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テナー・コンクレイヴ / ジョン・コルトレーン、ズート・シムズ、アル・コーン、ハンク・モブレイ他 Tenor Conclave / John Coltrane , Al Cohn , Zoot Sims , Hank Mobley etc.

ある日、俺のモッズファッションを指摘した弓道部のS村君が、父親のレコードだと言ってジャズのレコードを何枚か学校に持ってきた。
ジャズってすごい大人がお酒を飲みながら洒落たバーで聴くものと思い込んでいたのでS村君が聴いていることに驚いた。
どれか貸してくれるというので、その中で一番ジャケットがカッコいい1枚を貸してもらって家に帰って聴いてみた。

すぐ横でサックスを吹いているような生々しい音が耳に飛び込んできた。

ハードなロックのディストーションギターばかり聴いてきたので管楽器の音なんて気にしたことも無かったけど、よく聴くとサックスの指の動きに合わせて音程の蓋?がカチカチなる音や息遣いまで聴こえてきてエレクトリックではないアコースティックな音の美しさに圧倒された。

「うおおおおおお、これがジャズか!」

初めて聴くジャズは恐ろしく洒落ていた。
すぐに何度も聴き返した。
念のためカセットに録音した。

何日か経ってレコードを返す時に、S村君にこれを売ってくれないかと頼んでみた。
S村君の父親が何といったか分からないが、たぶん売ってくれたかもしくはくれたのだろう。
今も手元にある。

当時はただ単に雰囲気がジャズだっていうだけで聴いていたが、そこそこ大人になって改めて調べると、サックスだけでなくピアノ、ベース、ドラムまでけっこうとんでもないメンツのアルバムだったことが分かった。

田舎の高校生が何を偉そうにと思うかもしれないが、
ジャズも悪くないなと思った。

あれから40数年経った今でも、ジャズのアルバムでは一番のお気に入りだ。
フレーズも口づさめるぐらい聴いた。
卵から孵った雛鳥が一番最初に見た鳥を親だと思うように、俺にとってジャズと言えばこのアルバムのことだ。

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