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往時のアメリカを偲ばせる作品~「リオ・ブラボー」

ハワード・ホークス監督の西部劇集大成とも言えるのが、1959年公開の「リオ・ブラボー」である。

”ブラボー”とあるから、なんだかめでたい話なのかと思いきや、これはスペイン語で「怒れる川」という意味だそうな。リオは川の意味。
ただ映画の中でそれらしき川が描かれる場面はなかった(と思う)。

ジョン・ウェインは「赤い河」以来のホークス作品だろうか。アメリカ的なマッチョな男性像を如何なく発揮している。
彼のこのキャラクターは、ある種この時代の西部劇の象徴ともなっていて、時代の空気を体現するとともにやや西部劇を敬遠させる思いを抱かせる遠因にもなっているのではなかろうか、とも思う。

この映画は、脇役もなかなかに個性的。
ディーン・マーティンはビリー・ワイルダー監督の「ねえ!キスしてよ」で初めて知った。コメディアンでエンターテイナーな役柄が似合っているような俳優だが、本作ではよれよれのアル中を演じていて言われるまで気づかないくらい。

リッキー・ネルソンは、なんというかこの時代のアメリカンアイドルのような顔立ち。エルヴィス・プレスリーの面影もあるような。「赤い河」ではモンゴメリー・クリフトが演じたような立ち位置だろうか。

ヒロインのアンジー・ディキンソンは当時としては露出も多く(でも当時20代後半)、この後スターダムを駆け上がるかと思いきや「その後は地味な印象が続いた」(Wikipedia)。

こう見ると当時のアメリカの世相というと大げさだが、どういう嗜好だったのかが分かるようではないか。古き良きアメリカを想起させる作品。これが1950年代最後に封切られて、激動の60年代に突入行くわけだ。

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