アメリカの”正義”を描く~「波止場」

映画って多く見ればいいというものではないのはその通りではあるが、多く見ないと傑作に出会えない・知り得ないというのもまたその通りだと思う。
今回の作品も、映画好きな人であれば言わずと知れた傑作として名前のあがるものだが、自分は最近まで知らなかったという。
1954年公開の「波止場」である。

解説は、今回も町田氏にお願いするとして。。

町田氏も触れている通り、「ロッキー」は本作をベースにしているわけで、観ているとどことなくテイストが似ているのが分かる。
いや、「ロッキー」だけではなくこの展開・強弱って、観たことあるなあという既視感を強く覚えた。

それはやはり正義というものを強く意識する作品だから、と感じる。そしてその正義が感じられるのは、虐げー虐げられ・搾取しー搾取されという関係が良くも悪くもこのアメリカのダイナミズムになっているからなのだろう。

こんなことを言ったら怒られるかもしれないが、マフィアだって彼らのような存在が求められていた背景があるわけだ。そう思うと国民のひとりひとり毎の正義がある国、それがアメリカだということで、なんだかわかった気になれるようだ。
本作はそういうアメリカの現実を直視した最初期の作品という点で、映画史に残る傑作として語られていくのだろう。

それにしても、マーロン・ブランドの存在感・色気が圧倒的すぎて、主演女優のエヴァ・マリー・セイントがかすんで見えたのは自分だけだろうか。

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