普通を
ドイツ人少年「ぼく」が
ユダヤ人少年フリードリヒとの日々を通して
描いている。

ユダヤ教のことなどが注釈に細かく書いて補足されているので
分からないことの多いユダヤ人の日々の暮らしの理解にも役に立つかも。

ごくごく普通に。
普通に、憎しみが増えていく。
とても普通に、毎日が差別と暴力で塗り替えられていく。

淡々書かれているので、余計に胸に迫る。
胸に迫ると言うか、ただただ怖い。
ナチスが酷いということは誰だって知ってる。
だけど、学校で、プールで、映画館で、お店で
昨日まで行けたのに行けなくなったり
ドイツ人の女性お手伝いさんがユダヤ人の家で働けなくなったり
ナチ党に入ったら長く無職だった僕のお父さんが仕事に就いて
その代わりに公務員だったフリードリヒのお父さんが
ユダヤ人だからと解雇されたりする。

追い詰められた人たちの家を集団で急襲し
破壊の限りを尽くし、
暴力と破壊を、誰しもが何も考えずに行っていく。
「ぼく」ですらだ。

私だったらやらない。

なんて絶対に言えない。
ただ、常に考えていたい。
考え続ける人でありたい。
立ち止まって考える人が増えれば増えるだけいいんじゃないかな。

「君たちはどう生きるか」
って、今こそ言いたいよね・・・。
私たちは、気付かずに人を傷付けているのかもしれないよね。
頓着せずに、誰かを、ひどく。

しかし今日の世界で、イスラエルはガザで虐殺を行っている。
自分たちがされたからって、誰かにしていいのかな。
え、じゃあ原爆落とされてるし―って日本だけは核兵器を持って
そして使っていいってことになるけど、それでいいの?
だけどそうしないどころか、そんなことしねーよという
心意気の日本を見習ってくれてもいいんじゃない?

とはいえ、読んでとてもつらい気持ちになる。
「お前はどうなんだ」
と突きつけられるから。

今、私は誰かに対してこんなことしてない?
大丈夫?
誰かに煽られて、ふわふわしてない?

だから、これは今こそイスラエルの人も読んだ方がいいんじゃないの。

たとえ誰しもが死すべき定めの下に生きているとしてもだ。

おしまい。


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