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タイトルどおりに入り組んだプロットに惑わされる~「アラベスク」

前回のシャーリー・マクレーンに立ち位置が似ている(と自分は思っている)ソフィア・ローレン。
偶然にも彼女が主演の映画を観たので今回はそのご紹介。1966年公開「アラベスク」。共演はグレゴリー・ペックである。

監督はスタンリー・ドーネン。この2年前にケーリー・グラントとオードリー・ヘップバーンを主演に戴いて「シャレード」をヒットさせている。
「シャレード」は、スリリングでありかつ上品さも兼ね備えた、オシャレな映画で、自分もヘップバーンの中でも気に入っている作品の一つである。

本作はそんな傑作の2匹目のどじょうを狙ったもの(前回もそんなことがあったな・・・)のようで、テイストはほぼ同じ。ただ、男女の役回りが逆になっているのと、ストーリーがより込み入っているという点が特徴と言えるだろう。多分初見だと誰と誰が仲間で誰が敵なのかよくわからないのではないだろうか。その複雑な様がアラベスクのよう、ということなのか。

ヘップバーンとローレン。キャラの違いもあるからか、本作ではヒロインになかなかのアクションを強いている。男性側もしかり。そう思うと当時はスターと言えど、様々な作品に出演していたのだと驚かされる。ふつう「アラバマ物語」のフィンチ弁護士にこんなことさせないだろうに。

それでもやっぱり、ストーリーの掴みにくさが最後まで解消されないというのはひっかかる。登場人物にウソをつかせるのはいいのだが、そうなると一体どれが本当なのか判断できなくなるし、その根拠付けも難しいと思う。本作では「スパイだから」ということなのだが、それとてウソというどんでん返しもあるのでは?と勘ぐってしまい、観ている側としては落ち着かないのだ。

主演二人の経歴の中でもあまり語られない作品のようなので、一見の価値はあるだろうか。その際はあらすじを予習しておいたほうが、より楽しめるかもしれない。

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