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映画史上に残る名場面を見逃すな!~「恋愛準決勝戦」

フレッド・アステアというと、そのダンスやタップだけで観客を魅了するに足るものなのだが、その極致とも言える作品がこちら。
1951年公開「恋愛準決勝戦」

本作、アステアの中ではあまり知名度が高くない作品のようであるが、それでもある二つの場面により、映画史上に刻まれることとなったのだ。

まずはこちら。”壁歩き”のダンス。9:45あたりより。

1950年なのだから、当然実写である。
タネはなんのことはなく、カメラと室内のセットを一緒に回転させているに過ぎないという。それでも家具や調度類が微動だにしないようにする小細工は要したことだろう。
このトリックは、有名なところでは、「2001年宇宙の旅」でも使われている。あれも最初観たときには少なからず驚いたものだった。だいたい1:10あたり。

もう一つの名場面は、”帽子掛けとのダンス”である。7:00あたりから。

ほぼノーカットによる帽子掛けとのダンス。その力量もさることながら、発想の自由さにも感服する。
それにしても、まるで人間同士のダンスに見えてくるから不思議である。

これら名場面を有する「恋愛準決勝戦」。この邦題は、2組の男女のカップルが最後に成立する、ということからつけられたもののようだが、当時のセンスには少し戸惑わされる。
原題は「ロイヤル・ウェディング」で、イギリスのエリザベス女王の結婚式が行われたロンドンが舞台となっている。だからなのか、アステアの相手役はサラ・チャーチル、チャーチル首相の娘が演じている。

うーん、でもちょっと華がないかな。そこがこの映画が語り継がれない遠因だったりして。

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