見出し画像

享楽とその影~「フレンチ・カンカン」「モンパルナスンの灯」

エコールドパリという絵画のジャンルがある。
20世紀初頭のパリに各国から集まっていた芸術家たちとその作品を指していて、ロートレックやピカソ、ユトリロ、キスリングといった名があがる。
彼らが集まっていたパリのモンマルトルには、今も続くムーランルージュというキャバレーがある。
その誕生を描いた作品が1955年の「フレンチ・カンカン」だ。
だいぶ脚色・創作されていると思うが、監督はジャン・ルノワール。同じくパリで活躍した画家オーギュスト・ルノワールの息子である。

このトレーラーの冒頭がカンカン。映画では最後のクライマックスにあたる。たしかにカタルシスを感じるシーンではあるのだが、ここに至るまでは中年男が絡んだ恋愛沙汰だとか、金銭工面だとか、なんだかせせこましい話が連なる。それもあまりすっきりせず、なんとなく解決している風で。
でもこの映画は最後のカンカンの場面のためにあるので、それも良しか。

先のエコールドパリに属する画家のひとりが、モディリアーニである。
その生き様を描いたのが1958年公開の「モンパルナスの灯」

享楽的なムーランルージュとは対照的な暗い内容。彼の画風も不思議というか、やはり暗い。世の不条理を感じていたからなのかもしれない。
そんな彼が愛したジャンヌ。どこまでも献身的なのに、それさえも次第に癒しにはならなくなり、最後には息絶える。
あまり説明的ではないので、なんで?と思うところもあるが、モディリアーニを演じるジェラール・フィリップの端正な顔立ちは眼福である。

この記事が参加している募集

おすすめ名作映画

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?