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タイムリープができたとしても

たまに、高校時代にタイムリープしたような夢を見る。

夢の中の話なので各種設定が混沌としているのはさておき、大抵は遅刻しそうだとか忘れ物をしたとかそういう夢である。

リアルなものになると、実際に当時やらかした失敗がそのまま再現されていることがある。でも自分は現在年齢のまま出演しているので、頭の中がごちゃごちゃになってしまう。


高校時代は、もちろん楽しかったこともあったが、どちらかというとジメジメしていたように思う。
成績は取り立てて良いわけではなかったし、部活動(バドミントン部だった)は同学年の男子で唯一下部リーグ所属だった。
友達はそれなりにいたがクラスで孤立していた時期もあった。好きな女子は何人か(何人も)いたが、彼女は一度もできなかった(血涙)。

それこそタイムリープして精神は今のままでやり直せば、いくらか改善されることもあるかもしれないとも思う。
成績はちょっぴり良くなるかもしれないし、部活動はより楽しく、そして好成績で終えられるかもしれない。
交友関係も良好で、いじめられることもないかもしれない。
あわよくば、彼女の一人や二人できるかもしれない(切願)。

若々しくハツラツとした10代の肉体と、それなりに酸いも甘いも嚙み分けてきた30代の精神とがあれば、文字どおり夢のような高校生活を送ることができそうなものである。


しかし、タイムリープをしたとして、はたして自分の望む未来へ進むのだろうか。

『歴史』といえば少し大げさかもしれないが、これまで自分と関わってきた人にはその人なりの歴史があり、それが積み重なって今を形成している。
それを少しだけ大人びた僕が変えたら、関わるすべての人間の歴史が変わってしまう。
仮に、直接関わった人間が100人だったとしても、その100人にそれぞれ関わる人がいるわけで、となると間接的に関わる人間は無限だ。
ということは、僕一人が変わるだけで、世界中の人間の歴史が変わってしまうということになる。

『東京卍リベンジャーズ』は、タイムリープを繰り返すことで大切な人を救おうとする物語だ(漫画は未読、映画は1のみ、アニメは『血のハロウィン編』あたりまで視聴)。
だが、変わっていく歴史の中で、“歴史が変わったことにより生じた新たな不都合”みたいなものがどんどん出てきて、より高い壁となって立ちはだかってくる。
それらを乗り越えていくことは、タイムリープ前よりも厳しい道ではないだろうか。


現実的な意見を述べると、タイムリープは不可能だろうと思うので、この話は杞憂に終わる。どれだけ切望しようと、過去を変えることはできない。

裏を返せば、過ぎてしまったことをやり直そうとするのではなく、その事実を受け止め、反省し、この先どうするかを考えることの方が、よっぽど重要で有意義だろう。

でも、それで良いと思う。
やり直してばかりいたら、生きるのがつまらなくなりそうだ。失敗や負の感情があるからこそ人は成長するし、それはある意味で必要な試練だとも思う。

だから、僕が今、独身でお付き合いをしている人がいないのも、必要だからそうなっているのであって、決して、いや決して、僕の性格に難があるとか、僕が原因ではないと、そういうことになるのであるからして。




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