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崩壊の前日/カルメン・マキ&OZ Houkai No Zenjitsu / Carmen Maki & OZ

ある日、バンドのメンバーと話しているとベースのF原さんがお姉ちゃんと妹と3人姉妹でヤマハ主催のポピュラー・ソング・コンテストに出場したという話になった。

えええええええええええ?

当時ヤマハのポプコンといえば、中島みゆきやツイスト、チャゲアスなど現在も活動してる大物ミュージシャンたちの出発点になっているコンテストだ。

実際K市の楽器屋にバンドの練習に行ったらそこの店長がF原さんに
「この前は残念だったね。良かったんだけど惜しかったね」みたいな挨拶をしてきた。
結果は2次予選落ちだったらしいのだが、出場することがすごい。
なぜなら当時はバンドといえば洋楽(ツェッペリンやパープルなど)のコピーが主流でオリジナル曲を作るというのはなかなかハードルが高かったのだ。

お姉ちゃんという人が当時からなかなかすごかったのだ。
ちなみにお姉ちゃんは現在シティーポップの再評価に乗って一部マニアにはそこそこ名が知られた存在で、現在も音楽活動でメシを食っている人だ。

これはひょっとして妹の彼女もボーカルとして凄い実力の持ち主なのでは?と思い練習の時に歌ってみてもらった。

うおおおおおおおおおおおおっ!

その声を聴いて直感した。
彼女のボーカルでバンドを編成し直そう。
ボーカルのS野君にサイドギターをやってもらい、ギターのT川君にベースを弾いてもらうことにした。

ところがS野君の家は厳しい家庭で、練習用にエレキギターを持って帰ったら親に激怒されたそうだ。

「そんなことをしている暇はない、受験勉強しろ」と。

しかしS野君は友達と約束したライブまではやらせて欲しいと頼み込んでOKをもらったらしい。
横分けひょろひょろの外見に似合わずなかなか骨のあるやつなのだ。
約束通りその後のライブまで一緒に活動し、勉強の為に脱退した。
S野君はウチの学校でも屈指の頭脳の持ち主で結果的に国公立大学に進学し、今は弁護士をしているはずだ。

バンドの方はS野君の脱退に伴い、キーボードのM浦君を加え、さらに音の厚みが増した。
これがバッチリ嵌り、地元でも上手い高校生バンドと言われはじめた。

当時はバンドコンテスト花盛りで、地元でもコンテストにエントリーすることになった。
実力派の女性ボーカル曲を選ぶことになり、カルメン・マキ&OZの曲をチョイスした。
このバンドは楽器屋の店長も高く評価してくれたが、下馬評を覆し、

みごと予選落ちした。

その後メンバーの大学進学もありバンドはあっけなく解散した。


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